海外競馬ニュース 2019年06月27日 - No.24 - 1
ウィンクスの最初の交配相手はアイアムインヴィンシブルに決定(オーストラリア)[生産]

 ウィンクス(牝7歳 父ストリートクライ)は今年、豪州にとどまってアイアムインヴィンシブル(I Am Invincible)と交配する。ウィンクスの馬主たちは世界中の優良種牡馬を検討した結果、同馬の最初の交配相手をヤラマンパークスタッド(Yarraman Park Stud)のアイアムインヴィンシブルに決定した。

 ウィンクスは現役時代、クリス・ウォラー調教師に手掛けられ、コックスプレート(G1)4連覇、33連勝(うちG1・25勝)を果たした。馬主の1人であるデビー・ケピティス(Debbie Kepitis)氏は、「今年はウィンクスを海外の種牡馬と交配させないことで意見が一致しました」と述べていた。

 様々なエージェント(馬売買仲介業者)やアドバイザーに、豪州のどの種牡馬が一番ウィンクスにふさわしいか助言を求めた結果、全員一致でアイアムインヴィンシブルに決まった。

 ケピティス氏はこう語った。「ご存じのとおり、ウィンクスはスターです。どのようにするかを決定するのに時間を費やさなければなりませんでした」。

 「どんな仔馬が生まれても素晴らしいに違いありませんが、最初の交配相手がアイアムインヴィンシブルであることには大きな意味があります。アイアムインヴィンシブルは種牡馬としてスタートはパッとしませんでしたが、成功を収めました。ウィンクスは中位の価格で購買されましたが[23万豪ドル(約1,725万円)]、大成功を収めました。だから相性が良いと思います。この決定に満足しています」。

 ウィンクスの輝かしい競走生活の後半において海外遠征するのではないかという憶測があったが、関係者はその誘惑に屈しなかった。そして海外の種牡馬に送るという提案も同じように撥ねつけた。

 ケピティス氏は、「豪州にも勝るとも劣らない種牡馬がおり、彼女をここにとどまらせようと、私たちは考えました。海外の種牡馬に抵抗感があるわけではありません」と述べた。

 ウィンクスの交配相手となることで、アイアムインヴィンシブルの種牡馬生活の格はさらに上がるだろう。同馬はすでに、名牝ブラックキャビアに2度種付けを行っており(2017年と2018年)、来シーズンはリーディングサイアーのタイトルを目指すかもしれない。

 ヤラマンパークスタッドのハリー・ミッチェル(Harry Mitchell)氏は、ウィンクスの最初の相手がアイアムインヴィンシブルだというニュースを午前10時頃に聞いたと打ち明けた。このニュースが公になる2時間前のことだ。

 同氏は、「アイアムインヴィンシブルが候補種牡馬の1頭であることは知っていましたが、選ばれるとは確信していませんでしたので、ウィンクスの馬主たちの決定をとても嬉しく思っています。種牡馬として、国際的に通用する太鼓判を押してもらったことになります」と語った。

 アイアムインヴィンシブルは今シーズン、ステークス勝馬29頭(41勝)を送り出し、産駒の獲得賞金は1,941万812豪ドル(約14億5,581万円)に上る。その中にはG1優勝産駒が5頭いる。それは、ビドラ(Viddora)、オーフード(Oohood)メディアセンセーション(Media Sensation)、ヴードゥーラッド(Voodoo Lad)、そしてタタソールズティアラ(G1 6月22日)を制したインヴィンシベラ(Invincibella)である。

 アイアムインヴィンシブルの2019年の種付料は、豪州最高額の24万7,500豪ドル(約1,856万円)を誇っている。今シーズンは2歳産駒から勝馬20頭(うちステークス勝馬8頭)が出ており、2歳リーディングサイアーとなっている。

 ミッチェル氏はこう語った。「アイアムインヴィンシブルは、優秀な2歳馬、あるいは5歳まで現役を続けられるような馬を送り出しています。ウィンクスも完璧なチャンピオン馬であるだけでなく、現役を長く続けました。繁殖牝馬としての出発点としては上々な組合せだと思います。彼は牡駒か牝駒かに関係なく、素晴らしいタイプの産駒を送り出しているので、これは見事な掛け合わせだと思っています」。

 ウィンクスの馬主たちは最終的にアイアムインヴィンシブルと決定するまで、ウォラー調教師や、1歳時のウィンクスを見い出したエージェントのガイ・マルキャスター(Guy Mulcaster)氏、その他の信頼できる専門家たちに助言を求めてきた。

 インヴィンシベラをタタソールズティアラ優勝に導いたウォラー調教師は、今シーズンはフィエスタ(Fiesta 父アイアムインヴィンシブル)でもG2を制している。また、G1・2勝の種牡馬ブレイズンボー(Brazen Beau)も手掛けた。同馬は2011年に生まれたアイアムインヴィンシブルの初年度産駒である。

 一方、アイアムインヴィンシブルとストリートクライ(ウィンクスの父)の配合は2頭の出走馬しか出していない。そのうち1頭は昨年のマジックミリオン社ゴールドコースト2歳トレーニングセールにおいて11万豪ドル(約825万円)で購買され、シンガポールのバリアトライアルを制したライフアフターユー(Life After U)である。

 アイアムインヴィンシブルは2019年に170頭~180頭に種付けする予定であり、その中には多くの優良繁殖牝馬が含まれている。過去5年間において、1年当たりの平均種付頭数は207頭だった。

 ミッチェル氏はこう語った。「アイアムインヴィンシブルは今年、多くのステークス勝馬を出して圧倒的な成績を挙げています。産駒が2歳3大レースのうち1つも制していないのに2歳リーディングサイアーとなろうとしているのは、大変な偉業です」。

By Tim Rowe, ANZ Bloodstock News

(1豪ドル=約75円)

(関連記事)海外競馬ニュース 2019年No.12「ウィンクスの最初の交配相手の決定に専門家の助言を求める(オーストラリア)

[Racing Post 2019年6月24日「Superstar Winx to visit rags-to-riches stallion I Am Invincible for first mating」]