海外競馬ニュース 2010年11月11日 - No.45 - 4
ゴフス社、損失補填のためアルカナ社の 株式を大量に売却(アイルランド)[生産]

 アイルランドのセリ会社であるゴフス社(Goffs)は、640万ユーロ(約7億6,800万円)の税引前損失の補填に役立てるために、フランスの同系会社であるアルカナ社(Arqana)の株の大部分を750万ユーロ(約9億円)で売却した。

 アガ・カーン殿下(Aga Khan)の所有するグレンフェル社(Grenfell Ltd.)が、このフランスのセリ会社の26.67%を占める株式をゴフス社から購入した。アガ・カーン殿下はまた、アルカナ社の株の5%を保有しているゴフス社の株式のうち40%を保有している。

 2010年3月10日に終了した事業年度にゴフス社が計上した640万ユーロ(約7億6,800万円)の損失は、その前年度の310万ユーロ(約3億7,200万円)の損失よりもはるかに悪い数字である。これは、サラブレッド生産業を襲っている一般的な経済不況を示しているだけではなく、購買代金を支払わない顧客が増えているという問題も示している。

 この損失には、購買代金支払期限を過ぎた570万ユーロ(約6億8,400万円)の負債に対処するための例外的な多額の引当金も含まれている。

 ゴフス社のエイミア・マルハーン(Eimear Mulhern)会長は、「アルカナ社の株の売却は、ゴフス社の企業準備金を310万ユーロ(3億7,200万円)改善させ、企業財務の将来を保証し、会社の長期的な可能性を高めるために自信を持って前進することを可能にします」と語った。

 CEOであるヘンリー・ビービ(Henry Beeby)氏は、「ヨーロッパのすべてのセリ会社は、買い手から購入代金を受け取っても受け取っていなくても売り手に支払っています。イギリスとアイルランドにおいては購入後35日以内に支払いを行うことが義務付けられているのです」と語った。

 「私たちは、35日以内には大多数の買い手から購入代金を受け取っていません。それに問題はなく、私たちは信用供与期間を設けているのです。そのため私たちは、運営資金を持って短期間の資金を供給できることが必要です」。

 しかしゴフス社の資金繰りは、特にここ12ヵ月間にビービ氏が“恐ろしい”と認めたほどの損失につながってしまった“膨張する回収不能金”により影響を受けてしまった。

 ビービ氏は、「“購買者は支払いをせずに済ましているのではないか”と言う人もいますが、彼らは逃げ切ったわけではありません。なぜなら、私たちはそれを貸倒れと見なして損金処理してしまったわけではなく、その回収不能金のために引当金の処理をしただけだからです」と語った。

 「私たちはゴフス社から資金を借りている人々を精力的に追跡しており、使える手段をすべて行使しています。私たちは多くの人々に対して訴訟を起こしており、彼らは自身が何をしたのか分かっています」。

 ビービ氏はより一般的な経済問題にコメントし、「私たちがアイルランドで直面した問題は、以前非常に裕福だった人々が突如として現金に事欠くようになったことです」と述べた。

 同氏は、「このことにより、私たちには対処しなければならない大きな課題が残りました。私たちは現在その痛みを肩代わりし、顧客をその痛みから保護してきました。そしてそのことが重要なのです」と付言した。

 ゴフス社の3月10日までの事業収益は、前年度の1,760万ユーロ(約21億1,200万円)から1,470万ユーロ(約17億6,400万円)に減少したが、それは前年度の1億200万ユーロ(約122億4,000万円)から8,100万ユーロ(約97億2,000万円)への売上げ減少の影響である。

 回収不能金の引当金を除いた運営費の総額は、前年度の1,110万ユーロ(13億3,200万円)から860万ユーロ(約10億3,200万円)となった。

 経済不況の前にゴフス社は、2007年3月に終わる事業年度において前年比36%増の490万ユーロ(約5億8,800万円)の利益をあげていた。

By Richard Griffiths
(1ユーロ=約120円)

[Racing Post 2010年10月2日「Goffs sells major share in Arqana after posting loss」]