ワイクク、ゴールデンシックスティの連勝を16で止める(香港)[その他]
ワイククは香港競馬界をあっと言わせた。スチュワーズカップ(G1 1月23日 シャティン)で¾馬身差のしぶとい勝利を決め、ゴールデンシックスティの連勝を16で止めたのだ。
香港年度代表馬に君臨するゴールデンシックスティは2年以上にわたって地元のライバルを圧倒し、長く覇権を握るなかで海外からのトップクラスの遠征馬を首尾よく撃退してきた。しかしスチュワーズカップの残り200mでワイククをとらえるためにヴィンセント・ホー騎手が気合いを入れたとき、彼はこれまでうまく発揮してきたパンチを失っていた。
ゴールデンシックスティはゴールが近づくにつれて上がって行ったが、間に合うように追いついてハラハラさせるような展開にはまったくならなかった。¾馬身差の2着という結果に甘んじ、そのうしろにロシアンエンペラーが続いた。これにより17連勝の記録をもつサイレントウィットネスが依然として香港競馬界に君臨し続けることになる。
今回ゆっくりしたペースがさらに落ち、ゴールデンシックスティは向正面で馬群のほぼ最後方につけて走りにくそうにしていた。勢いを増して直線に入っていくライバルたちの外側にホー騎手はスペースを見つけ仕掛けて行ったが、それまでにザック・パートン騎手がワイククを先頭に立たたせており、彼らをとらえることは難しくなっていた。
1600mのこのレースの走破タイムは1分34秒82。
新型コロナウイルスの感染拡大の影響でシャティンのグランドスタンドにファンがいなかったため、この意外な敗戦は静寂に包まれた。たとえこの巨大な施設が満員だったとしても、どのみち水を打ったような静けさが広がったことだろう。
パートン騎手は、「レースの流れにとても満足していました。理想的なペースで走れていましたし、ワイククが喜ばせてくるようなパフォーマンスをしてくれることも分かっていました。しかし、ゴールデンシックスティとのレースですからゴールを駆け抜けるまでは気が抜けません」と語った。同騎手はシーズン半ばに怪我で戦線離脱したが、現在香港のジョッキーズランキングでジョアン・モレイラ騎手を追っている。
そしてゴールデンシックスティについて、「彼はここ数年、多くの馬をかわしてきました。チャンピオンですが、今日のレースは明らかに彼に合っていなかったのです」と述べた。
ゴールデンシックスティを管理するフランシス・ルイ調教師は、内枠からの発走だったうえにレース中盤のペースが遅かったことがこの馬に不利に働いたと語った。
「馬に問題はありません。よく走ったと思います。ただ枠順のせいです。レースの流れからするともっと先行する必要がありましたが、今日のような内枠からでは無理でした」。
ワイクク(せん7歳 父ハーバーウォッチ)はアイルランドのジョン・オックス厩舎でキャリアを開始したのち、香港に移ってジョン・サイズ厩舎に入った。馬主はジョセリン・シウ・ヤン・ヒンティン氏である。香港で8勝目を挙げており、ビューティージェネレーションを2着に下して達成した2020年スチュワーズカップ優勝や2021年クイーンズシルバージュビリーカップ(G1)の制覇など素晴らしい成績を残している。また2019年香港ダービーでは2着に入っている。
ルイ調教師はゴールデンシックスティの今後の予定には、クイーンズシルバージュビリーカップ(1400m)か防衛戦となる香港ゴールドカップ(G1 2000m)が含まれると語った。いずれも2月20日に施行される。そして今年はおそらく海外遠征に挑戦するという話も出ており、日本が有力だ。
ストロンガー、スカイフィールドを抑えてセンテナリースプリントカップ優勝
この日行われたもう1つのビッグレース、センテナリースプリントカップ(G1 1200m)では最後の直線でストロンガーがスカイフィールドを打ち破り頭差で勝利した。勝ち時計は1分8秒78。ホットキングプローンは直線入口で不利を受けてから必死に追撃したが、スカイフィールドの½馬身うしろの3着に甘んじた。
スカイフィールドは落馬事故が発生した香港スプリント(G1 12月12日)を制しており、ストロンガーはそのレースで脚を負傷し5着に終わっていた。
ダグラス・ホワイト調教師はこう語った。「ストロンガーは香港スプリントで大きな怪我をしてしまいました。それでも運良く回復しました。しばらく彼を従化競馬場に送ってから連れて帰り、バリアトライアルで走らせ、自信を取り戻させました。それ以来、しくじるようなことはありません」。
香港ジョッキークラブ(HKJC)が所有する中国本土の従化にある新たな大規模の調教施設と競馬場は、特に怪我の治療とリハビリのために特別に設計されており、それらを行うのに最適である。
ストロンガー(せん5歳 父ノットアシングルダウト)は長い連敗を止めただけでなく、ホー騎手になぐさめになるG1勝利をもたらし、騎手として13回リーディングに輝いたホワイト調教師にG1初優勝をもたらした。同馬の馬主はチェン・ホン・キット氏、ジョアンナ・チェン・ワイシェ氏、ジョナサン・チェン・ユーシン氏である。
ホワイト調教師は最後の直線での叩き合いについてこう語った。「先週のバリアトライアルで申し分のない状態でレースに臨めるという気配がありましたが、今日のレースの最後の400mは私のこれまでの人生の中で最も長いものでした。あのように、彼は無防備なのです。でも食らいついていきましたね。それがすべてです。それにしてもすごく長い400mでした」。
By Bob Kieckhefer
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