アレン卿のBHA会長就任は9月に決着(イギリス)【その他】
7月28日(月)、ロンドンにある英国競馬統括機関(BHA)本部で開催された長時間の理事会会議で、英国競馬の今後の方向性について合意が成立した。これにより、チャールズ・アレン卿はBHA会長に就任し、自身の急進的な改革計画を推進する見込みとなった。
アレン卿は、競馬の統治構造に重大な変更を加える提案を行っていたが、競馬場やサラブレッドグループ(TG:馬主、調教師、生産者、騎手、厩務員が参加する組織)のメンバーの間では意見が分かれていた。
数ヶ月に及ぶ交渉と彼が役職に就くかどうかについての不透明な状況が続いたのち、完全に独立したBHA理事会の下で組織運営が行われる事など、アレン卿が会長職を引き受ける条件として要求していた多くの事項について合意がなされた。アレン卿は9月1日に着任する予定だ。
アレン卿は次のように述べた。「新しい独立したBHA理事会の設立に向けたプロセスについて合意を得ることができて大変嬉しく思っています。9月に正式に就任することを楽しみにしています」
「競馬には明るい未来があります。やるべきことはありますが、私たちの業界を構成する数万人の人々の情熱と献身の深さに疑いの余地はありません」。
BHAは、計画されている独立した理事会がBHAの一人の執行役(CEO)を監督することになると述べた。このことは、アレン卿のBHAを規制部門と商業部門に分割するという提案は、現時点では採用されていないことを示唆している。
BHAは、アレン卿とBHAが今後、業界の経験豊富な人材を含む独立した理事会の設立に向けた次なるステップを開始すると述べた。これは「移行期間を経て、メンバーによる承認を条件として」実施される。
BHA暫定会長のデビッド・ジョーンズ氏は次のようにコメントした。「BHA理事会は、独立した取締役会の設立を推進する決意を明確に示しています」
「私たちは、アレン卿と協力して、業界が明るい未来に向けてこの重要な一歩を踏み出すのを支援することを楽しみにしています」。
このニュースは、アレン卿がBHA会長就任を遅らせていることが明らかになって以来の英国競馬の指導部を取り巻く不透明な状況を、終結させるものとなるはずだ。
アレン卿は、11月の任命当時、同世代の最も著名なビジネスリーダーの一人として紹介されていたが、当初は6月1日にBHA会長職に就く予定であった。
アレン卿は競馬界での経験はなかったものの、ビジネスにおける豊富な経験、労働党の貴族院議員としての政府とのつながり、そして2012年ロンドンオリンピックの組織委員会の経験で培ったグローバルなスポーツイベントに関する知識によって、最有力の候補に押し上げられた。
しかし就任予定日のわずか数日前になって、「競馬というスポーツの将来像をより明確にするため、利害関係者と引き続き会合を重ねたい」という理由で、アレン卿がBHA入りを延期することが明らかになった。
その後、アレン卿の競馬に関する構想は、このスポーツの統治体制に関する過去20年間で最も大きな変更を意味するものであることが判明した。
彼の提案には、BHA理事会から「会員が指名した理事」を排除し、完全に独立した組織とする内容が含まれていた。
また、BHAを2つに分割し、規制部門と商業部門の2つを設立し、アレン卿が両方の組織の議長を務める意向も示していた。
それらの提案は先月のBHAの理事会において正式に提示され、その後、会員に共有された。
英国ジョッキークラブをはじめとした競馬組織、アスコット競馬場のような大規模な独立競馬場、調教師、騎手、厩舎関係者らは皆、アレン卿の構想に支持を表明している。
先週英国ジョッキークラブは、アレン卿が提案したBHA理事会の完全な独立化計画に対し、公に支持を表明した。同クラブの最高経営責任者(CEO)であるジム・マレン氏は、アレン卿の計画を「全面的に支持している」と述べた。
しかし、英国競馬のすべての関係者が同様の考えというわけではない。馬主協会(ROA)はアレン卿の計画のコストについて憂慮しており、一部の競馬場は競馬場の開催権やメディア権に関する問題について懸念を表明している。
現在、競馬界は政府のオンライン賭事税の統一計画を筆頭に、数多くの重大な課題に直面しており、会長問題の解決が急務であるという認識が高まっていた。
By Bill Barber
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[Racing Post 2025年7月28日
「Lord Allen set to take up position as BHA chair after agreement is reached on way forward for British racing」]