海外競馬ニュース 2009年06月25日 - No.25 - 2
競馬従事者の健康と安全を概説する報告 (アメリカ)[その他]

 アメリカ国立労働安全衛生研究所(National Institute for Occupational Safety and Health: NIOSH)は、競馬産業従事者の安全と健康の向上に関する勧告をまとめた報告書を発表した。

 この報告は、2005年の連邦議会における騎手と厩務員のための健康保険と安全協定の現状についての公聴会を受けてのものであり、サラブレッド産業が騎手のために競馬場内での総合的な傷害保険を模索していた時期に作成された。

 保健福祉省(United States Department of Health and Human Services)の監督下にあるNIOSHは、議員たちから競馬界における潜在的危険について調査するよう依頼された。

 NIOSHは2007年5月に、騎手組合(Jockeys’ Guild)、全米サラブレッド競馬協会(National Thoroughbred Racing Association)アメリカ馬評議会(American Horse Council)グレイソン・ジョッキークラブ研究財団(Grayson-Jockey Club Research Foundation)および薬物規制標準化委員会(Racing Medication and Testing Consortium)などの機関から情報を得るために公開会合を開催した。NIOSHは上記の報告書で、証言の多くが騎手の減量と体重維持、負担重量調 整用の鉛による中毒そして騎乗中の事故による外部損傷の影響に関するものであると指摘した。

 NIOSHは全国電子傷害監視システム(National Electronic Injury Surveillance System)からのデータに基づいて、1998年から2006年に米国で発生したサラブレッド競走および繋駕競走による負傷・疾病の計1万4200件に ついて報告した。死亡事故は1992年から2006年にかけて79件発生し、内訳は調教師28件、騎手26件、調教騎手8件、厩務員7件その他競馬場関係 者10件であった。

 NIOSHは報告の要約において、「このデータは、競馬産業において騎手だけが危険に晒されている従事者ではないことを示しています。調教師、厩務員、 調教騎手その他の従事者は、騎手と同じ危険に頻繁に遭遇します。そして、これらの職種の人々も騎手と同様に、健康と安全に関する制度の恩恵を受けるべきで す」と述べている。また、競馬場内の人間の負傷事故を減らすために“統一様式の負傷報告書”にしたがって報告することを提案しており、各州ごとに規制が異 なっていることも“競馬従事者の安全と健康に悪影響を及ぼしている”と指摘している。

By Tom LaMarra

[The Blood-Horse 2009年5月23日「Report Outlines Human Safety, Health Issues in Racing」]