なぜ発走時の目隠しを外すのが遅れてもノンランナーとならないのか(イギリス)【開催・運営】
賭けた馬がゲートの開いたタイミングで勝ち目を完全に失うのを見ることほどに、馬券購入者が嫌がることはほとんどない。そして、目隠しを外すのが遅れることは、それが起こる理由の1つである。では、イギリスで行われるレースにおいて、このような事例はどれほど一般的に起きているのだろうか?
これはヨーク競馬場のイボア開催で大きな話題となった。ITVの解説者であり元騎手のジェイソン・ウィーバー氏は、当日に大きく買われていたチェックアンドチャレンジが、ゲート内で装着していた目隠しを外すタイミングが遅れたことにより、発走時に後手を踏んだことについて、鞍上のカラム・シェパード騎手を批判した。
「大失敗だ、完全な大失敗だ」というのがウィーバー氏の見解であったが、シェパード騎手は、目隠しを外すタイミングを間違えただけだという指摘を否定し、次のように語った。「説明しておくと、私はゲート内で目隠しを自分で装着したので、目隠しを着けたまま枠入りする時のようにきっちりと馬具の下に押し込んで装着してはおらず、収まっていませんでした。外すタイミングを間違えたわけでも、手が滑って目隠しをつかみ損ねたわけでもありません。どういうわけか、目隠しがチークピーシーズに引っかかってしまったのです。もしかするとマジックテープの部分でしょうか? よく分かりません」。
裁決委員はシェパード騎手の説明を裁決レポートに記載したものの、チェックアンドチャレンジは(ノンランナー(除外)とはならず)出走馬のままとして扱われた。単勝オッズ26倍から11倍まで当日大きく買われた同馬の馬券購入者たちは損失を被ることになった。彼らの馬券は有効のままだった。
もしあなたが同馬に賭けていたなら、その馬が勝てるだけの力があったのかどうかを確かめる機会すら得られなかったことになる。ではなぜ、発走時に不利を受けた場合の中で、ノンランナーとなるものと、そうならないものがあるのだろうか?
決して珍しい事例ではない
データベース検索と、公表されている裁決レポートの手作業による確認を組み合わせた本紙の調査により、昨年は目隠しを外すのが遅れた、または外すのに時間がかかった事例が84件特定された。
昨年は8月31日までに55件あり、今年の同じ期間には53件あった。2025年の84頭の馬はすべて出走馬扱いとなった。今年の53頭のうち52頭も同様であった。
イギリスの競馬施行規程の、(H)6では、「馬が公平なスタートを阻まれ、その勝機に重大な影響があった場合馬、裁決委員はその馬をノンランナーとすることができる」と定めている。しかし、運用指針には、「騎手による外すことの遅れは、それ自体では(ノンランナーとする理由として)十分ではない」とも規定されている。裁決委員は、騎手以外の者によって装着された馬具、またはその他の外部要因によって他馬と同等な条件での発走が妨げられた場合に措置(ノンランナー)を講じることができる。
ルールの適用例
今年の最も極端な例はヴァンザマンである。5月にサースク競馬場で行われたレースで、同馬の目隠しはブリンカーに引っかかり、2度目の試みでようやく外れた。裁決レポートには、同馬が何馬身も出遅れ、「勝負に加わる機会を完全に失った」と記されていた。同馬は105馬身差で敗れたが出走馬扱いのままであり、その15日後にハミルトン競馬場にて単勝オッズ11倍で勝利した。
プロ騎手協会(PJA)の競馬担当常務理事であるデール・ギブソン氏は、目隠しを外すのが遅れるのには複数の要因があり得ることを認めた。
「第一に、目隠しは公正な発走を確保するための安全目的で装着されるものであり、公正な発走が最重要事項です」とギブソン氏は語った。
「目隠しは発馬機係員によって装着され、彼らは豊富な経験を有しています。初めて装着されるのか、あるいは目隠しをされることに対する馬の経験の程度に応じて、時としてこのような事例が発生することがあります。一般的に、目隠しは頭絡の頬革に挟み込んで取り付けます」
「(目隠しのような)追加の装具がある場合は決して簡単なことではなく、騎手はどれくらいしっかり装着されているかを何度もチェックします。馬がゲートに入ったら、それは騎手の責任です。私は目隠しを必要とする馬に何度も乗ってきましたが、目隠しに触れた瞬間に馬は飛び出そうとします」
「外すことの遅れは、ゲート内で馬がどれほどおとなしいか、てこずらせているか、あるいは土砂降りかどうかなど、多くの要因があります。つまるところ、騎手と馬の双方の要因が絡んで起こるのです」。
今年の例外的な事例はヤーマス競馬場でのアルマティスターであった。同馬が顔を横に向け、発馬機の仕切りに寄りかかっていたため、ジャック・ミッチェル騎手はゲートが開いた際、目隠しを外すことも同馬を完全に制御することもできなかった。裁決委員は、同馬が他馬と同等の条件で発走することを妨げられたと判断し、アルマティスターをノンランナーとした。
同じルールが英ダービー(G1)でのベンヴェヌートチェッリーニにも適用された。英ダービーの本命馬だった同馬は出遅れ、上位を狙える位置まで達することができず、10位で入線した。同馬は最終的に、ゲートが開いた際に後肢がゲート内側壁に挟まれていたため、ノンランナーと裁定された。
ギブソン氏は、馬が公正な発走を妨げられたかどうかという問題は、依然として議論の的となっていることを認めた。
「それは英ダービーによってさらに議論が大きくなったし、非常に物議を醸している問題です。先週カーライル競馬場でも首をかしげたくなるような事例がありましたが、それはその時点の規則に基づいて裁決委員が判断することになります。私たちは発走担当者や騎手と非常に緊密に連携しています」。
彼はこう付け加えた。「PJAは、経験豊富な安全管理責任者のチームを通じて、安全性および発走に関連するすべての問題について引き続き注意深く状況を把握していきます」。
By Casey Gore
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[Racing Post 9月7日「Why does a late blindfold removal rarely mean a non-runner despite a compromised start?」]

























