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2026年08月20日  - No.30 - 1

プリークネスSが歴史的な転換点を迎える(アメリカ)【開催・運営】


 アメリカの三冠競走と3歳馬路線にとって画期的な一週間は8月5日も続き、新たなメリーランドジョッキークラブ(MJC)が、同クラブの最も重要なレースであるプリークネスS(G1)の施行日の変更を発表した。

 MJCによると、2027年のプリークネスSの施行日を、長年定着していた5月の第3土曜日から、同月の第4日曜日に変更する。2027年以降も日曜開催とする方針で、2027年同レースはシーズン三冠競走の第一戦であるケンタッキーダービー(G1)から22日後となる。数十年にわたる慣例として、プリークネスSはケンタッキーダービーから2週間後に行われてきた。

 また同日、MJCはNBCスポーツによるプリークネスSの中継を2032年まで延長すると発表した。

 MJCの会長兼ゼネラルマネージャー、ビル・ノーフ氏は、施行日の変更により、ケンタッキーダービーの優勝馬のみならず、5月の第一土曜日(2027年は5月1日)という従来の日程で継続される三冠競走第一戦に出走した他の馬たちについても、出走を促しやすくなると考えている。同氏は、プリークネスSをケンタッキーダービーから2週間後に施行するという数十年にわたる伝統を変えることは難しい決断であったと認めつつも、新しい日程の方が現代の調教方法により適していると述べた。

 「他のプロスポーツも常にルールの見直しを行っています。今こそこの変更を行うべき時です」と、ノーフ氏は8月5日の午後、メリーランド州のウェス・ムーア知事とともに行った共同記者会見で述べた。「プリークネスSを1週間遅らせることで、はるかに多くの馬が出走できるようになるでしょう。それがまさに狙いです。一方で、3週間の間隔であれば、チャンピオンを試す意味での厳しさは維持されると思いますし、それを成し遂げるには多大な努力が必要です」。

 これはMJCにとって大きな転換点となる。今回が、非営利団体となった同クラブの管理下で行われる初のプリークネスSとなるからだ。MJCの前所有者であるストロナックグループ(1/STレーシング社)は、今年をもってプリークネスSへの関与を終えた。

 施行日変更の主な目的は、ケンタッキーダービーの出走馬、特に優勝馬をプリークネスSに呼び戻すことにある。過去2年間、ケンタッキーダービー優勝馬の関係者は、コンディションが良好であったにもかかわらず、5週間後に開催されるベルモントS(G1)への出走を優先し、プリークネスSを回避する選択をした。この戦略は両馬共に功を奏し、2025年にはソヴリンティが、今年はゴールデンテンポが2つのレースを制して、クラシック二冠を達成した。

 ケンタッキーダービーとプリークネスSの間隔が長くなることで、ケンタッキーダービー出走馬の関係者がプリークネスSへの出走を検討する理由が増えるかもしれないが、新たな問題として、2027年のプリークネスSは6月5日に予定されているベルモントS(1 1/2マイル、約2,400メートル)のわずか13日前に行われることかもしれない。

 ベルモントSの施行日は来年変更されることはない。プリークネスSの新たな施行日を受けて、ニューヨーク競馬協会(NYRA)の広報担当者は、「今週初めに発表された通り、2027年のベルモントSは6月5日(土)にリニューアル後のベルモントパーク競馬場で開催予定です」と述べた。

 ムーア知事も、プリークネスSの新日程に期待を寄せた。

 「ケンタッキーダービーの優勝馬が、三冠競走の第二戦であるプリークネスSに万全の態勢で臨めるよう、実施日を後ろにずらします。三冠競走は今後も継続され、プリークネスSの位置づけも変わりません」とムーア知事は語った。「施行日をずらすことで、ケンタッキーダービー出走馬には十分な時間と余裕が生まれ、その関係者も三冠競走への挑戦を続けることができます」。

 三冠競走全体は、コロナ禍の年を除いて1956年以来続く伝統として5週間の間で今後も行われることになるが、今回の変更だけで十分なのだろうか。現代の調教では、毎レース、あるいはほぼ毎レースで最高レベルのパフォーマンスを発揮させることを目指しており、ケンタッキーダービーからベルモントSの間の5週間の休養期間は、トップクラスの競走馬にとってはごく一般的になっている。また、そうした馬たちは、ステークス競走に出走しない馬よりもさらに長い休養期間を与えられることも多い。

