反対が続くアフォーダビリティチェック、予定どおり導入へ(イギリス)【開催・運営】
英国の賭事委員会(Gambling Commission)は、英国の競馬界やブックメーカーからの激しい反対にもかかわらず、物議を醸している賭事客に対するアフォーダビリティチェック(経済力チェック)の導入を予定通り進める方針である。
ただし、完全に導入される日程はまだ決まっておらず、同委員会は、この夏の実施担当グループの設置を皮切りに、段階的に導入を進めていくとしている。
賭事委員会のサラ・ガードナー最高経営責任者(CEO)代理は次のように述べた。「質の高いデータを活用した我々のアプローチにより、多額の賭けを行う経済的困難に直面している顧客への支援を可能にすると同時に、そのような困難に直面していない顧客に対しては、財務リスクを把握するために不要かつ不評な書類確認を省くことで、顧客の負担を軽減できると確信しています」
「試行期間を通じて寄せられたフィードバックに耳を傾けた結果、慎重に導入を進めることを決定しました。主要な関係機関と協力し、顧客と事業者にとって最も効果的な方法でチェックが実施されるよう努めていきます」。
しかし、ある業界関係者は次のように述べた。「一見軟化したように見えるかもしれませんが、これは実際には、賭事委員会が、人々の合法的な活動への支出に対して、前例のないレベルの介入と統制を導入していることなのです。これは欠陥があり、競争を阻害するものであり、その根拠となる証拠も信頼性に欠けるものです」
「[英国の文化・メディア・スポーツ大臣の]リサ・ナンディ氏は、賭事が何百万人もの人々にもたらす喜びについて語っていますが、規制当局がこのような発言を口にするとは思えません。彼らは、反ギャンブル活動家たちの仕事を代わりにやっているようなものです」。
アフォーダビリティチェックは(財務リスク評価とも呼ばれる)は、2023年の前政権の白書で初めて公式に提案された。これを受けて賭事委員会は翌年、大多数の顧客にとって約束通り負担を生まないものとなるかどうかを検証するため、試験運用を開始した。
しかし、業界団体である賭事・ゲーミング協議会(Betting and Gaming Council)は、この試験運用により、これらのチェックがその公約を果たせず、関与する信用情報機関(CRAs)からの結果に一貫性がなかったため、かえって顧客が個人の財務書類の提出を求められる結果になったと警告した。
同委員会の主要政策プロジェクト・評価担当理事のヘレン・ローズ氏は記者団に対し、このデータは「事業者が利用可能な、財務リスクに関する最も正確かつ関連性の高いデータ」であると確信していると述べた。
彼女は次のように付け加えた。「同等のデータ品質や一貫性を備えた手法は他にありません。現在の事業者ごとの対応は非常にばらつきがあるため、この措置によって業界全体の一貫性はむしろ向上すると考えています」。
ローズ氏は、委員会は事業者の懸念に耳を傾けており、顧客が直面している可能性のある経済的困難について、その発生時期や深刻度に関するより多くの情報を提供できるよう、信用情報機関と協力していくと述べた。
彼女はさらに次のように付け加えた。「対応にばらつきがあるという問題は、一部の関係者によってやや誇張されている可能性があると考えています。我々は利用可能なすべての証拠や情報を慎重に検討した結果、これが実施すべき最善の選択肢であると確信しています」。
賭事委員会理事会は5月に会合を開き、物議を醸しているこの措置について検討したが、証拠をさらに精査するため、その実施の可否に関する決定を延期した。
同委員会は、顧客の大多数はチェックを受ける必要はなく、基準額を超える支出がある顧客の97%については、「容易かつ負担をかけずに経済的困難の有無を評価できる」と主張した。
導入の第1段階では、過去24時間の純入金額が5,000ポンド(約110万円)に達した場合に限り、最大手の事業者のみチェックが実施されると同委員会は述べた。
完全導入後は、25歳以上の顧客で、過去24時間の純入金額が1,000ポンド(約22万円)を超える場合、または過去90日の純入金額が3,000ポンド(約66万円)を超える場合に、チェックが適用されることになる。25歳未満の顧客については、これらの基準額が24時間で750ポンド(16万5,000円)、90日で2,000ポンド(約44万円)に引き下げられる。
|
導入の段階 |
25歳以上の顧客 |
25歳未満の顧客を含む高リスクのグループ |
|
第1段階 |
過去24時間の純入金額が5,000ポンド |
過去24時間の純入金額が2,500ポンド |
|
中間段階 |
各団体や関係者とのさらなる協議を経て決定 |
各団体や関係者とのさらなる協議を経て決定 |
|
最終段階 |
過去24時間の純入金額が1,000ポンド、または過去90日の純入金額が3,000ポンド |
過去24時間の純入金額が750ポンド、または過去90日の純入金額が2,000ポンド |
しかし、チェックの実施に関する具体的な日程は明らかにされていない。
ローズ氏は、これは異例のことだとしつつも、決定が下された以上、事業者も信用情報機関も必要な変更を行うには時間が必要だと説明した。
彼女はさらに次のように付け加えた。「とはいえ、消費者を保護するためのこの重要な措置の実施に不必要な遅れが生じることは望ましくないため、実施担当グループと協力し、合理的かつ可能な限り迅速に進めていきたいと考えています」。
また、関係者がすべての証拠資料を確認していないにもかかわらず、委員会がチェックの実施を承認したことについても疑問の声が上がっている。
ローズ氏は、試験運用により得られた情報の「相当量」はすでに公開されており、秋に行われる意見募集の結果を踏まえた回答文書(コンサルテーション・レスポンス)の中でさらに多くの情報が公開される予定であると主張した。また一方で「商業上の機密性」を理由に、その他の情報については要約のみが公開されると付け加えた。
賭事担当大臣トウィクロス女男爵はこのニュースについて次のように述べた。「賭事委員会が、財務リスク評価を慎重かつ段階的に実施するという決定を下したことを歓迎します。今後は、財務リスク評価が消費者、ギャンブル事業者、そしてより広範なエコシステムにとって有益なものとなるよう、その円滑な実施に注力しなければなりません」
「アフォーダビリティチェックが、経済的に困難な状況にある人々を賭事関連の被害のリスクから保護しつつ、業界や消費者に不必要な負担を強いることのないよう、適切なバランスを見極めなければなりません」。
(関連記事)海外競馬情報 2023年No.19「政府報告書の"摩擦なき経済力チェック"は疑問だらけ(イギリス)」
(関連記事)海外競馬情報 2024年No.3「アフォーダビリティチェックに関する国会討論が紛糾(イギリス)【開催・運営】」
By Bill Barber
(1ポンド=220円)
[RacingPost 2026年7月7日「Controversial affordability checks on punters given green light by Gambling Commission despite opposition from racing and bookmakers」]

























