海外競馬ニュース 2010年10月21日 - No.42 - 4
チャーチルダウンズ社、カジノ施設を買収(アメリカ)[その他]

 4競馬場を所有する株式会社であるチャーチルダウンズ社(Churchill Downs Inc.: CDI)は9月13日午前、ミシシッピ州のホテルとカジノを1億3,800万ドル(約138億円)で買収する契約に合意したと発表した。このことで、CDIは初めて競馬以外の資産を手に入れる。

 この買収は、監督機関により承認を得ることとCDIがミシシッピ州のカジノ運営免許を取得することを条件としている。この条件が満たされてカジノを買収することになれば、CDIは、貸借対照表の多角化を図り競馬がインターネットと電話で賭事を受け付ける独占権を失う可能性に備えて資本投下している中で、競馬産業から一歩離れることになるだろう。

 CDIはニューオリンズのフェアグラウンズ競馬場とフロリダ州のコルダー競馬場でカジノを運営しているが、ミシシッピ州グリーンビルにあるホテル内のハーローカジノリゾート(Harlow Casino Resort)は、CDIにとって競馬場以外で運営する初めてのカジノ資産となるだろう。CDIは発表において、2007年11月にオープンしたこのカジノには841台のスロットマシン、23のテーブルゲームおよび1つのポーカールームがあり、ホテルには105の客室および2,600席の“エンターテインメントセンター”があると述べた。CDIによれば、このカジノの昨年度の売上げは5,040万ドル(約50億4,000万円)であった。

 競馬の市場シェアにおける引き続く目減りと近年の売上げ減少を引き合いに出し、CDIのCEOであるロバート・エヴァンス(Robert Evans)氏は、CDIが安定して成長するためには競馬以外の収入源が必要であると強調した。ここ数年間にわたり、CDIは電話とインターネットによる賭事の拡大にその努力を傾けてきた。これはインターネット賭事を規制している連邦法が緩和されれば本格的な賭事の基盤となりえるだろう。CDIはまた、所有するチャーチルダウンズ競馬場とアーリントンパーク競馬場においてカジノを運営するために強力なロビー活動を行ってきた。

 エヴァンス氏は発表において、「私たちはハーローカジノリゾートを獲得し、競馬、ゲーミング、インターネット事業において多角化戦略を続行します」と述べた。

 CDIは、同社が回転信用供与機関からの現金と収入でカジノを購買すると述べた。カジノは現在、個人投資家のパートナーシップによって所有されている。

 CDIの第2四半期の財務諸表によれば、CDIは6月末で8,160万ドル(約81億6,000万円)の現金を所有していた。長期借入金は1億2,840万ドル(約128億4,000万円)であった。

 独立型のカジノに手を広げるに当たって、CDIは、10年ほど前にはウェストヴァージニア州とペンシルヴァニア州で規模の小さい競馬場を運営するに過ぎなかったペンナショナルゲーミング社(Penn National Gaming Inc.)の例に倣う。ペンナショナルゲーミング社はここ10年で、多くのカジノ施設を獲得あるいは建設するために借入金とスロットマシンからの収入を使い、米国において最大のカジノ運営企業の1つとなった。

By Matt Hegarty
(1ドル=約100円)

[Daily Racing Form 2010年9月15日「Churchill makes deal to buy casino」]