海外競馬ニュース 2013年07月18日 - No.29 - 2
BHA、グレートリーズ競馬場からの2014年開催日程の申請を却下(イギリス)[開催・運営]

 エセックス州のグレートリーズ競馬場の2014年競馬開催日程申請が昨夜BHA(英国競馬統轄機構)に却下されたことから、その再オープンの可能性は非常に低くなった。BHAのこの決定は、同競馬場主催者に“全く恥ずべきことだ”と攻撃された。

 この申請却下により、グレートリーズ競馬場の閉場状態は6年に延びることとなる。そしてBHAの発表に対する申請者MCレーストラック社(MC Racetracks Limited: MCR)の声明における怒りを考えると、同競馬場での競馬再開自体が大きな疑問となるに違いない。

 MCRのキース・ブラウン(Keith Brown)会長は、「BHAの決定に対して失望し憤慨していますが、これでも相当抑えた表現です」と述べた。

 MCRはBHAが後から条件を変えたことを非難しているようだが、却下理由は公表されないようだ。BHAは準備された声明に何も補足しないだろうが、同競馬場をめぐる経緯に詳しい者によれば、BHAが懸念する点は多く、開催日申請の財源面での余裕の欠如のほか、グレートリーズ競馬場が開場から1年足らずの2009年に大論争の中で閉場した際の傷ついた評判などがあるようだ。

 BHAの公正・法律・リスク担当理事のアダム・ブリッケル(Adam Brickell)氏は、声明において次のように語った。「慎重かつ十分に考慮された上で開催申請がなされましたが、BHA理事会は、2014年競馬開催日程の配分にグレートリーズ競馬場の参加を認めませんでした」。

 ブリッケル氏は、同じ結果が他場の申請やMCRの今後の申請でも生じるとは限らないと強調した。「BHAは毎年、我々のガイドラインの下で新しい競馬場の申請に門戸を開いており、将来参加が見込まれる新規競馬場に必要な支援と助言を提供し続けます」。

 グレートリーズ競馬場は、英国で81年ぶりの新競馬場として2008年4月20に、エセックス州ショウグラウンドグループ(Essex County Showground Group)の管理下で、常設のグランドスタンドがないまま開場した。

 しかし2009年1月15日に競馬開催した2日後、同競馬場を所有している企業が会社再建手続きに入ったと発表された。2012年5月、BHAはMCRからの2013年競馬開催日程申請は承認されなかったと発表した。しかしMCRはその苦境に堪え、ついこの4月に、グレートリーズ競馬場はチェルムスフォード市議会から夜間照明を使用する許可を付与された。当時のMCRの説明によれば、この夜間照明はBHAの許可を獲得するのに非常に重要な要素であるとしていた。

 MCRのCEOトニー・ジェームズ(Tony James)氏は、グレートリーズ競馬場は地域の雇用を創出するとともにスポーツの場としてチェルムスフォードを地図に載せる可能性があると語っていた。

 しかし、競馬場協会(Racecourse Association)の前会長を務めていたブラウン氏が申請却下に対し怒りを露わにした声明を発表した昨晩は、心持はがらりと変わっていた。

 ブラウン氏は、2014年競馬開催日程の申請には、銀行、新しい株主、スポンサーおよび他の提携者の支援があったと主張した。

 「私たちはBHAが挙げたすべてのガイドラインを満たしましたが、彼らの解釈により、私たちの2014年競馬開催日程の配分への参加は却下されました。私たちはこれに徹底的に反論します」。

 ブラウン氏は次のように続けた。「BHAはどの段階においてもグレートリーズ競馬場が再度競馬を開催することを望んでいる様子はなく、私たちを排除する理由を見つけ出すために、法的および経理的問題によって手続きを進めました」。

 「真の敗者は競馬です。グレートリーズは、素晴らしい照明で照らされた英国一の馬場で、質の高いレースを観戦する機会を提供したことでしょう。グレートリーズに馬を出走させたニューマーケットの調教師によって、広く称賛されています。この素晴らしい競馬施設を否定することはまったく恥ずべきことです」。

 そして、「もう一人の敗者は、競馬への興味がこれから増すはずだったエセックスの人々です。私たちはチェルムフォード市議会から多大な支援を受けていますが、経済活動の成長の機会はBHAによって否定されました」と付言した。

By Tony Smurthwaite

(関連記事)2013年海外競馬ニュース No.9「4年間閉場のグレートリーズ競馬場、2014年開催を申請へ(イギリス)

[Racing Post 2013年6月28日「Great Leighs fury at fixtures snub」]