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海外競馬ニュース
2023年07月27日  - No.28 - 2

安全上の理由で競馬学校の住居エリアを閉鎖(アイルランド)[開催・運営]


 アイルランドのキルデアにある競馬アカデミー&教育センター(Racing Academy & Centre of Education:RACE)の住居エリアは閉鎖され、建物の安全性が調査されることになった。

 RACEの暫定CEOであるダレン・ローラー氏によれば、"入居者の安全"を優先するためにこの決定は下されたが、競馬学校自体は引き続き運営されるという。

 RACEはアイルランド競馬界のための国営の競馬学校であり、騎手・厩舎スタッフ・調教師・生産者やそうしたキャリアを目指す人たちのために多くの講座を提供している。

 RACEの中でも名高い騎手コースの卒業生リストは輝かしいものであり、平地競走の現役ジョッキーであるシーミー・ヘファナン、シェーン・フォーリー、クリス・ヘイズが名を連ねる。またダリル・ジェイコブ、ショーン・フラナガン、ブライアン・ヒューズといった障害競走の一流ジョッキーもここで仕事に必要な技術を身につけた。

 7月13日(木)に住居エリアで問題が発覚した。すぐに住居の閉鎖が決定され、学生や年配の入居者が退去させられることになった。

 ローラー氏はこう語った。「13日(木)の深夜に気がかりな問題が起こり、即刻の対応が必要な事態になりました。住居施設を閉鎖して現在の入居者のために代替施設を見つける以外に選択肢はありませんでした。住んでいる人々の安全が最優先であるため、住居エリアを閉鎖する以外なかったのです」。

 「現在、どのような措置が必要かを検討するためにいずれの建物も調査している段階です。木曜日の夜に起こったばかりのことなので、まだ調査は完了しておらず、流動的な状況にあります」。

 ローラー氏は調査が行われているあいだも競馬学校は運営されていると主張し、こう続けた。

 「競馬学校自体は運営をつづけています。厩舎も稼働していて、騎手のトレーニングも続行されています。キャンパスは開いていますし、講義も行われています。対処しなければならないのは、住居エリアだけです」。

 「入居者には年配の人も若者もいて、彼らのために代替施設を見つけるべく取り組んできて、今後もしばらく続けるつもりです。何よりもまず、すべての入居者をケアするのが最優先であり、関係者は全員、多忙で大変な時間を過ごしました。今週はより多くの作業をこなすために人に来てもらっていて、数日経てば、どういう状況にあるのか、またどんな選択肢があるのかがもっと明確になるでしょう」。

 アイルランド史上最も成功したポイント・トゥ・ポイント競走の騎手であるデレク・オコナー氏は、年に数回、RACEで1日がかりの訓練コースを受け持っている。そのコースは見習騎手などの騎乗スキルを技術的にも戦術的にも磨くことを目的としている。また、フィットネスやレースの準備についての講義も行っている。

 オコナー氏はアイルランド競馬界におけるこのような競馬学校の重要性を強調しながらこう語った。「4~5年前からこのプログラムを受け持つようになりましたが、熱心な志願者が押し寄せています。開設からおよそ150人以上がこのコースを受講しました。若くて経験のない騎手たちに向けたコースであり、彼らにとって得るものがあったと思いたいですね」。

 「成功したジョッキーの多くがRACEを卒業しています。若い人たちが競馬界に入る足掛かりとなっており、馬に乗る経験を積みながらさらに多くの知識を得ることができます」。

 「RACEは規律と勤勉さを教え、競馬産業で働くことの感覚をつかむことができます。これらすべてがとても重要で、RACEを卒業すれば素晴らしい基礎知識を身につけることができます。若いジョッキーが仕事を学ぶのにうってつけの場所です」。

 「今回のことは競馬産業にとって非常に大きな損失です。問題が解決されることを願っています」。

By Conor Fennelly

[Racing Post 2023年7月16日「Training academy forced to close residential areas due to concerns about safety」]


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