 5週間に3つのレースに出走することは、現代の競馬において確かに異例のことだ。2025年の全競走馬の平均出走回数はわずか5.79回だった。この数字は2019年以降毎年6.1回を下回っており、2000年以降では毎年7.0回を下回っている。

 それでも、ムーア知事は、三冠競走の魅力が今後もトップクラスの競走馬や調教師たちをプリークネスSに引き寄せ続けると信じている。直近の5頭の三冠馬、ジャスティファイ、アメリカンファラオ、アファームド、シアトルスルー、そしてセクレタリアトは、いずれも5週間のスケジュールで三冠を達成した。

 「私はこれからもずっとメリーランドに賭け続けます」とムーア知事は語った。「プリークネスSは三冠競走の第二戦目であり続け、それは何があっても変わりません。そして、三冠を制すること、それこそが夢です。すべての騎手、すべての馬主、そしてすべての競走馬にとっての夢なのです。なぜそう言えるのかは私たちがセクレタリアトという名前を知っているからです。ウォーアドミラルも同様です。私たちが彼らの名前を認知しているのは、彼らがこの競馬界、そしてスポーツ全体で最も権威のある栄光を勝ち取ったからです」

 「つまり、私からのメッセージは、次の通りです。もし三冠を勝ち取りたいなら、ボルチモアでお待ちしています」。

 三冠競走を施行する三団体が、もはや協力関係を維持していないことは明らかだ。8月5日(水)に発表されたプリークネスS実施日の変更とテレビ放映契約の延長に先立ち8月3日(月)に他の2つの三冠競走の主催団体であるチャーチルダウンズ社(CDI)とNYRAが、3歳馬を対象とした全6レースのシリーズを立ち上げ、500万ドル(約8億円)のボーナス賞金を提供すると発表していた。

 このシリーズにはケンタッキーダービーとベルモントSが含まれるが、プリークネスSは含まれておらず、全6レースは5月1日から9月にかけて、ケンタッキー州のチャーチルダウンズ競馬場、ニューヨーク州のベルモントパーク競馬場およびサラトガ競馬場で行われる。このレース日程の構成は、三冠競走の第二戦目であるプリークネスSへの出走を検討している馬たちにも影響を及ぼすものと見られる。

 この高額のボーナスが新シリーズを魅力的にしている一方で、今週、ケンタッキーダービーを制した実績のある一部の競馬関係者たちからは、プリークネスSおよび三冠競走が引き続き持つ求心力を認める声が聞かれた。

 「ケンタッキーダービー優勝馬をプリークネスSに連れて行くことは、競馬において他に類を見ない体験です」と、グラハム・モーション調教師はMJCのプレスリリースで述べた。「私はアニマルキングダムでそれを体験する幸運に恵まれました。会場の熱気は信じられないほどで、観客全員が自分を後押ししてくれているように感じるのです。それは、すべての調教師が夢見る瞬間です」。

 月曜日にCDIとNYRAによる新シリーズの発表を受け、ソーシャルメディアの投稿で、殿堂入り調教師のボブ・バファート氏は次のように投稿した。「競馬における最大の偉業は、常に三冠制覇、すなわちケンタッキーダービー、プリークネスS、そしてベルモントSを制することであり続けます。三冠競走は150年以上にわたりこのスポーツを支えてきており、私たちがそれを大切にし、守り続ければ、今後さらに150年、あるいはそれ以上も競馬を支え続けるでしょう」

 「プリークネスSは競馬の歴史、現在、そして未来に欠かせない存在であり、その重要性を損なうようなことが一切ないことを願っています」。

 もっとも、状況は今後変わる可能性もある。8月3日(月)、NYRAのデイビッド・オールーク会長兼CEOは、将来的にプリークネスSがこのシリーズに加わる可能性を否定しなかった。

 「現在取り組んでいることに関して、今日の発表はその第一歩を告げるものです」とオールーク氏は述べた。「我々は基盤を築きたかったのですが、これは決して三冠競走に手を加えるものではありません」。

 新しい施行日によってケンタッキーダービー出走馬をより多く誘致できるという期待に加え、MJCの関係者は、同日程が今後多くの年でメモリアルデーの週末と重なることになる点にも言及した。来年は例外となるが、ノーフ氏によれば、今後6年間のうち4回は重なる見込みであり、メモリアルデーの週末の祝賀行事の中心地としてボルチモアに注目を集める機会となると述べた。

 3歳牝馬によるブラックアイドスーザンステークス(G2)の施行日も変更される。同競走は従来、プリークネスSの前日の金曜日に行われてきたが、今後は土曜日に移され、NBCスポーツもその中継を行うことになっている。

