海外競馬ニュース 2013年06月13日 - No.24 - 3
オクラホマ州の竜巻で150頭以上の馬が死亡(アメリカ)[その他]

 ハッとさせられるような数字であるが、5月20日にオクラホマ州ムーアを襲った激しい竜巻によって、150頭以上の馬が死亡した。これはオクラホマシティーの南側の境界線沿いにある馬コミュニティー全体での頭数である。この数字にはセレスシャル・エイカーズ調教センター(Celestial Acres Training Center)に入厩しているサラブレッドとクォーターホースも含まれる。

 オクラホマ州競馬協会(Thoroughbred Racing Association of Oklahoma: TRAO)のジョー・ルーカス(Joe Lucas)副会長は、いくつかの組織と地元の獣医師および馬主が率先して馬の救助活動を行い、死亡頭数が判明したと語った。

 「残念ながら、死亡を確認した馬および安楽死措置を余儀なくされた馬は150頭以上に上りました。これはセレスシャル・エイカーズ調教センターに限らず、ムーア全体で確認された数字です」。

 ルーカス副会長は、所有馬が行方不明となった馬主のために州農務省を通じてホットラインが設けられていると述べた。さらに、馬の身元特定のために生存馬と死亡馬両方の写真を公表することが計画されており、TRAOとオクラホマ州繋駕競馬協会(Oklahoma Quarter Horse Racing Association)はそのプロセスを援助している、と付け足した。

 同副会長と共に行動したチームは、ムーアで唇のタトゥーによって確認された5頭の競走馬など18頭の生存馬を見つけ、5月22日にオクラホマシティーのレミントンパーク競馬場に輸送した。同副会長は、「私たちは見つけられる生存馬はすべて見つけ出したと思います」と語った。

 ルーカス副会長は、別に救助された10頭はムーア内の施設に送られ、さらに3頭は、行き場を失った馬に門戸を開放しているオクラホマシティーのセリ施設ヘリテージプレイス(Heritage Place)に輸送されたと語った。

 ヘリテージプレイスのスペンス・キドニー(Spence Kidney)社長は、「治療可能な極めて軽傷の馬は状況が落ち着くまで2〜3日滞在することができます。また、所有馬の居場所が分からない馬主にとって、ここは馬を確認する中心地となります。なんとかして力を貸したいと思っています。これは悲惨な状況です」と語った。

 キドニー社長は5月22日、同施設に小型のペイントホースの種牡馬と、ウォルシュポニーと思われる小さい芦毛の牝馬を迎え入れたと語った。

 オクラホマ州サラブレッド引退プログラム(Oklahoma Thoroughbred Retirement Program: OTRP)は、馬主に対して怪我を負った馬の治療費の一部を援助するなど、竜巻によって行き場を失った馬をサポートしている。また、OTRPはウェブサイト(www.otrp.info)を通じて飼糧と馬具の寄付を求めている。

 OTRPの理事であるクリス・カーク(Chris Kirk)氏は次のように語った。「私たちは馬そのものを保護するために資金を募っています」。

 同氏は、この困難な状況における最も感動的な出来事の一つは、サラブレッドで3歳未勝利の牝馬サーシャズイメージ(Sasha’s Image)の救助であったと語った。同馬は、竜巻が襲ってから24時間以上経った5月21日夜にセレスシャル・エイカーズ調教センターで発見された。馬房の扉の下からいなないているサーシャズイメージの声が聞こえたのである。

 「聞いた話によれば、同馬は横倒しになっており、耳は頭頂部にだらりと垂れていました。救助員たちは同馬を立ち上がらせましたが、耳は垂れたままでした。彼らは翌朝同馬の耳が再びピンと立ったと述べました。同馬は非常に苦しみましたが、回復しつつあります」。


テキサス州のデュラント氏の牧場も被害

 ダラス近郊のロンスターパーク競馬場で常にリーディングオーナーであるトム・デュラント(Tom Durant)氏は5月22日、テキサス州グランベリーにある牧場に竜巻の大きな損害を受けた。この竜巻のために、デュラント氏は9頭を失い、うち5頭は所有するステークス勝馬シングベイビーシング(Sing Baby Sing)の1歳産駒であった。

 デュラント氏の個人的な調教師であるジャック・ブルーナー(Jack Bruner)氏は、「私たちは竜巻の直接的な被害を受けました」と語った。

 人命が奪われることはなかったが、馬房だけでなく、4台のトラクター、牧草の貯蔵所および“何マイルにもわたる牧柵”が破壊され、6頭乗りの馬運車はまだ見つかっていないとブルーナー氏は語った。また、デュラント氏の所有馬15頭は、テキサス州ウェザーフォードにある馬専門クリニックである馬スポーツ医学外科(Equine Sports Medicine Surgery)で治療を受けていると述べた。

 「クリニックの人たちがどれだけ尽くしてくれたか言葉に言い表せません。彼らなしでは対処することができなかったでしょう」。

 ブルーナー氏は、デュラン氏所有の牝馬と仔馬の大半はレーンズエンド・テキサス牧場(Lane’s End Texas)にいて、現役馬はロンスターパーク競馬場で出走していると述べた。5月23日には牧場の片づけが行われており、同氏は「牧場は建て直すつもりです」と付言した。

By Mary Rampellini

[Daily Racing Form 2013年5月23日「Oklahoma tornado killed at least 150 horses」]