海外競馬ニュース 2008年09月11日 - No.36 - 3
ヴィクトリア州競馬界での不正行為の蔓延を明らかにした報告書(オーストラリア)[その他]

 メルボルンカップが開催されるヴィクトリア州の競馬界には、マネーロンダリング(資金洗浄)と不正行為が蔓延しているという報告書が公表され動揺が広がっている。

 ゴードン・ルイス(Gordon Lewis)州裁判所判事がまとめた報告書には、「組織犯罪がヴィクトリア州の競馬産業のさまざまな部分にはびこっている。ブックメーカーにおいてマネーロンダリングが日常的に行われており、組織犯罪の存在が最も顕著である」と記されている。

 報告書はまた、ブックメーカーが賭事客と共謀して、競走後に的中馬券を賭事客に売ったり、競走結果が分かってから賭事用機器を操作して勝ち馬に投票するなどの行為をあげた。

 偽名で700件近くの賭事を行ったために辞任を余儀なくされたレーシング・ヴィクトリア社(Racing Victoria Ltd.: RVL:ヴィクトリア州の競馬統括機関)の最高経営責任者スティーヴン・アランソン(Stephen Allanson)氏の後任として最近任命されたロブ・ハインズ(Rob Hines)氏は、競馬産業にマネーロンダリングがはびこっていることを認めた。同氏は、「犯罪は過去に蔓延していました。今でも存在していないというわけではありません」と述べた。

 アランソン氏の事件をうけて報告書作成を指示したヴィクトリア州のロブ・フルズ(Rob Hulls)競馬大臣は、“改善が必要であり可能である”と認めた。

 報告書はまた、競馬産業の3つの分野(平地競走、繋駕競走、グレイハウンド競走)の団結を要請するとともに、競馬界はヴィクトリア州の取締官庁ともっと連携を取るべきであると指摘している。

 競馬産業の報道発表によれば、3つの分野の各代表は報告書を支持している。RVLのマイケル・ダフィ(Michael Duffy)会長は、「改善の余地があります。ルイス判事は多くの重要な措置を提示されました。それらの措置については、ヴィクトリア州政府・警察および他の賭事業界と共同し調整を加えつつ、実施すべきだと思います」と語った。

By David Baxter

[Racing Post 2008年8月14日「Corruption ‘common’ in Victorian racing, says report」]