海外競馬ニュース 2010年03月04日 - No.9 - 3
主要馬産地ハンターバレー、採鉱拡大の危機と戦う(オーストラリア)[その他]

 オーストラリアの主要なサラブレッド生産地であるハンターバレーは、競走馬生産業に取り返しのつかない打撃を与えると言われている採鉱拡大の阻止を目的とした大規模なキャンペーンに乗り出した(訳注:ハンターバレーはオーストラリア国内最大級の石炭開発地域)。

 ハンターバレー・サラブレッド生産者グループ(Thoroughbred Breeders of the Hunter Valley group)は、このことについてより広範囲の競馬関係者に注意を促すため、最近ゴールドコーストで開催されたマジックミリオンズ社(Magic Millions)の1歳セリにおいて“競馬産業を守ろう(Protect Our Industries)キャンペーン”を行った。それ以降、同グループはオーストラリアサラブレッド生産者協会(Thoroughbred Breeders Australia)、ニューサウスウェールズ生産者協会(New South Wales Breeders)、ハンターバレー生産者協会(Hunter Valley Breeders Association)を含む複数の主要な団体から支援を得ている。

 キャンペーンの主導者であるヘンリー・プランプトリ(Henry Plumptre)氏によると、地元の生産者は採鉱に反対しているわけではないがそれが拡大することを恐れている。モハメド殿下(Sheikh Mohammed bin Rashid al Maktoum)所有のダーレー・オーストラリア社(Darley Australia)の代表を務めるプランプトリ氏はまた、近年ハンターバレーにおいて採鉱活動が徐々に増えていること、そしてサラブレッド生産者は農地の競争的需要に対して“両者が円満に共存できる解決法”を模索したいと考えていることを付け加えた。

 プランプトリ氏は次のように言った。「現在私たちは、ますます増えている採鉱活動がもたらす影響に取り巻かれており、ハンターバレーにおける私たちの生存が脅かされています。採鉱によって増加する農地の浸食と、それが私たちの水質、大気汚染、そして私たち自身と馬の健康に与える累積的影響について、深刻に心配しています。見過ごせば、これらの要素は将来の私たちの産業、従業員、馬、国際的な評判、そして地域の未来に多大な影響を与えることになるでしょう」。

 ハンターバレーはオーストラリアの競走馬生産業の中心として世界に認められており、この地域の牧場の密集度はケンタッキーに続いて世界第2位である。ハンターバレーはニューサウスウェールズだけでも、11億米ドル(1100億円)の経済効果に寄与している。

 プランプトリ氏は、「採鉱活動は私たちの産業、従業員、地域、そして世界的な評判に破滅的な影響を与えるでしょう。私たちがニューサウスウェールズ州知事とその主要な大臣をこの地へ招いて、私たちと会合し、ハンターバレーを視察し、産業が直面している課題を直接目の当たりにしてもらったのはそのためです」と述べた。

 プランプトリ氏は、「キャンペーンに対する反応は、オーストラリアの競馬および馬生産業が堅く結束してこの活動を支援しているため非常に心強いです。アローフィールド(Arrowfield)、クールモア(Coolmore)、ダーレー(Darley)、ヴァイナリー(Vinary)、そしてヤラマン(Yarraman)牧場などの、特にハンターバレーの生産者が、共通の決意を持って結束し、私たちの産業およびこの地域の他の農業を守るためにキャンペーンを行っています」と語った。

 同氏は、「ハンターバレーにおけるこの草の根レベルの取り組みは、国内および世界のサラブレッド産業と連帯し、支援を受けています。ニュージーランド、フランスおよび英国のサラブレッド生産者仲間たちも、私たちの活動に支援の手を差し伸べてくれています」と補足した。

(1米ドル=約100円)
By Shane McNally

[Thoroughbred Times 2010年1月23日「Australia’s Hunter Valley fights mining danger」]