海外競馬ニュース 2010年08月12日 - No.32 - 3
競馬場協会、公正確保費用の負担提案に冷やかな反応(イギリス)[開催・運営]

 競馬場に競馬開催日の公正確保のための費用を負担させる提案は、賞金額への拠出に圧力を加えることになるだろう。

 これは、賦課金収入が劇的に下落し競馬開催日数の削減の可能性がある中で、競馬界の財源に与えられている圧力をいかに軽減するかに関して、デヴィッド・アシュフォース(David Ashforth)氏が7月12日付のレーシングポスト紙で行った提案に対する、競馬場協会(Racecourse Association: RCA)の最高経営責任者スティーヴン・アトキン(Stephen Atkin)氏からのメッセージである。(訳注:デヴィッド・アシュフォース氏は、1996年に年度代表競馬記者を受賞したことのあるレーシングポスト紙のコラムニストで、7月12日付のレーシングポスト紙に「賦課金収入が減少している状況の下で、賦課公社は競馬開催のコストを競馬場とブックメーカーに移転させる方向で行動すべきである」との提案記事を掲載した)。

 競馬賭事賦課公社(Levy Board:賦課公社)が5,940万ポンド(約83億1,600万円)の資金援助を行った2008-09年度には、そのうち2,500万ポンド(約35億円)以上が、免許を有する職員および安全・獣医分野の職員への人件費、薬物検査、監視カメラおよび決勝写真の経費として競馬場に交付されていた。

 アシュフォース氏は、これらのコストは競馬場によって負担されるべきであると示唆したが、アトキン氏は、このような措置はまだ映像権をめぐる取引が成立していないので、競馬場の賞金への拠出に負荷を掛けることになるだろうと述べた。

 アトキン氏は、「私たちはすでに、この問題に取り組む最善の方法についてBHA(英国競馬統轄機構)、賦課公社およびホースメングループ(Horsemen’s Group)と話し合っており、公正確保費用の問題も疑いもなくその1つです」と述べた。

 最新の数字である2008年においては、英国の60競馬場は税込みで1,800万ポンド(約25億2,000万円)の利益を還元しており、アトキン氏は、「競馬場は2,500万ポンド(約35億円)の追加経費を払うことができるでしょうか?」と述べた。

 「競馬場は現在、自身のポケットから現金3,000万ポンド(約42億円)を賞金額に拠出しており、このことに圧力が掛けられようとしています」。

 アトキン氏はまた、7月上旬にレーシングポスト紙に報道された、新しい最低賞金額レベルに関してホースメングループが行った提案について話し合いを行った。そして最近アラン・モルコム(Alan Morcombe)氏がホースメングループの最高経営責任者に任命されたことにより議論がスムーズに進むようになることを望んでいる。

 同氏は、「私たちは、競馬場の業績についてホースメングループとじっくり話し合いを始めました。競馬場は、彼ら同様に収入が安定していません」と語った。

 「話し合いは、私たちが新聞で読んだために行われることになったのではありません。モルコム氏が任命されたおかげだというのがポイントです」。

 「RCAは現在、モルコム氏との話し合いを続行しており、同氏が個々の競馬場と会合を行っていると理解しています」。

 RCAと賦課公社の間においても話し合いは進行中である。アトキン氏は次のように付言した。「私たちは賦課公社と、開催日程を調整していくための適切な方法を話し合っています」。

 「このことは競馬界全体に等しく影響するので、私たちは皆一緒に取り組んでいます」。

By Paul Eacott
(1ポンド=約140円)

[Racing Post 2010年7月13日「Integrity cost proposal gets short shrift from RCA chief executive」]