海外競馬ニュース 2007年02月01日 - No.4 - 5
2006年ドイツの競馬(ドイツ)[開催・運営]

 昨年、ドイツ競馬の実績は統計的に危機的なまでに縮小し、ドイツの競馬産業にとって良い年ではなかった。

 施行競走数は10年前には3,000レース以上あったのが僅かに1,780レースとなり、交付賞金総額も1,900万ユーロ(約28.5億円)だった (最高は1995年の2,500万ユーロ強(約38億円))。トート馬券の売得金額も、ピークとなった1994年の1億4,300万ユーロ(約215億 円)に比べ5,100万ユーロ(約77億円)に減少した。

 新しくドイツサラブレッド競馬生産管理委員会の最高責任者にエンゲルベルト・ハーム(Engelbert Halm)氏が任命され、2007年末までに全面的な組織改編を断行することが発表された。

 一方で、競馬自体についてはそれほど悪い状況ではなかった。ドイツで生まれドイツで調教された馬が最高レベルの活躍を続けた。特にフランスとイタリアで多くのグループ競走を勝ち、ドイツ産馬は今までで最高の評価を得た。

 シロッコ(Shirocco ドイツ産で、ダーレーに種牡馬として売却されるまではドイツ人が所有していた)は、2006年はアンドレ・ファーブル (Andre Fabre)調教師が調教したが、ドイツの生産馬の大きな広告塔となった。特にこの年最大の成功物語のひとつといわれた種牡馬モンズン(Monsun)の 評価を高めた。モンズンはシュレンダーハン牧場(Gestut Schlenderhan)にけい養されているが、わずか8世代の産駒で4回チャンピオン・サイヤーとなっている。彼はイタリアでも種牡馬成績首位、フラ ンスでも素晴らしい成績を残して第2位となった。

 ケルン競馬場を活動の本拠地とするペーター・シールゲン(Peter Schiergen)調教師は、有力なライバルだったアンドレアス・シュッツ(Andreas Schutz)調教師が香港に移住したことで、ドイツのトップ・トレーナーとしての地位を確かなものとした。

 シールゲン調教師は過去5年間に3度チャンピオン・トレーナーとなっている。そのランキングは収得賞金額ではなく勝鞍数によるものであるが、どちらの集 計によっても同氏の成績は明らかに首位を占めるので違いは生じない。同氏はドイツで86勝し153万ユーロ(約2億2,950万円)を獲得したが、障害競 走でも8勝し、ソルジャーホロー(Soldier Hollow)等の馬で外国でもかなりの額の賞金を獲得した。

 

By David Conolly-Smith
(1ユーロ=150円)


[Racing Post 2007年1月8日「Annual Report 2006 Germany」]