海外競馬ニュース 2010年01月14日 - No.2 - 1
ニューヨーク競馬協会、ベルモントS中止の危機を示唆(アメリカ)[開催・運営]

 NYRA(ニューヨーク競馬協会)は2009年12月21日、もしニューヨーク州が早急にアケダクト競馬場のゲーム運営会社を指名しなければ、3冠競走の最後を締めくくるベルモントS(G1)を含むベルモントパーク競馬場の春開催とサラトガ競馬場の開催が危機に晒されるという緊急警告を発表した。

 NYRAのチャールズ・ヘイワード(Charles Hayward)理事長は、ベルモントパーク競馬場は2010年5月中に資金が切れてしまうだろうと述べた。その一方で、州職員はこの状況を認識しており危機が現実のものとなる前に対処するだろうと補足した。

 しかし同理事長は2009年12月21日、ベルモントパーク競馬場の閉鎖の可能性はあると述べた。

 同理事長は、「もし5月中にベルモントパーク競馬場の閉鎖の可能性があるのであれば、6月5日のベルモントSに米国中から調教師を招くことができません」と述べた。

 NYRAは2008年9月に、州がアケダクト、ベルモントパークおよびサラトガ競馬場の運営権を延長した際3000万ドル(約30億円)を受け取ったが、その資金はアケダクトのゲーム運営が可能になるまでのつなぎ資金と意図されていた。クイーンズトラック社(Queens track)は、第三者が4500台のスロットマシンを運営し、NYRAが収入の7%を受け取ることとなることを期待している。

 NYRAはまだ1500万ドル(約15億円)の資金を保有しているが、減少する馬券売上げと増加する経費は2010年半ばまでに底をつくかもしれない。

 ヘイワード理事長は、「私たちは2010年にはアケダクトおよびベルモントパーク競馬場で馬券売上げが9%減少し、サラトガ競馬場では5%減少すると見積もっています。したがってNYRAの収益は減少し続けるでしょう」と語った。

 また、12月7日、「公共料金、労働契約および必須の設備改善のような主要な支出に加えて、ニューヨーク市場外馬券発売公社(New York City Off Track Betting)はNYRAに対して1470万ドル(約14億7000万円)の債務を負っており、12月に予定されている返済は1月までに延期される恐れがあります」と語った。

 現在アケダクト競馬場と契約を交わすことを模索している企業は、(1) ペンナショナルゲーミング社(Penn National Gaming Inc.)、(2) バッファローを拠点とするデラウェアノース社(Delaware North Cos.)が率いるアケダクト・ゲーミング社(Aqueduct Gaming LLC)、(3) ラスベガスのMGMグランド(MGM Grand)の前会長ラリー・ウルフ(Larry Woolf Sr.)氏が経営陣の一員である複数企業共同体のアケダクト・エンターテイメント社(Aqueduct Entertainment Group)、(4) SLグリーン・リアルティー・トラスト社(SL Green Realty Trust)とその提携会社ハードロック・エンターテイメント社(Hard Rock Entertainment)、(5) ピーブルズ社(Peebles Corp.)とその提携会社MGMである。

 NYRAは以前、州に対してどの企業にも問題がないとしていたが、ここに至りヘイワード理事長は、NYRAは複合企業共同体であるアケダクト・エンターテイメント社に対して“大きな疑問を持っている”と語り、それ以上のコメントは控えた。

By Paul Post
(1ドル=約100円)

[thoroughbredtimes.com 2009年12月21日「NYRA says Belmont Stakes in jeopardy」]