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海外競馬ニュース
2022年09月15日  - No.34 - 3

チャーチルダウンズ競馬場、PETスキャナーを導入(アメリカ)[獣医・診療]


 馬の怪我の発見と予防に役立つ大きな技術的進歩が、チャーチルダウンズ競馬場にもたらされる。

 ハギャード馬診療センター(Hagyard Equine Medical Institute)およびペットヴェット治療センター(PetVet Care Centers)のネットワークと共同で、チャーチルダウンズ競馬場は厩舎地区にある馬医療センターに、馬用PETスキャナーを近々設置する。これにより獣医師やホースマンは、同競馬場に出走するサラブレッドの健全性を評価することができる。

 PET(ポジトロン放射断層撮影)は、競走馬の球節における異常な代謝活動の特定に役立つ画像診断検査である。近年の科学研究は、競走馬の下肢の潜在的な障害を特定するためにはPET画像が非常に有効な診断アプローチであると裏づけている。またPET検査を繰り返し行うことで、激しい調教を施す前に馬の回復を確認することができる。

 CT(コンピュータ断層撮影)やMRI(磁気共鳴画像法)のような詳細な立体画像を作り出すPET技術の大きな利点は、馬に全身麻酔をする必要がないことである。

 ロングマイル・ヴェテリナリー・イメージング社が開発したMILE-PET(マイルペット)は鎮静剤が投与され立った状態にある馬を検査できる。撮影プロセスは5分以内で終了し、鎮静状態から回復したあと馬は歩いて厩舎に戻ることができる。収集された画像はすべてデジタル化され瞬時に見ることができるので、立ち会った獣医師は馬にとって最適な治療計画を立てることができる。

 PET検査とほかの画像診断法を組み合わせることで、リスクにさらされている馬の特定が大いに進歩する。これにより競走馬の安全と福祉を向上させるために、獣医師による早期の介入が可能になる。

 競走馬のためのPET検査技術は比較的新しいものである。競馬場における最初のPETスキャナーは、2019年12月にサンタアニタパーク競馬場(カリフォルニア州アルカディア)に設置された。チャーチルダウンズ競馬場はカリフォルニア州以外で唯一、MILE-PETの機器を現地に設置する競馬場となる。チャーチルダウンズ競馬場のMILE-PETスキャナーは、現在改修中の厩舎地区が馬に開放される2023年3月に馬医療センターで使用できるようになる予定だ。

 チャーチルダウンズ社の馬医療担当理事であるウィリアム・ファーマー博士はこう語った。「チャーチルダウンズ社にこの革新的な画像診断法を導入するために、超一流のハギャード馬診療センター(ケンタッキー州レキシントン)と提携できることを大変うれしく思います。このような高度な診断法を現地で実施できるようになることは、地元の馬の福祉と安全を向上させるための大きな一歩です」。

By Edited Press Release Churchill Downs

 (関連記事)海外競馬ニュース 2021年 No.22「ゴールデンゲートフィールズ競馬場で立位PETスキャナーの利用を開始(アメリカ)

[bloodhorse.com 2022年9月13日「Churchill Downs to Install PET Scan Machine」]


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