海外競馬ニュース 2010年07月15日 - No.28 - 2
英国の競馬場、トート社からのボーナスを受け取る(イギリス)[開催・運営]

 すべての英国の競馬場は、トート社(Tote)からの数百万ポンドに上る利益の分配を受ける予定である。

 トート社がパリミューチュエル賭事運営からのボーナス支払いを約束した連携協定の結果として、最低でも1万ポンド(約140万円)の小切手が5月29〜30日にかけて60競馬場に送付される。

 トート社への支援に最善を尽くした競馬場は、1年間の場内馬券売上げに基づいて、最低額の1万ポンドを上回る額を受け取るだろう。

 通常よりも早目に払い込まれているこの特別分配金は、トート社のプール部門における全体的な業績向上によりもたらされる。この業績向上には、英国内の売上げが減少する中で、ブックメーカーの営業所においてトート・ダイレクト社(Tote Direct)のシステムを利用して効率化を行った結果もたらされた海外からの賭事売上げも含まれている。

 今回のボーナスは、英国競馬界の財政危機の真っ只中において絶妙のタイミングでもたらされた。

 トート社のCEOであるトレヴァー・ボーモント(Trevor Beaumont)氏は5月27日、「新たな契約の下、私たちは事業年度末に賭事利益と損失勘定を検討し、研究と開発のために資金を確保し、残りを提携競馬場の間で分け合うでしょう」と語った。

 ボーモント氏は、マイク・スミス(Mike Smith)氏が会長を務める理事会が、経済状況および賦課金収入からの資金の減少を考慮して、当初の計画よりも早目に特別分配金を送付することを決定していたことを明らかにした。

 ボーモント氏はこの計画は継続されるだろうと述べ、次のように付言した。「理事会は、すべての競馬場が分配可能利益から意味のある大きさの金額を受け取れるようにすることを特に望んでいます。それゆえ、私たちは各競馬場に対して最低でも1万ポンド(約140万円)の受取りを保証しているのです」。

 「私たちは、大きな競馬場から小さな競馬場まですべてが財政難に直面していると認識しています。同時に、現状は地方の競馬場にとってより厳しいだろうと理解しており、今回の前倒しの支給は彼らが受けている圧力の一部を軽減する一助となるでしょう」。

 トート社の、スポンサーシップ、競馬場への手数料、そして利益分配などを通じた競馬への資金提供は、2010年においてはほぼ10%増加し、1,130万ポンド(約15億8,200万円)となる。

 そして賦課金支払いも加えれば、約2,000万ポンド(約28億円)に近い金額が競馬に拠出されることになる。

 競馬場は、この資金を何にでも使うことができる。「資金をどのように使うかは、私たちトート社が決めることではありません。そのための仕組みはすでに存在しており、それは賦課金システムです」とボーモント氏は付け足した。

 「私たちは、競馬界に分配する資金を調達するというトート社の本来の機能を行動で示しているのです。ライバル賭事会社の多くが苦境にある現在、今回の特別分配金の支給は素晴らしいニュースです」。

 トート社のプール部門の担当専務であるデヴィッド・クレイヴン(David Craven)氏は、すべての競馬場が連携協定を締結しているが、そのうちのいくつかの競馬場は非常に熱心にこの構想を受け入れていると述べた。

 同氏は次のように語った。「私たちの出発点は、オフィシャル賭事パートナーとなった2008年のエイントリー競馬場です。このことにより、初年度の場内馬券売上げは前年比14%増となりました」。

 「私たちは同様の利益をチェルトナム競馬場で経験しましたが、売上げが良いのは大きな競馬場だけではありません。ケルソー競馬場やニュートンアボット競馬場のようなところも、さまざまな販売促進を通して素晴らしい馬券売上げ増を示しました」。

By Howard Wright
(1ポンド=約140円)

[Racing Post 2010年5月28日「Britain’s courses earn share of seven-figure Tote bonus」]