海外競馬ニュース 2019年05月16日 - No.18 - 4
香港G1優勝の日本馬ネオリアリズム、豪州で供用(日本・オーストラリア)[生産]

 香港のG1競走を制した日本馬ネオリアリズム(8歳 父ネオユニヴァース)は、南半球の繁殖シーズンに豪州のオークランズスタッド(Oaklands Stud)で供用される。これまでクイーンズランド州で供用された種牡馬の中で一番の稼ぎ頭となると考えられている。

 種牡馬管理者のネヴィル・スチュワート(Neville Stewart)氏は5月12日、同馬がオークランズスタッドのパワー(Power)をはじめとする種牡馬群に加わることを発表した。ネオリアリズムは2017年クイーンエリザベス2世カップ(G1 シャティン)で優勝する前に日本でG2・2勝を果たしている。堀宣行調教師に管理され、通算成績は23戦8勝。

 ネオリアリズムは、南北両半球でG1を制した種牡馬のリアルインパクト(父ディープインパクト)の3/4弟である。リアルインパクトは過去3年間、アローフィールドスタッド(Arrowfield Stud)にシャトルされている。

 リアルインパクトとネオリアリズムの母は、他にもステークス勝馬を2頭出している優良繁殖牝馬トキオリアリティー(父メドウレイク)である。

 スチュワート氏は、ネオリアリズムが生産者に豪州の血統と相性の良いアウトクロス(異系交配種)を提供すると確信している。

 同氏はこう語った。「豪州で最も聡明な生産者の1人ジョン・メッサーラ氏の行動を見習うとすれば、同氏はサンデーサイレンスのサイアーライン(牡系)に多くの資金を費やしてきました。とりわけ同氏とジョン・シングルトン(John Singleton)氏は、サンデーサイレンスのもとに多くの牝馬を送りました」。

 「私と息子のアリステアは、豪州では2~3世代遡っても現地の血統が少々あふれすぎていると考えています。そして私たちは絶えずスピード馬ばかりを生産しているので、多くの馬は3歳には現役を引退します」。

 「ネオリアリズムがステイヤー(長距離馬)を送り出すだろうと言いたいのではありません。この馬はスピード馬を送り出すメドウレイクの影響を存分に受けており、早熟な2歳馬を沢山送り出すタイプだろうと思います」。

 「ただ、ネオリアリズムは産駒が3歳や4歳になっても競走生活を続けられるような血統的素質を十分に持っているでしょう。外見はスプリンターあるいはマイラーのようですが、力強さも秘めており、すらっとしています。スピードのある馬によく見られる短い管骨を持ち、素晴しい馬格をしています。後ろから見ても、理想的なスプリンターに見えます」。

 クイーンエリザベス2世カップでパキスタンスター(Pakistan Star)やワーザー(Werther)を負かしたネオリアリズムは種付料9,900豪ドル(約74万円)で供用される。

 スチュワート氏は、この種付料は生産者にとって魅力的な価格設定であり、マジックミリオン社ゴールドコースト3月1歳セールをはじめとするセリに上場すれば、生産者は十分な利益を上げられるだろうと考えている。

 ネオリアリズムの日本の生産者とオークランズスタッドは、同馬を種牡馬生活の最後まで支援する契約を交わしている。

By Tim Rowe/ANZ Bloodstock News

(1豪ドル=約75円)

[Racing Post 2019年5月13日「Japanese-bred Hong Kong Group 1 winner Neorealism to stand in Australia」]