海外競馬ニュース 2014年11月20日 - No.46 - 3
イタリア、重賞格付けはく奪を免れるも先行き不安(イタリア)[その他]

 賞金支払い延滞のために重賞格付けがはく奪されそうになっていたイタリアはその危機を免れたが、英国の馬主たちには10月7日、イタリア遠征に伴うリスクを引き続き認識しておくよう注意喚起が行われた。

 イタリアでは、重賞賞金が適時に(時には全く)支払われないことが続いたことから、ヨーロッパ・パターン競走委員会(European Pattern Committee: EPC)の他のメンバー4ヵ国は、本年4月、イタリアの競馬統轄機関に対し、2015年1月からその主要競走を重賞プログラムから除外すると通告していた。

 しかし、その後、特に賞金支払いに課された厳しい条件を満たしたということで、EPCは10月7日、イタリアが重賞プログラムに留まることに合意し、猶予が与えらることとなった。

 EPCがイタリアの立場を検討する会合を行ったIFHA(国際競馬統轄機関連盟)年次国際会議(通称:パリ会議)の閉会の辞において、EPCのブライアン・カヴァナー(Brian Kavanagh)会長は次のように語った。「前向きな反応を得ましたので、結果的にイタリアは2015年も引き続きEPCのメンバーに留まる予定です」。

 支払を受けていない者の中には、2012年グランクリテリウム(2013年までG1)の優勝馬ロウエンフォースメント(Law Enforcementリチャード・ハノン厩舎)の関係者がおり、8万ポンド(約1,120万円)が未払いであったが、イタリアに最後通告が送付された今年初めにはまだ支払われていなかった。それゆえ、英国調教馬のイタリア遠征は大きく減少していた。

 馬主協会(Racehorse Owners Association: ROA)のCEOリチャード・ウェイマン(Richard Wayman)氏は、次のように語った。「イタリア競馬が国際舞台に留まりたいのであれば、それに伴う責任を全うすべきです。もちろん、最終的に全額支払われたことには満足していますが、多くのROAメンバーへの賞金支払いに非常に長時間を要したことは全く容認できません」。

 「イタリアがEPCから除外されるという恐れは今なお非常に現実的であることを、イタリアの関係者は肝に銘じておくことが大切で、英国拠点の馬主には所有馬をイタリアに遠征させることにリスクが伴うことをしっかり認識してほしいと思っています」。

 イタリアの状況は引き続き監視される予定である。カヴァナー会長は次のように付言した。「現在の状況やイタリア側の約束には満足しています。しかし、条件が変更されることはなく、その条件は常に満たされなければなりません。そうでなければ、私たちは状況を再検討することになります」。

 カヴァナー会長は、2013年と2014年の全ての賞金額はEPCが要求したとおり90日以内に支払われたと報告した。さらに、イタリアは海外馬主に2012年最終四半期の未払い賞金も支払い、また、国内馬主には近々支払うことを約束した。

 同会長は次のように付け加えた。「国内馬主への2012年の賞金の残りの分が唯一未払いであり、その総額は2,700万ユーロ(約37億8,000万円)であると報告されています。現地の法律のためにこれは複雑な問題となっていますが、2015年には支払われる予定であり、イタリア競馬界はこの約束で満足しているようです」。

 イタリアの賞金未払いの問題は、農林政策省を通じて競馬を監督する政府と様々な競馬関係団体との間の混沌とした関係のために、改善が進んでこなかった。

 カヴァナー会長は次のように語った。「イタリア競馬を誰が運営するかについての問題が依然としてあり、それがこの問題に対するEPCの対応を難しいものにしています。賞金の支払いに関する今の姿勢が今後も続くかどうか、引き続き見守るしかありません」。

By Howard Wright and Jon Lees
(1ポンド=約180円、1ユーロ=約140円)

[Racing Post 2014年10月8日「Owners warned as Italy wins reprieve」]