海外競馬ニュース 2017年11月02日 - No.43 - 1
ディープインパクト産駒のサクソンウォーリア、レーシングポストT優勝(イギリス)[その他]

 サクソンウォーリア(Saxon Warrior 父ディープインパクト)は10月28日のレーシングポストトロフィー(G1 ドンカスター競馬場)で、強敵ローリングライオン(Roaring Lion)を最後の数ヤードで差し返して優勝した。この勝利により、エイダン・オブライエン調教師は年間G1・26勝を達成して記録を塗り替えた。そして馬主の1人であるマイケル・テイバー(Michael Tabor)氏にとっては76歳の誕生日の素晴らしいプレゼントとなった。

 ライアン・ムーア騎手が英国平地シーズン最後のG1競走レーシングポストトロフィー(2歳戦)で優勝するのは、初めてのことだった。サクソンウォーリアは2018年英ダービー(G1 エプソム競馬場)の1番人気馬に浮上した。

 サクソンウォーリアは、スタンド側の1600mの直線で行われるこのレースで、先頭を走っていた2頭を悠々と追い抜いた。しかし、ローリングライオンが後方から急伸してきて、サクソンウォーリアの数完歩先に抜け出してきた。ムーア騎手は残り100ヤード(約91m)の地点でやっとこの馬にならび、サクソンウォーリアはこれに食らいついて差し返し、首差をつけて優勝した。勝ち時計は1分40秒12。オブライエン厩舎の出走馬4頭のうちの1頭であるザペンタゴン(The Pentagon)は前半に先行し、最終的にはローリングライオンの2½馬身後ろの3着となった。

 オブライエン調教師は、「とても嬉しく思います。サクソンウォーリアが道中とても力強く走り、ライアンが上手く誘導してくれました」と述べた。

 同調教師は、このレースの前の時点で、米国の故ボビー・フランケル(Bobby Frankel)調教師が2003年に打ち立てた年間G1・25勝の記録に並んでいた。今年ずっとこの記録の更新を目標にしていたオブライエン調教師はそのチームを称賛し、次のように述べた。

 「このような特別な人々と一緒に働けることは光栄です。とても良い環境で活動できています。私たちは長いチェーンの小さい輪にすぎません」。

 オブライエン調教師は、10月29日のフランスの2歳G1競走2レースに多頭数を登録している(訳注:この2レースは抗議行動のために中止)。また、11月3日・4日のブリーダーズカップ開催(デルマー競馬場)にも多くの有力な管理馬を出走させる予定なので、この記録を伸ばす可能性は高い。

 サクソンウォーリアは通算成績を3戦3勝とした。最初の2戦では大差をつけて優勝しており、前走のべレスフォードS(G2 ネース競馬場)では2着となった同厩馬のデラノルーズベルト(Delano Roosevelt)に2 1/2馬身差をつけた。

 米国産のキトゥンズジョイ産駒であるローリングライオン(母ヴィオネット、母父ストリートセンス)は、わずかに力及ばず敗れた。ジョン・ゴスデン調教師に管理され、カタールレーシング社に所有される同馬は、3連勝中だった。一番最近ではロイヤルロッジS(G2 ニューマーケット競馬場)を制している。

 オブライエン調教師はこれまでレーシングポストトロフィーを7勝していた。その勝馬のうち、ハイシャパラル(High Chaparral)とキャメロット(Camelot)の2頭は翌年の英ダービーを制している。また、ハイシャパラルは2002年と2003年のBCターフ(G1)も制した。

 サクソンウォーリアの血統は、日本とアイルランドの偉大な種牡馬の影響を受けている。父ディープインパクトは、1989年米国年度代表馬のサンデーサイレンスを父とし、ノーザンファームで生産された。ディープインパクト産駒は近年、日本競馬界に強い影響をもたらしている。サクソンウォーリアの母メイビー(Maybe 愛国産)は、有名なクールモアのガリレオを父とする。ガリレオ産駒は欧州の競馬界で目覚ましい活躍をしている。


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By Bob Kieckhefer

[bloodhorse.com 2017年10月28日「Saxon Warrior Denies Roaring Lion in Racing Post Trophy」]