海外競馬ニュース 2014年04月24日 - No.16 - 2
ヴィクトリア州、競走能力向上を目的としたコバルト使用を禁止(オーストラリア)[獣医・診療]

 豪州のレーシングヴィクトリア社(Racing Victoria Ltd.:RVL)がヴィクトリア州内でコバルト(cobalt)が馬の競走能力向上のために使用される可能性を阻止するために、この薬物の閾値を設けることを決定した。これを受けて、BHA(英国競馬統轄機構)も措置を講ずる構えである。

 4月14日発効の新ルールの下、尿1リットルにつき200マイクログラム以上の濃度のコバルトは禁止とされる。ヴィクトリア州では、競走当日でも調教中でも馬体内にこの閾値を上回る濃度のコバルトがあれば、ルール違反となる。

 ニュージャージー州のメドウランズ競馬場の繋駕競走の調教師2人が今年、その管理馬の体内からミネラルサプリメントとして入手可能のコバルトが尋常ではない高いレベルで検出されたことで調教停止処分を受けた。

 同場の統轄機関は調査に基づき、この過剰レベルのコバルト投与は競走能力を向上させることを目的としており、馬の健康と福祉に弊害をもたらすと結論付けた。これは心臓血管の異常、潜在的な神経異常、血液および甲状腺への毒性の密集を引き起こしかねない。

 RVLのデイル・ブラウン(Dayle Brown)社長は次のように語った。「コバルトがヴィクトリア州の競馬の公正確保および馬・騎手の福祉の両方に潜在的な脅威をもたらすと断言するのに確かな情報があります」。

 「獣医師の助言や法律上の助言を考慮して設定した尿1リットルあたり200マイクログラムの閾値よりもずっと低いレベルのコバルトは、馬体内に自然に存在します」。

 「このレベルを上回るコバルトが馬体内に存在すれば、それは異常であり、競走能力を向上させる目的で投与されたと固く信じています」。

 「コバルト投与は、酸素を運ぶ役割を持つ赤血球を体内に多く発生させるのに寄与し、馬を疲れさせることも体内に乳酸を作らせることもなく、最高レベルの競走能力をより長く維持させることができます」。

 BHAのスポークスマンであるロビン・マウンジー(Robin Mounsey)氏は、「他国の競馬統轄機関との定期的な協議や協力を通じてRVLの最近の動きを把握しており、コバルトが馬の福祉に危険をもたらし、競走能力に影響を与えることについても認識しています」と語った。

 そして、「私たちはすでに、英国競馬界でのコバルト投与を阻止する防護手段を取るために、積極的に対策を講じています」と付言した。

By Graham Green

[Racing Post 2014年4月8日「BHA set to act over cobalt after Racing Victoria ruling」]