海外競馬ニュース 2020年03月26日 - No.12 - 1
メダグリアドロ産駒のゴールデンシックスティーが香港ダービー制覇(香港)[生産]

 名種牡馬メダグリアドロ(21歳)は、ケンタッキーで16年間供用されてきて数々の優良産駒を送り出してきたが、ゴールデンシックスティー(Golden Sixty 豪州産 せん4歳)が香港ダービー(シャティン競馬場 3月22日)を制したことにより、北半球および南半球で生まれた産駒の成績の隔たりを縮めた。

 今年の香港ダービーは手に汗握る展開となった。伏兵プラヤデルプエンテ(Playa Del Puente)が残り3ハロン(約600m)で馬群を大きく引き離し、ブレーク・シン(Blake Shinn)騎手の大胆な戦略が奏功するかに思われた。

 しかし、それまで4歳クラシックシリーズ(全3戦)の香港クラシックマイルと香港クラシックカップを制し単勝1倍台のダントツ1番人気でこのレースに臨んだゴールデンシックスティーは、ヴィンセント・ホー(Vincent Ho)騎手を背に力強く追い込み、脚力を使い果たしていたプラヤデルプエンテを首差で下した。

 ゴールデンシックスティーは2017年のラッパードラゴン(Rapper Dragon)に続き、史上2頭目の香港三冠馬となった。

 同馬は、豪州のアスコ・インターナショナル社(Asco International)により生産された。スタンリー・チャン(Stanley Chan)氏に所有され、フランシス・ルイ(Francis Lui)調教師に管理されている。同馬は2017年カラカ"レディ・トゥ・ラン"セール(Karaka Ready to Run Sale ニュージーランド)においてルイ調教師により30万NZドル(約1,950万円)で購買された。

 メダグリアドロは豪州のダーレーの拠点(NSW州)でシャトル種牡馬として供用されて、27頭のステークス勝馬を送り出している。その中には、アスターン(Astern)、クラウンプロセキュター(Crown Prosecutor)、フリット(Flit)、バンクーバー(Vancouver)などのG1馬がいる。バンクーバーは豪州の2歳最強スプリンター決定戦ゴールデンスリッパー(G1)の優勝馬である。

 メダグリアドロは北半球でG1馬21頭以上を出しており、その中には名牝のレイチェルアレクサンドラ(2009年米国年度代表馬)やソングバード(Songbird 2013年米国最優秀3歳牝馬)、そしてBCターフ優勝馬タリスマニック(Talismanic)がいる。

 メダグリアドロ(父エルプラド)は現役時代にボビー・フランケル調教師に手掛けられ、トラヴァーズS(G1)、ホイットニーH(G1)、ドンH(G1)を制し、BCクラシック(G1)を2戦していずれも2着になるという輝かしい成績を残した。

 同馬は現役引退後、ケンタッキーのヒルンデール牧場(Hill 'n' Dale)で種牡馬入りし、その後ストーンウォール・スタリオンズ(Stonewall Stallions)に移動した。

 シーエスシルク(C.S. Silk)、ギャビーズゴールデンギャル(Gabby's Golden Gal)、レイチェルアレクサンドラ、ウォリアーズリワード(Warrior's Reward)などの初年度産駒が素晴らしい成績を挙げた後、メダグリアドロは2009年に非公開価格でモハメド殿下に購買された。それ以来ジョナベル牧場(ケンタッキーのダーレーの拠点)で供用される同馬の今年の種付料は20万ドル(約2,200万円)。

 メダグリアドロの直近のスター産駒ゴールデンシックスティーは、英国とアイルランドでよく知られるファミリー(牝系)に属している。同馬の母は、ジム・ボルジャー調教師に手掛けられ、2006年デビュタントS(G2 レパーズタウン競馬場)を制したガウデアムス(Gaudeamus 父ディストーテッドヒューマー)である。

 ガウデアムスの母は、ステークス競走3着のレオズラッキーレディ(Leo's Lucky Lady 父シアトルスルー)であり、他にも重賞3着のレオズラッキーマン(Leo's Luckyman)や平地と障害で活躍したレオズラッキースター(Leo's Lucky Star)など優秀な仔を送り出している。
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 ガウデアムスはピヴォタルの仔を受胎した状態で豪州に売却され、そこで繁殖生活を送ることになった。その時に生まれたファルクラム(Fulcrum)は豪州で5勝した。ガウデアムスは、リステッド3着内馬イギトゥル(Igitur 父ヘルメット)や2歳のショワジール牡駒、当歳のキャピタリスト牝駒も送り出している。そして現在はトラピーズアーティスト(Trapeze Artist)の仔を受胎している。

 "父メダグリアドロ―母父ディストーテッドヒューマー"の配合はすでにG1馬のエレート(Elate)、ニューマネーハニー(New Money Honey)、G2馬のファニープロポジション(Funny Proposition)、レディモントドール(Lady Montdore)、ミセスマクドガル(Mrs McDougal)などを送り出している。

 惜しくも2着に敗れたプラヤデルプエンテは、より少ない予算で競馬に参加する関係者に素晴らしい結果をもたらした。同馬はアイルランドのダーモット・ケリー(Dermot Kelly)氏により生産された。父はエルザーム(Elzaamバリーへインスタッドで供用)、母は低価格で購買されたプレイアマングザスターズ(Playamongthestars 父ガリレオ)である。エルザーム(父リダウツチョイス)の今年の種付料はわずか4,000ユーロ(約48万円)。

 プラヤデルプエンテはゴフス社11月当歳セールにてトム・バーンズ(Tom Burns)氏に2万7,000ユーロ(約324万円)で購買され、その後タタソールズ社アイルランド9月1歳セールに上場されてBBAアイルランドに4万ユーロ(約480万円)で落札された。

 同馬は昨年パットンS(Lダンダーク競馬場)を制した後に、香港で個人売買され、当時の馬主CBRシンジケート(CBR Syndicate)にまずまずの利益をもたらした。

By Martin Stevens

(1NZドル=約65円、1ドル=約110円、1ユーロ=約120円)


[Racing Post 2020年3月22日「Medaglia D'Oro unlocks a new achievement with Hong Kong Derby winner」]