海外競馬ニュース 2013年05月02日 - No.18 - 1
ブリーダーズカップは、開催地の決定時期を定着させるべき(アメリカ)[その他]

 ニュージャージー州イーストラザフォードにあるニューヨークジャイアンツとニューヨークジェッツの本拠地メットライフスタジアム(MetLife Stadium)のオーナーたちは3年間にわたり、2014年スーパーボウル開催のために計画を練ってきている。主催者はこうした期間の間に、NFL(ナショナル・フットボール・リーグ)決勝戦を観戦する数千人のファンに向けさまざまなイベントを調整するために、世界有数のエンターテイナーを集め、地元都市と共に取り組みを行うことができる。

 アリゾナ州グレンデールにあるユニバーシティ・オブ・フェニックス・スタジアム(University of Phoenix Stadium)のオーナーたちも、2015年スーパーボウル開催がすでに決まっているので、同じく充実した時間を過ごしている。

 しかし、2014年ブリーダーズカップがどこで開催されるかは誰も知らない。

 また、2015年ブリーダーズカップの開催地はいつ承認されるのだろうか?ブリーダーズカップ協会(Breeders’ Cup Ltd.: BCL)の理事会が過去6年間とは異なる方針を採らない限り、2014年の晩春か夏まで承認されないことになる。

 BCLの会長兼CEOのクレイグ・フラヴェル(Craig Fravel)氏は先週、45日以内に2014年の開催地が決定されることを望んでいると述べた。開催地の発表が決定とほぼ同じ時期であれば、ケンタッキーダービー(G1)前後になるだろう。その場合2014年の開催競馬場は、2012年のサンタアニタ競馬場に比べ数ヵ月長い準備期間が得られる。2012年の開催地は2011年8月に発表されていた。

 BCLはかつて、かなり前の時期から計画を練っていた。たとえば、2001年9月にBCL理事会は2002年から2005年までの開催地を決定していた。最も近年で開催地となることを2年以上前に知らされたのはチャーチルダウンズ競馬場で、2008年10月に2010年開催地になったことを知らされていた。

 フラヴェル氏はより早い開催場の決定が望ましいとしていたが、「競馬界における他の事情と同様に決定過程はより複雑になっています」と語った。

 そして次のように続けた。「マグナエンターテインメント社(Magna Entertainment Group)やNYRA(ニューヨーク州競馬協会)の破産やストロナックグループ(Stronach Group)の経営陣交代など、いくつかの不測の事態に直面しました。これらの外的要因のために現在のやり方になってしまっています。5年先の開催地を発表しておきたいものですが、それが可能であったと思われる年は近年ありません」。

 このほか背景に飛び交っている問題には、ブリーダーズカップが2歳馬への競走当日のサリックス使用を禁止し続けるとの方針や、ブリーダーズカップの永続的な開催地を設けたいとの考えがある。

 連邦法は競馬場に、レースのサイマルキャスト賭事を提供する前にホースマンの同意を得ることを義務付けている。多くのホースマングループがサリックス使用禁止に反対していることを考慮すると、この方針が今年以降も続けば、2014年以降のサイマルキャスト賭事提供が簡単に合意に至と期待するのは非現実的であるように思われる。

 フラヴェル氏は、BCL理事会メンバーはホースメングループとの非公式の会合を持ったが、“薬物使用方針についての正式な会合”は持っていないと述べるだけだろう。

 永続的なブリーダーズカップ開催地の実現性を検討することは、BCLの2009年の戦略計画の中にすでにあったが、フラヴェル氏は、この検討が現在の開催地決定で役割を演じているかどうかを明らかにしないだろう。

 フラヴェル氏は、「永続的開催地は選定されていないので、中東和平交渉でよく言われるように、すべての選択肢がテーブルの上にあります」と語った。

 多くの人々は、2005年以降開催実績のないベルモントパーク競馬場にブリーダーズカップを呼び戻すことを熱望している。ベルモントパーク競馬場は、2〜3年前2013年ブリーダーズカップ開催地として有力視されていたが、その後NYRAは発言権を失った。控除金スキャンダルがエスカレートし、3年間にわたる事業再構築を通じてニューヨーク州がNYRAを引き継ぐに至ったからである。

 ベルモントパーク競馬場はNYRAの賭事売上げが堅調であったが、2014年ブリーダーズカップ開催地としては“大穴”でしかない。しかし、おそらく事業再構築委員会の活動がいくらか可能性を提供している。

 モンマスパーク競馬場は2013年ブリーダーズカップの招致活動を行い、2014年も同じ意欲でロビー活動を行っている。ニュージャージー州にとってスーパーボウルとブリーダーズカップの同年開催はきっと素晴らしいことになるだろう。

 2014年にどこでブリーダーズカップが開催されるかにかかわらず、競馬界の看板とも言える開催は、その開催地決定が遅いことから、マーケティングにおいてもプロモーションにおいてもスーパーボウルに遅れをとり続けることになる。

 ブリーダーズカップを異なる競馬場で持ち回り開催することは、全米の競馬ファンがイベントに参加し、スター馬を近くで見ることができることから、正しかったと言える。しかし、フラヴェル氏が指摘したように、開催地の決定はしばしば混乱の中で行われている。ブリーダーズカップはその開催地決定過程において多くの不確実性を取り除く必要がある。3〜4場を選定し、一定のローテンションを組むのが良い。同じ競馬場が2年連続で開催するのも良い。ローテーションが決まれば、ブリーダーズカップはイベントを発展させる長期のビジネス関係を築くことに集中することができる。三冠競走の開催競馬場がいつも決まっていることからも良く分かる。

 ブリーダーズカップは開催地の予測が可能になれば、ファンはスター馬を見ることができ、全ての人々が満足することになる。

By Eric Mitchell

[The Blood-Horse 2013年3月30日「What’s going on here―Site Prep」]