海外競馬ニュース 2009年02月12日 - No.6 - 1
競馬場、入場料の値下げで集客を図る (イギリス)[開催・運営]

 イギリスで最も人気のある競馬場のうち、2つの競馬場が、2009年に入場料を値下げする。開催日に観客席はガラガラで、馬券売場にも人けがなく、活気を失いがちな競馬場への集客がその狙いである。

 ケンプトン競馬場は全天候型馬場で施行される平地競馬開催日の入場料を25%値下げする。

 ケンプトン競馬場の最高経営責任者エイミー・スターキー(Amy Starkey)氏は、「来場者が厳しい経済事情の下で苦労されていることはよく分かっていますので、彼らが今後も当競馬場のレースを観に来られるように、出来るかぎりのことをしたいのです」と述べた。

 2009年1〜3月および10〜12月にケンプトン競馬場の平地競走の入場料は、2008年は大半が16ポンド(約2720円)であったのに対し、12ポンド(約2040円)となる。一方、夏の主要3開催の入場料は20ポンド(約3400円)から15ポンド(約2550円)に値下げされる。

 その他4〜9月の平地競走の開催日は1ポンド値下げされて、16ポンド(約2720円)から15ポンド(約2550円)になる。ケンプトン競馬場の年間75開催日のうち13開催日を占める障害競走(芝)開催日の入場料は据え置かれる。

 一方、ウルヴァーハンプトン競馬場は、1月の入場料を一部無料とし、2月以降のグランドスタンドの入場料を12ポンド(約2040円)から10ポンド(約1700円)に値下げする。同競馬場は2009年に83日の開催を行う予定であり、ここでもまた来場者たちにより安い入場券が提供される。

 同競馬場を所有するアリーナレジャー社(Arena Leisure)の広報主任ケイト・ヒルズ(Kate Hills)氏は、「当競馬場は、付加価値税(VAT)の税率引き下げに伴う入場料値下げを行います。すでに地方紙と全国紙で来場プロモーションを盛んに行っています」と述べた。

 姉妹競馬場であるドンカスター競馬場ではプレミア・デイ開催日の入場料が無料にされる。ヒルズ氏は、「来場プロモーションと観客動員数の動向を年間を通してチェックします。グループ競馬場の入場料はおよそ昨年と同額のままですが、オンラインで事前予約された方には、いくらかの値引きもしくはさらなる値引きを行うつもりです」と語った。

 しかし、大多数の競馬場は2009年の入場料を据え置く。値上げをするのはヘイドック競馬場およびエイントリー競馬場のグランドナショナル開催などわずかである。

 エイントリー競馬場の最高経営責任者ジュリアン・シック(Julian Thick)氏は、次のように語った。「競馬場の経費は増えていますが、付加価値税の税率が引き下げられるので、2009年の入場料を2008年の価格に据え置くことが可能になりました。唯一の例外はグランドナショナル開催であり、昨年8月に入場料の僅かな値上げを予告しました。値上げする代りに開催のエンターテイメント性を高めるつもりです」。

 アスコット競馬場では、付加価値税の税率引き下げの恩恵を一部の顧客に限って還元する。同競馬場の広報主任ニック・スミス(Nick Smith)氏は、「最近の付加価値税の税率引き下げに伴い、事前予約の顧客とボックス席所有者の入場料を値下げしました。当日入場料については端数が出てしまいますので値下げはできません。全体として、2009年の入場料は2008年とほぼ同じになります」と語った。

 ラドロー、マッセルバラ、パースなどの他の競馬場もまた、法人顧客と一括事前予約客は付加価値税の税率引き下げの恩恵を受けることを発表した。

 ラドロー競馬場の馬場取締委員ボブ・デーヴィーズ(Bob Davies)氏は、「一部を除き2009年の入場料は据え置きます。残念ですが、ゲートから入ってくる全ての顧客に対して値下げし少額を還元することは現実的ではありません」と語った。

 パース競馬場の最高経営責任者サム・モースヘッド(Sam Morshead)氏は、「私たちは事態を十分認識していますので、2009年の入場料のほとんどは据え置きにし、事前予約者と歓迎パッケージ購入者に対して最近の付加価値税の引き下げを反映させます」と述べた。

 同氏は、「唯一の例外は5月のゴールドカップ開催日で、この日は入場料の値上げを行います。この開催は大変人気があり、観客数は年々増加しています」と付言した。

競 馬 場 入 場 料
競馬場 2009年入場料 競馬場 2009年入場料
エイントリー 最低入場料据え置き
最高入場料は3ポンド値上げ
ラドロー 大半は変更なし
アスコット 変更なし マーケットレーゼン 変更なし
エア いずれの種類の入場料も1ポンド値上げ マッセルバラ 大半は変更なし
バンガー 未定 ニューベリ 変更なし
バス 変更なし ニューキャッスル 未定
ベヴァリー 一等席1ポンド値上げ ニューマーケット 変更なし
ブライトン 変更なし ニュートンアボット 変更なし
カーライル 変更なし ノッティンガム 変更なし
カートメル 未定 パース 大半は変更なし
カタリック 変更なし プランプトン 変更なし
チェルトナム 価格未設定 ポンテフラクト 変更なし
チェプストウ 変更なし レッドカー 変更なし
チェスター 未定 リポン 変更なし
ドンカスター 開催初期は通常の料金より引下げ ソールズベリー 未定
エプソム 再開発に伴い価格構成が行われる サンダウン 変更なし
エクセター 価格未設定 セッジフィールド 変更なし
フェイクナム 変更なし サウスウェル 変更なし
フォークストン 変更なし ストラットフォード 未定
フォントウェル 変更なし タウントン 変更なし
グッドウッド 未定 サースク 変更なし
グレートリーズ 変更なし トウスター 15日間無料
ハミルトン 未定 ユートクセター 変更なし
ヘイドック 最低入場料15ポンドへ値上げ ウォリック 変更なし
ヘレフォード 週日14ポンドのまま。
週末17ポンドへ値上げ
ウェザビー 変更なし
ヘクサム 変更なし ウィンカントン 価格未設定
ハンチンドン 変更なし ウィンザー 変更なし
ケルソー 一般入場料13ポンドへ値上げ
会員入場料2ポンド値上げ
ウルヴァーハンプトン グランドスタンド入場料
2〜10ポンド値下げ
ケンプトン 全天候馬場開催
16ポンドから12ポンドへ値下げ
ウースター 変更なし
レスター (新価格)最低入場料10ポンドのまま。
最高入場料32ポンドへ値上げ。
ヤーマス 変更なし
リングフィールド 変更なし ヨーク 変更なし

By Paul Eacott(1ポンド=約170円)

[Racing Post 2009年1月1日「Wolverhampton and Kempton cut prices in bid to boost attendance」]