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2023年09月07日  - No.34 - 4

競馬学校のスタッフを大量解雇(アイルランド) [開催・運営]


 アイルランドのキルデアにある競馬アカデミー&教育センター(Racing Academy and Centre of Education:RACE)では将来を見据えて大規模な人員削減が必要とされ、スタッフの⅔以上が解雇された。職を失ったスタッフのひとりはこの状況を"気が変になりそうだしショックだ"と表現した。

 RACEの暫定CEOであるダレン・ローラー氏は、今年創立50周年を迎えるRACEでは将来を見据えて人員削減が必要だったと述べた。8月29日(火)の朝に、スタッフ31人のうち21人が解雇を告げられた。

 10ヵ月にわたる全寮制の騎手研修コースは廃止され、短期間の3つのコースに切り替えられた。ジョン・ムルタ元騎手、シーミー・ヘファナン騎手、クリス・ヘイズ騎手、シェーン・フォーリー騎手、ブライアン・ヒューズ騎手(英国障害競走リーディングジョッキー)、ダリル・ジェイコブ騎手、ショーン・フラナガン騎手はRACEのこの研修コースを修了している。

 RACEで主任ケータリング担当マネージャーを務めていたジョニー・ミラー氏は「もうあなたは必要ありません」と告げられたという。そしてスタッフ21人の解雇と教育プログラムの削減は"誤った方向への大きな一歩"だと述べた。

 「何が失われたかを考えると気が変になりそうですし、何を手放そうとしているのかを考えるとすごくショックですね。RACEに来てあと2週間で8年になるはずでした。RACEはひとつの大きな家族のようでしたね。私は栄養学について教える役割を担い、健康的な食事や体重の維持方法について指導してきました。生徒たちの食に対する知識を増やすことを主な目的としていました」。

 もうひとりの元スタッフは、「涙を流す人もいました。たくさんの人が去っていくのを目の当たりにして衝撃を受けました。これほど大人数になるとは思ってもみませんでした」と付け加えた。

 RACEの住居エリアは7月、安全上の懸念により閉鎖された。ローラー氏は将来を見据えたRACE全体の再編成が必要だったと述べた。

 「すべての始まりは住居エリアの閉鎖でした。学校で提供されているサービス内容や、そこで直接雇用される人々に影響を及ぼしました。また、これからも講義を維持していくことを視野に入れ、運営面からも学校の全面的な見直しを行いました」。

 「競馬産業のための教育・訓練を提供しつづけることを目的としています。そのことを念頭に、3つの新しい講座を用意しました。9月11日(月)開始される最初の講座は、ホースレーシングアイルランド(HRI)の教育・訓練部門(equuip)を通じて実施する騎手訓練プログラム(12週間)です。7人の候補者が参加する予定です」。

 「また9月11日(月)にはサラブレッド産業訓練コースも始まり、11月には別のコースが始まります。あらゆる業界団体やRACEの講師と協力して、これらの講座がきちんと最高水準を満たしたものになるようにするつもりです」。

 「RACEに来る人々に最高の経験をしてもらえるように、あらゆる努力を惜しまないつもりです。また騎手免許と調教師免許、それに付随するすべてについては、アイルランド競馬監理委員会(IHRB)と連携した講座を運営しつづける予定です」。

 現在RACEには38頭が在厩しているが、ローラー氏はこれらの馬がいる厩舎を通常どおり存続させていくときっぱりと主張した。

 「現在38頭がいて相変わらず厩舎はフル稼働中です。これらの馬の世話はしっかりと続けていきます」。

 ローラー氏はRACEで職を失った人々にとっては痛恨の一撃だったと力説し、RACEで働き続ける人々にとってもこのニュースはショックだっただろうと認めた。

 「RACEにいるすべての人々に対応して、最善を尽くすことが現時点での一番の優先事項です。去る人々にとっても、残る人々にとってもつらいことです。長年にわたって人々が身を捧げてきたRACEには感情面での強い結びつきがあるからです」。

 7月にビジネスのあらゆる側面について徹底的な評価が行われる中、スタッフ31人全員が通告を受けていた。そのときミラー氏は全体的にうまく捌かれていないと感じていた。

 「あまりにお粗末で不公平な対応だったので、スタッフはこの4週間、知らせを待ちながら胃が痛くなるような思いをしていたのです。多くのスタッフが何も知らないという恐ろしい時間を過ごしていたので、29日(火)に区切りがついてただホッとしました。それに誰もが心の奥底では"もう終わりかもしれない"と思いながらも猛烈に働いていたのです」。

 「こういうことを簡単に言い渡す方法がないことはわかっています。しかし昨日はかなりぶっきらぼうに"31人中21人が職を失います"と告げられたのです」。

By David Jennings

(関連記事)海外競馬ニュース 2023年No.28「安全上の理由で競馬学校の住居エリアを閉鎖(アイルランド)」

[Racing Post 2023年8月30日「'It was handled so poorly' - massive job losses at Irish racing academy as 21 out of 31 staff are made redundant」]


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