 「ブラックアイドスーザンSを土曜日に移動することで、ボルチモアでチャンピオンシップウィークエンドを創設します。ほとんどの場合、この新しい日程はメモリアルデーの週末に重なり、これが地域経済や地元企業に多大な活気をもたらすと確信しています」とノーフ氏は語った。「競馬界の注目がピムリコに集まる中、ボルチモアこそはメモリアルデーの週末の訪れるべき場所となるでしょう」。

 さらに追い風となるのが、来年のプリークネスSが伝統的な舞台であるピムリコ競馬場に戻ることだ。現在フロントサイド(観客エリア)の全面改修が進められており、2027年には新たな設備が完成する見込みはないが、開催地をボルチモアの同競馬場に戻し、仮設席を積極的に活用する計画だ。2026年は、ピムリコ競馬場の改修工事が始まったため、ローレルパーク競馬場がプリークネスSの開催地となっていた。新施設が完成すれば、より魅力が増し、MJCにとってより大きな収益源となるはずだ。

 新たなテレビ放送契約の延長に伴い、NBCはプリークネスSの放送局として最長記録を更新することになる。

 「我々は、ここメリーランド州で、今後数十年にわたるプリークネスSの将来を確かなものにすることができました。このエキサイティングな新時代を迎えるにあたり、MJCがNBCおよびピーコック(動画配信サービス)とのメディアパートナーシップを更新したことを大変嬉しく思います」とムーア知事は述べた。「この提携関係の継続と新たな開催日程により、競馬上級者からカジュアルなファンに至るまで、あらゆる人々が最適かつ手軽にレースを視聴できるようになります。一方、州政府としても歴史的規模の投資を続けるとともに、この象徴的な競走をメリーランド州の歴史、文化、経済を支える礎として活用していきます」。

 NBCスポーツの放映権獲得・パートナーシップ部門の最高責任者であるジョン・ミラー氏は、自身がメリーランド州で生まれ育ち、NBCが中継を始めた2001年以降すべてのプリークネスSを現地観戦してきたから、このイベントが自分にとって特別な思い入れがあると語った。また、レース間隔が1週間伸びたことにより、レースのさらなるプロモーションが可能になると述べた。その時期、NBCスポーツはケンタッキーダービーやNBAプレーオフといったイベントも放送しているためだ。

 「プリークネスSのメディアパートナーとしての関係を今後も継続できることを嬉しく思うとともに、土曜日と日曜日の両日にメリーランド州の最高のレースを紹介する充実した放送番組を楽しみにしています」とミラー氏は語った。「この契約延長は、MJCとNBCスポーツの間の強固な関係を証明するものであり、競馬に対する我々のコミットメントを強調するものです」。

 CDIとNYRAによる新しい競走シリーズの発表や、今年初めにCDIがプリークネスSの知的財産権の買収を試みたことが記憶に新しい中、ムーア知事は、プリークネスSの所有権がメリーランド州にあるという点を強調した。新たなMJCがメリーランド州の競馬運営を担う一方で、メリーランド州はピムリコ競馬場とローレルパーク競馬場の所有に加えプリークネスSの知的財産権も保有しており、ローレルパーク競馬場をトレーニングセンターとして活用する計画もある。知的財産権については、州が優先購入権を行使し、7月30日に8,500万ドル(約136億円)での買収を完了させた。

 「我々は自らの運命を自らの手で決めることができます」とムーア知事は述べた。「それを実現するために他者の助けは必要ありません」。

 プリークネスSの新たな取り組みでは、競馬場の本拠地であるパークハイツ地区への投資を含め、地域社会との連携を強化する計画も盛り込まれている。プリークネスSフェスティバルの理事を務めるメリーランド州ファーストレディのドーン・ムーア氏は、この包括的なアプローチの重要性を指摘した。

 「プリークネスSは単なるレースではなく、私たちの歴史を守ることなのです」とドーン・ムーア氏は語った。「地域社会を活性化させ、私たちの文化を受け入れることでもあります。過去の物語が未来を制限するものではないと信じることなのです。私たちは力を合わせれば、新たな一章を綴ることができます。メリーランド州のすべての家族が、自分たちが作り上げた機会を分かち合う一章。メリーランド州の企業が成長する一章。そして、全米の家族が『プリークネス』を『一生に一度は訪れたい場所』のリストに加える一章です」。

By Frank Angst

(1ドル=約160円)

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