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2026年09月17日  - No.34 - 1

相次ぐ競馬場協会からの脱退、その背景と競馬場間の対立・前半(イギリス)【開催・運営】


 サイモン・コックス氏が10月1日付で英国競馬統括機関(BHA)の会長に就任する。同氏が率いるこの組織は、競馬場協会(RCA)が50%の持分を所有している。しかし、この状況がいつまで続くかは、まったく不透明である。

 BHAの残り50%の持分を共同で所有する競馬関係者側と同様に、英国の競馬場側もコックス氏を支持する姿勢では一致している。しかし、競馬場全体として、またBHAの最高意思決定レベルにおいて、自らをどのような形で代表させるべきかについては、各競馬場が一致していない。実際、競馬場間の不和は極めて深刻であり、コックス氏は就任早々、危機に直面することになりそうである。

 その中心にあるのが英ジョッキークラブである。アスコット競馬場は英ジョッキークラブに先立ってRCAから脱退する意向を明らかにし、トーントン競馬場は英ジョッキークラブに続いて脱退を発表した。しかし、15の競馬場を運営する英ジョッキークラブが今年の年末にRCAからの脱退を予定していることは、群を抜いて大きな懸念と不確実性を引き起こしている。

 英ジョッキークラブの動きは、英国競馬をより良い方向へと変革し、国を代表する主要レースを開催する競馬場の発言力を大幅に強め、多くの関係者が切実に必要だと考えている開催日割の抜本的な見直しへの道を開く可能性がある。しかしその一方で、英競馬界のガバナンス構造に最高レベルで混乱を引き起こし、RCAに甚大な財政的打撃を与える可能性があり、その影響から大多数の競馬場に多大な波及効果をもたらすことになりかねない。競馬場側は分裂に陥る可能性があり、長年の協力関係にあった競馬場同士でさえ別々の陣営に分かれる恐れがあるほか、競馬場が政府に対して一枚岩となって意見を表明する力も失われる可能性がある。

 RCAの苦境は3月に始まった。BHAが当時の会長であるアレン卿が辞任したその日、英ジョッキークラブ、アスコット競馬場、グッドウッド競馬場、ニューベリー競馬場、ヨーク競馬場は、RCAのウィルフ・ウォルシュ会長あてに書簡を送り、RCAに対しそのガバナンス体制を見直すよう求めた。書簡の署名者らは、競馬に影響を与える重要な決定においてより大きな発言権を求めると述べ、アレン卿が強く望んでいた完全に独立したBHA理事会の導入を望む意向を改めて表明した。

 この書簡についてコメントした際、アスコット競馬場はRCAからの脱退も辞さない姿勢を強調した。そして、RCAが従来の「一会員一票」の投票構造を、英ジョッキークラブ、アリーナレーシング社(ARC)、大手競馬場、小規模競馬場がそれぞれ25%の議決権を保有するモデルに改める提案を公表する前に、アスコット競馬場はすでにその警告を実行に移していた。RCAはまた、競馬をめぐる政治的意思決定から手を引くことで、純粋な業界団体となることを約束した。その最も顕著な例が、BHA理事会に会員の推薦による2名の理事を任命することをやめることであった。

 しかし、英ジョッキークラブにとっては、それだけでは不十分だった。同クラブは、RCAがグロリアスグッドウッド開催中に見直しの結果を発表したことを「周囲の空気が読めていない」と非難し、ほどなくして12月31日に脱退すると明言した。同クラブのこの行動は、競馬場業界の広範な層から怒りを招いた。単にRCAからの脱退を決めたことだけでなく、RCAが独立したBHA理事会の導入に今後とも反対票を投じるであろうと主張したことにあった。批判派は、RCAがかつて、アレン卿によるそのような理事会の創設案を支持していたことを指摘した。

 その重大な決断から1ヶ月が経過した現在も、英ジョッキークラブの最高経営責任者(CEO)ジム・マレン氏と会長のダイドー・ハーディング氏は、自分たちが正しい判断を下したと確信している。

 「『一会員一票』からの変更だけでは十分ではなかったと考えていますが、その点については解決策が見つかると思います」とマレン氏は語る。同氏は、RCAがBHAの50%の持分を手放し、個々の競馬場や競馬場グループ自体がBHAの持分を保有する立場となる体制に移行すべきだと主張してきた。

 「どのような組織であれ、持分を保有する者こそが重要な当事者です。なぜなら、その組織を所有しているからです」とマレン氏は述べる。

 「ごく稀ではありますが、BHAの構造改革など、極めて重要な決定を必要とする『留保事項』について、個々の競馬場側はその持分を保有していません。代わりに、その持分は競馬場を束ねる団体に与えられているからです。私は、RCAが各競馬場にそれぞれの割合に応じた持分を与える方がよいと考えます。そうすれば、RCAはすべての競馬場を満足させようとするという、解決不可能な問題を背負わされずに済むからです」。

