海外競馬ニュース 2019年03月28日 - No.12 - 4
ゲーミング会社が"責任ある賭事"を促すために顧客の損益を公表(フィンランド)[その他]

 秘密主義の賭け事の世界において、顧客の損益を進んで公表しようとする賭事・ゲーミング業者がいたとしてもごくわずかだろう。しかし、その状況は変わるかもしれない。

 フィンランドのゲーミング業者のパフ社(Paf)は、"責任ある賭事"の促進を前面に打ち出し、顧客の損益を公表するという新たな領域に踏み込んだ。

 パフ社は、大口顧客を制限し、依存症のリスクがある顧客に対して直接的な販売促進を行わないことで、その社会的責任をこれまで以上に引き上げる。

 この画期的な提案を発表したパフ社のCEOクリスター・フォルシュテッド(Christer Fahlstedt)氏はこう語った。「弊社はおそらく、顧客データベースに見られる傾向を包み隠さずに示す世界初のゲーミング業者となるでしょう。数人の個人顧客が業績に莫大な影響を及ぼしうることを顧客統計は示しているので、ほとんどのゲーミング業者はこれを隠したがります」。

 フィンランドのオーランド諸島で創設されたパフ社は昨年、同社のオンラインゲームでプレーするすべての顧客に対して年間の損失額の上限を設けた。同社は、「弊社は"損失限度額"を適用する唯一の国際的なゲーミング業者です」と主張する。

 年間の損失額の上限は3万ユーロ(約375万円)とされている。この上限額は2018年9月から徐々に導入されており、これにより顧客層は変化している。大口顧客を失ったことでパフ社の収入は年間400万ユーロ(約5億円)減少したが、顧客数は1年前に比べて24%増加した。

 フォルシュテッド氏はこう語った。「弊社が"責任ある賭事"を促すために損失額の上限を導入し、より厳格な措置を取ったことで、大口顧客からの収入が1年間で400万ユーロ(約5億円)も減少しました。これは大変な金額です。しかし、これは受け取ることのできない、ゲーミング業界全体が『ノー』と言うべきお金です」。

 「大口顧客が損失額を大きく減らしたことが主要因となって、弊社の収入は減少しました。しかし同時に、より少ない金額でプレーする顧客を獲得しました。私たちはこの傾向を誇りに思っており、これは弊社の措置が具体的な効果をもたらしたことを示しています」。

 「また、顧客統計は弊社の顧客の3分の1がプラス収支で1年を終えたことを示しており、このことは忘れられがちです。これはなぜ多くの人々が儲けられると思ってプレーするのかを示しています」。

 顧客統計は、平均的な賭事客の損失額は2017年に648ユーロ(約8万1,000円)、2018年に522ユーロ(約6万5,250円)であったことを示している。2017年のパフ社の総収入は1億1,650万ユーロ(約145億6,250万円)で、2,940万ユーロ(約36億7,500万円)の利益を上げている。


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By Bruce Jackson

(1ユーロ=約125円)

[Racing Post 2019年3月19日「Gaming company reveals players' profits and losses in groundbreaking move」]