海外競馬ニュース 2009年02月19日 - No.7 - 4
不況下でも競馬界の雇用は堅調 (イギリス)[その他]

 現在イギリスの失業者数は200万人と発表されたが、イギリスの調教師たちは、競馬界における失業者数は少ないと述べた。

 全業種における失業者数は、2008年10月にここ10年で最も多い186万人を記録し、アナリストたちは2011年には340万人に上ると予想している。

 フルタイムで働く厩舎スタッフの数は、2006年の5078人、2007年の5177人からわずかに減少し、2008年には4916人となったが、この減少には、ゴドルフィン社(Godolphin)のもとでドバイに渡った人々が含まれている。パートタイムで働くスタッフは、2006年は2351人、2007年は2347人、2008年は2242人であった。

 全国調教師連合会(National Trainers’ Federation: NTF)の最高経営責任者ルパート・アーノルド(Rupert Arnold)氏は、次のように述べた。「調教師たちを抽出調査したところ、現在のところ際立った解雇の問題は生じていないようです。強いて言えば、厩舎で働きたい人の数(予備軍)がわずかに増えていることぐらいでしょうか。もっとも、このような経済状況なので、調教師がしっかりした管理をするために十分な数のスタッフを雇っているとは言えないかも知れません」。

 ニューマーケットに厩舎をかまえ、ダービーを制しているジョン・ゴスデン(John Gosden)調教師は、「競馬界は失業問題に立ち向かっていた1970年代の事態に学ばなければなりません。うちの厩舎には現在十分なスタッフがいますしスタッフ希望者も多いのですが、私が大きな懸念を抱いているのは18ヵ月後の調教師と厩舎スタッフの状況です」と語った。

 同氏は次のように付言した。「調教師たちは、生産馬の数が削減された場合には危機感を抱くでしょう。生産の段階で馬が減れば、必然的に入厩する馬も減ります。このような事態は1973〜74年に起こりました。調教馬が減れば、調教師は雇用者数を減らさざるを得ないでしょう」。

 アバーガベニーのデーヴィット・エヴァンス(David Evans)調教師、リンカンシャー州のコナー・ドーア(Conor Dore)調教師およびランボーンのジェーン・チャプル=ハイアム(Jane Chapple-Hyam)調教師は全員、現時点では、厩舎スタッフたちの労働力の過剰が切迫した問題になっているとは言えないと述べた。

 エヴァンス調教師は、「現在のところ問題はありません。スタッフは十分に良い給料を得ていると思います。彼らは1日のレースで1週間の半分の賃金を得ています。彼らがいなければ結果を得られません。スタッフたちが分け前に満足していると確信しています」と述べた。

 抽出調査の結果は全国厩務員協会(National Association of Stable Staff: NASS)にも渡された。

 NASSの最高経営責任者ジム・コーネリアス(Jim Cornelius)氏は、「厩舎スタッフの削減が僅かですがあったと聞いていますが、削減が広範に行われているとは思いません。雇用の大幅な削減はないと確信しています」と述べた。

 ドーア調教師の厩舎スタッフはその大半が長期契約しており、地元の人々である。同調教師は、「大規模な調教センターでは困難があるでしょうが、表立ってはいません」と述べた。

 はるかに大規模な調教チームを持つミドルハムのマーク・ジョンストン(Mark Johnston)調教師は、ヨークシャータウンで調教師たちを圧迫する別の問題を次のように強調した。

 「私たちの厩舎にはスタッフの定員を超えた就職希望があり、待っている人の列が出来ています。ミドルハムにより多くの受け入れ先があることを望んでいますし、私たちもできるだけ雇用したいと思います」。

 ジェーン・チャプル=ハイアム調教師は、ランボーンの調教師たちは需要にも供給にも頭を痛めていないと述べた。同調教師は、「アップランズで私とともに働いているスタッフのなかには、競馬界内で転職する人もいます」と語った。

 再びニューマーケットに話を戻すと、ポール・ハウリング(Paul Howling)調教師は、厩舎スタッフの定着率は高く、短期間で変わるようには思われないと述べ、「私は現在のところ金銭的にも余裕があるため最も優秀なスタッフたちに恵まれています。私たちのスタッフは大変信頼できる人たちで、これ以上の満足はないでしょう」と語った。

By Tony Elves

[Racing Post 2009年1月21日「Racing well placed to defy unemployment crisis, say trainers」]