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 その課題は、実際、達成不可能であることが明らかになった。英ジョッキークラブや競馬界の主要競馬場とは異なり、ARCや業界の小規模な競馬場は、主にメディア権を軸としたビジネスモデルで運営されている。「競馬場ピラミッド」の頂点に立つ競馬場にとって最善のことが、必ずしもその底辺にいる競馬場にとって最善であるとは限らず、その逆もまた然りである。

 その見方が正しいか間違っているかは別として、英ジョッキークラブや主要競馬場は、RCAがARCの最高経営責任者(CEO)であるマーティン・クラダス氏の考えや意向に強く影響されてきたと考えている。

 そのため、分裂はますます避けられないものとなっていった。ARCが「一会員一票」の原則から離れることで、RCA内での拒否権を事実上放棄したという事情を考慮しても、である。それ以前のARCは、決定の承認に75%の支持が必要とされるRCA内で、26%の議決権を保有していた。

 さらに意外なことに、RCAは3月以降、アレックス・イード最高経営責任者(CEO)が率いている。同氏は以前、皮肉なことに、アスコット競馬場、グッドウッド競馬場、ニューベリー競馬場、ヨーク競馬場などを代表する大手競馬場グループ(LIRG)の事務総長を務めていた。

 「本当の問題は、関係者の間に深刻な不信感があることです」とある業界の重鎮は述べ、さらにこう付け加えた。「誰かが事実を述べても、過去の経験から、別の誰かはその人の言うことを信用しないでしょう」。

 また、RCAから脱退することの是非をめぐっては、英ジョッキークラブの会員の間でも意見が分かれている。その中には、小規模な競馬場の取締役を務める者も少なくない。脱退が正しい判断だったと考える会員の中にさえ、なぜマレン氏とハーディング氏が――ある会員の表現を借りれば――BHAの定款を改正し、BHAの競馬場側メンバーをRCAから変更することにこれほど「固執」しているのか、と疑問を呈する者がいる。

 現在の体制では、競馬関係者側と競馬場側がそれぞれBHAにおける3つの持分を持っている。競馬関係者側では、馬主協会(ROA)、サラブレッド生産者協会(TBA)、そして免許を交付されている関係者(調教師、騎手、厩舎スタッフの総称)がそれぞれ1つずつ持分を持っている。

 競馬場側では、RCAが3つすべての持分を保有している。そのため、BHA理事会を超えるレベルで決定され、全ての持分保有者の全会一致による承認を必要とする例外的な「留保事項」についても、RCAは3票を持っている。このような投票が最後に必要となったのは、2022年11月に現在のBHAのガバナンス体制が承認された際だった。

 「英ジョッキークラブには、RCAを脱退する以外にほとんど選択肢はなかったと思います」と、元英ジョッキークラブの会長で、現在はサラブレッドグループ(TG)の会長を務めるジュリアン・リッチモンド=ワトソン氏は語る。

 「競馬の長期的な将来像について、BHAと業界が足並みを揃える必要があると強く感じていますが、RCAはその点で役に立っていないと感じます。RCAが持分保有者レベルで3票を一括して行使できるという事実も、誤ったメッセージを送っています」。

 元英ジョッキークラブ最高経営責任者(CEO)で、現在はGVS EQ、スペクタクル・パートナーズおよびコーストラック(いずれも競馬・スポーツ関連企業)の会長を務めるサイモン・バザルゲット氏は、自身の見解をこう述べている。「RCAの投票構造は、私が英ジョッキークラブにいた時より前から、英ジョッキークラブや大手競馬場の間で長らく議論されてきた問題です。

 「2007年にBHAの体制が構築された際、私は、その枠組みの中で他の競馬場やBHAのステークホルダーと全面的に関わり、異なる立場を一つにまとめ、競馬界全体の利益のために行動するという英ジョッキークラブの使命に力を注ぐ方がよいという見解をとりました」。

 バザルゲット氏はさらにこう付け加えた。「私が英ジョッキークラブの最高経営責任者(CEO)だった頃、争いを恐れたことは一度もありませんでした。しかし、たとえ望むすべてを得られなくても、解決に至るための出口がどこにあるのかを常に把握しておきたいと考えていました。今こそ、ガバナンスをめぐる議論が行き詰まる前にこれを解決するための出口を見出し、英国競馬が直面している重大な外部の課題に集中できるようにする必要があります」。

By Lee Mottershead

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