海外競馬ニュース 2014年01月09日 - No.1 - 3
イタリアの主要競走、グループ格付けはく奪の可能性(イタリア)[開催・運営]

 イタリアの主要平地競走はグループ競走のステータスをはく奪される動きが強くなっており、イタリア競馬の止められないように見える危機への転落は、来年早々には行き着くところまで行くかもしれない。

 イタリアが国内馬・国外馬を問わず優勝馬の関係者に賞金をずっと支払っていないことに対し、各国の競馬統轄機関は対処を検討しており、G1競走7レースを含むイタリアのパターン競走は2015年までには事実上消滅する可能性がある。たとえば、昨年10月のグランクリテリウム(G1)を優勝したロウエンフォースメント(Law Enforcement リチャード・ハノン厩舎)の関係者に、8万ポンド(約1,360万円)足らずの賞金額が未だに支払われていない。このような支払い不履行への対応策としてBHA(英国競馬統轄機構)は、不満を表明するため、出走登録料をすべて前払いをしなればイタリア馬の英国での出走を認めないなどの措置を導入している。

 ヨーロッパ・パターン競走委員会(European Pattern Race Committee:EPRC)も行動を起こそうとしており、EPRCのブライアン・カヴァナー(Brian Kavanagh)会長は、次のように述べた。「イタリアで起こっていることは悲劇であり、誰もがこの状況に絶望しています。私はイタリアの競馬統轄機関や政府当局に書簡で不満を述べ、ルイ・ロマネ(Louis Romanet)氏はIFHA(国際競馬統轄機関連盟)を代表して、10月に書簡で現在の状況を看過し続けるわけにはいかないと勧告しました」。

 「イタリアからは未払いの賞金を支払う努力をしているという返答をもらいました。しかし、現在イタリア競馬は農業省によって監督されているので、きちんと機能する競馬統轄機関があることさえ疑わしいです」。

 2014年1月16日のEPRCの会合では、国際競馬界でイタリア競馬のステータスを大幅に格下げさせる一連の措置が発動されるかもしれない。

 カヴァナー会長は次のように語った。「これは未知の領域です。今後の流れとしては、イタリアが国際セリ名簿基準書(International Cataloguing Standards Book)のパートI国から格下げされ、レースからブラックタイプが失われるということになりますが、2015年まではそれが実施されることはないと考えています」。

 「悲しいことに、イタリアのグループ競走への海外馬の参戦意欲はなくなっており、格下げは避けようがなく、競走は見捨てられつつあります。この状態は、私たちがイタリアに警告してきたことです」。

 「これは、非常に不本意ながら最終的な制裁措置です。イタリアは誇るべき競馬の伝統を持ち、誰もこのようなことが欧州の国に起こるのを見たくありませんが、書簡での警告では不十分なところまで来ています」。

 BHAメディアマネージャーであるロビン・マウンジー(Robin Mounsey)氏は、BHAの立場を説明しつつ次のように語った。「イタリアの関係者は努力する意向を述べていますが、イタリアの競馬統轄機関は2012年以降の賞金未払い問題に対応できていません」。

 「そのためBHAは、イタリアに対しこの問題を出来るだけ速やかに解決するよう促す意図で、措置を講ずることとしました。この決定には、もはやイタリアのレースへの出走に関する公表や登録受付を行わないことや、イタリア調教馬が英国で出走登録する際には出走登録料の前払いを要求するという指示を、ウェザビーズ社(Weatherbys)に与える措置も含まれています」。

By Lee Mottershead
(1ポンド=約170円)

[Racing Post 2013年11月23日「Italy's biggest races could be stripped of Group status」]