ロシアンエンペラー、香港ゴールドカップでゴールデンシックスティに勝利（香港）[その他]

　とめどもなく降る雨と湿った芝の影響で、2月20日にシャティン競馬場で行われた2つのG1競走の結果は荒れた。最近まで16連勝していたゴールデンシックスティが2連敗を喫し、スチュワーズカップ（G1）の覇者ワイククも勝利を手にすることができなかった。

　これらの番狂わせは、新型コロナウイルスの感染防止規制によりエッセンシャルな人員以外は競馬場に入ることができなかったこの日の雰囲気をより憂鬱なものにした。

　ロシアンエンペラーは芝2000mを快調に飛ばして、トラブル続きの香港ゴールドカップ（G1）で4¼馬身差の勝利を収めた。ゴールデンシックスティは重い馬場を持て余し、スムーズなレース運びができなかった。

　ロシアンエンペラー（せん5歳　父ガリレオ）とゴールデンシックスティ（せん6歳　父メダグリアドロ）はレース前半、ともに馬群の後ろを走っていた。ブレイク・シン騎手はロシアンエンペラーにライバルの内側を走らせたが、ゴールデンシックスティがバックストレッチを走り終えるあたりで苦しくなって大外に追いやられることになったので、絶妙な位置取りとなった。

　その後ロシアンエンペラーの前が開いた一方で、ヴィンセント・ホー騎手はゴールデンシックスティを全馬の外側に持っていかなければならなかった。香港年度代表馬に君臨しているゴールデンシックスティは良馬場にしか慣れていないためかあまり伸びず、人気薄のサヴィナインの1¼馬身後ろの3着に終わった。

　ロシアンエンペラー（馬主：マイク・チェン・シュン・チン氏）の勝ち時計は2分4秒11。

　騎手時代に香港最多勝である1,813勝を記録したダグラス・ホワイト調教師は、G1・2勝目を挙げた。サヴィナインもホワイト調教師の管理馬である。彼は香港ゴールドカップの結果について天気の影響もあったことを認めながらも、ロシアンエンペラーを大いに褒めたたえた。

　「騎手として香港で22～23年騎乗しましたが、このような小雨が降っているときにこそ、馬場ががらりと変わってしまうことに気づかされます」。

　「大雨が降ると、水は馬場を伝って流れて排出されます。この小雨のおかげで違いができて、ロシアンエンペラーは満足げでしたね」。

　ホー騎手はゴールデンシックスティが苦戦した理由に展開の不利を挙げた。

　「ザック・パートン騎手が乗っていたモアザンディスが下がってきたので、1～2頭を抜かなければなりませんでした。しかたなく大外を走らなければならず、そのあいだに勝馬は内側を走って追い上げて行ったのです」。

　「確かに馬場状態も影響していましたね。それでも彼はよく走りましたよ。よく頑張りました」。

　香港ゴールドカップは発走前からゴール後にいたるまでさまざまな問題があった。コロンバスカウンティは獣医師の指示でレース前に除外とされた。またパンフィールドは最後の直線で実質的に止まってしまい、今後の出走登録が許可されるためにはさらなる獣医師による検査が必要であると判断された。

　昨年の香港ダービーの覇者スカイダルシは競走を中止し、左後肢の球節部の損傷と診断された。その症状はすぐには発表されなかった。

　ゴールデンシックスティの長期にわたる連勝はスチュワーズカップ（G1　1月23日）でワイククの2着に敗れたときに途切れた。2月20日の1つ目のG1競走、クイーンズシルバージュビリーカップ（G1　芝1400m）では、そのワイククが1番人気に支持されていたが、彼も展開の不利に泣かされた。

　パートン騎手は直線半ば、内ラチ沿いでライバルたちを追走しているときに行く手を阻まれ、前が開くのを待つしかなかった。そのときウェリントン（せん5歳　父オールトゥーハード）は差を広げて先頭に立ちそのまま押し切った。カーインスターもスムーズに走ることができ2着に健闘し、ワイククは3着に甘んじた。走破タイムは1分23秒53。

　ウェリントン（馬主：マイケル・チェン・ウィンオン夫妻＆ジェフリー・チェン・マンチョン氏）は、昨年の香港チャンピオンズデーのチェアマンズスプリントプライズ（G1）での勝利に続くG1・2勝目を挙げた。リチャード・ギブソン調教師はこの馬はタイトルを守るために香港のレースに挑戦し続けるだろうと述べた。

　そして「今シーズンは彼にとっていろいろなことがうまく行っていませんでした。今日は勝つ見込みがあると思っていて、馬がそれを達成してくれました」と付言した。

By Bob Kieckhefer

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