海外競馬ニュース 2012年02月16日 - No.8 - 3
学校で賭事に関する教育を行う提案が批判される(イギリス)[その他]

 ガムケア(GamCare:ギャンブルに関する問題を抱えている人に対する支援を行っている慈善団体)は、大人になってからの問題を予防する国の教育カリキュラムの一環として、12歳の子供たちに対する賭事教育を要求し、議論を巻き起こした。

 すなわちガムケアは、賭事産業の資金調達者であるグレート基金(GREaT foundation)の支援を得て、政府が個人・社会・保健教育を見直す計画を提案したが、その実施にはその利点について両親、教師、宗教機関およびその他の団体を納得させる必要がある。

 メソジスト教会、全英女性教師連合協会(National Association of Schoolmasters Union of Women Teachers:NASUWT)および下院教育選定委員会(Commons Education Selection Committee)議長のグラハム・スチュアート(Graham Stuart)下院議員は、すでに懸念を表明している。スチュアート議員は英国タイムズ紙(The Times)に対して、「私は学校を社会の病の万能薬としようとする動きに神経質です」と語った。

 タイムズ紙は12月3日付のレポートにおいて、生徒たちは中等教育課程(secondary school)の1年目から、オッズの形式と算出方法について学ぶための授業を受けるだろうと述べたが、かつてガラコーラル社(Gala Coral)の会長を務め、現在はグレート基金の会長を務めるニール・グールデン(Neil Goulden)氏は、扇情的であると撥ねつけた。グレート基金は、英国の大手賭事業者に支援され、賭事問題に関する研究、教育および治療に対して年間500万ポンド(約6億5,000万円)を支出してギャンブル依存症に立ち向かっており、ガムケアはその主要な受給者である。

 グールデン氏は次のように語った。「私たちは、人々が賭事の問題を抱えないようにするための最善策の1つは、人々に賭事のリスクおよび責任を持って賭事を行う方法について教えることだと強く確信しています」。

「ガムケアは、子供たちがアルコールや安全なセックスについてと同じようにギャンブルについて学ぶことができるように、賭事が学校のカリキュラムに入れられるべきであると確信しており、私たちもその見解を共有しています」。

 そして、「政府がガムケアの提案に従って行動する場合には、私たちは必要となる情報とデータを提供し、プログラムを考案する手助けを行い、指導する人々に支払うために教育機関と一緒に取り組むことができるでしょう。そのようにして私たちはこの制度を軌道に乗せるために財政を支出することができます」と付言した。

 ガムケアのCEOであるアンディ・マクレラン(Andy McLellan)氏は次のように語った。「ガムケアの中心的な目標の1つは、賭事がすべての人々にとって安全であることを確かにすることです」。

「大多数の人々にとって、賭事は楽しい余暇ですが、常に6万人ほどの12歳〜15歳の子供たちがすでにギャンブル依存症となっていることも私たちは認識しており、有病率は2%で成人の2倍です。この問題解決の鍵は、十代の若者たち、親、教師へのより良い教育にあります」。

 マクラレン氏は次のように付言した。「文部省の検討によって、個人・社会・保健教育のカリキュラムは賭事の潜在的な危険性についての認識を高めるべきであり、リスクと蓋然性を理解することおよび責任ある賭事を行う方法についての情報を含むべきである、と私たちは主張することができます。このことは、若い人々がすでにアルコール、ドラッグ、煙草のリクスについてアドバイスを受けていることと全く同じです」。

 競馬変革プロジェクト(Racing For Change)の広報担当理事であるニック・アッテンボロー(Nick Attenborough)氏は、「もしこの提案により人々に責任ある賭事が指導され、賭けをする喜びを伝えられるならば、それは素晴らしいアイデアだと思います」と語った。

By Graham Green

[Racing Post 2011年12月4日「GamCare’s proposal to teach gambling in schools is criticised」]