海外競馬ニュース 2013年07月25日 - No.30 - 1
議論を呼んだ同着判定、BHAにより覆される(イギリス)[その他]

 ケンプトン競馬場の決勝審判委員であるデイヴ・スミス(Dave Smith)氏は先週の同着判定を誤りと認め、BHA(英国競馬統轄機構)によってレース結果が覆されたため、同氏は非難の的となった。

 きわどい勝負に即座の判定を下すことで知られているスミス氏は6月26日、2歳未勝利戦(1400m)がゴールしてから1分も経たずに、1番人気のエクストラノーブル(Extra Noble)とオッズ16-1(17倍)のファイアファイティング(Fire Fighting)に差はないとして同着判定を行った。

 同氏のこの拙速な判定のために、賭事客はソーシャルメディアや競馬関係の電子掲示板でこの結果に疑問を呈することとなった。そしてBHAが昨日解像度の高い決勝写真を精査したあと、スミス氏は自身の判定を見直して結果が変更されることに同意し、同時に内部調査も行われることとなった。

 BHAは声明において次のように述べた。「BHAは決勝審判委員のデイヴ・スミス氏に対し、エクストラノーブルとファイアファイティングを1着同着とする当初の判定を再検討するよう求めました」。

 「競馬施行規程のルール(B)62.2に定められている期間内(レース後5日以内)に再び調査を行った結果、スミス氏は、当初の判定は誤りでエクストラノーブルが1着でファイアファイティングが2着とすることに同意しました。BHAは訂正された着順を承認しました。また、スミス氏がこのレースを同着と判定するに至った経緯について内部調査を実施しています」。

 スミス氏が誤審したのはこれが初めてではない。同氏は、2011年10月にウィンザー競馬場でヴィミエロ(Vimiero)が勝ったと拙速に判定したときも、自身の誤りを認めざるを得なかった。同氏はその判定が間違っているかもしれないことに気付いて即座に写真判定を行い、ベットフェア社(Betfair)でオッズ1.03のディスコテカ(Discoteca)が短クビ差で優勝したと変更した。

 スミス氏はフリーランスで、今後の競馬開催において決勝審判を務める予定はなく、7月1日は連絡が取れなかった。決勝審判委員だったことのあるアリステア・スチュアート(Alistair Stuart)氏は、次のように同情的な見方をしている。

 「同着と判定するには写真を参考としなければなりません。ミスすることはありますが、スミス氏が同着と判定したのはそのとき同着だと考えたからでしょう」。

 「絶対的な同着もあり、その場合には2通りの見方はありません。しかし、決勝線のスリット写真はピクセル(解像度の最小単位、画素)の単位で構成されており、一見同着に見えても詳細に分析すると馬の鼻端が同一のピクセル内に入っているとは限らないケースもあることから、その見極めのため判定に時間を要する同着もあります。それがこの写真判定システムの課題ですが、今まで得たシステムの中では最も良い判定方法です」。

 ウィリアムヒル社(William Hill)は善意により、エクストラノーブルの馬券を買った賭事客に払戻しを行う予定である。インターネットおよび携帯電話の賭事客は本日の昼までに払戻し金が口座に振り込まれる。またベッティングショップで馬券を買った賭事客は、本日の昼以降に同じ店舗を訪れる必要がある。

 スタンジェームズ社(Stan James)もエクストラノーブルの投票券すべてに全額払い戻しを行う予定である。

[訳注:BHAはこの後内部調査を行い、標準作業手順書に従わなかったとし、デイヴ・スミス氏の解雇を決定した。スミス氏がこれについて申立てを行うかどうかは現時点では不明]

By Jon Lees

[Racing Post 2013年7月2日「Judge in dock as dead-heat overruled」]