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2022年08月10日  - No.29 - 2

シャーガーカップの出走馬不足をうけ競馬番組の強化が求められる(イギリス)[開催・運営]


 アスコット競馬場の競走・広報担当理事ニック・スミス氏は、シャーガーカップ(全8レース)のうち1レースが魅力的な賞金にもかかわらずフルゲートにならなかったことは英国競馬界で"競馬番組の強化"がなぜ必要なのかを浮き彫りにしていると述べた。

 8月6日のシャーガーカップのうち1レース、7ハロン(約1400m)のクラシファイドステークス競走(クラス3)は10頭立てでなく8頭立てで施行される。レーティング90以下の3歳以上の馬を対象とするこのレースの総賞金は5万ポンド(約825万円)であり、出馬投票の前には26頭が登録していた。

 アスコット競馬場は今年のシャーガーカップで、2019年の36万ポンド(約5,940万円)を上回る記録的な55万ポンド(約9,075万円)の賞金総額を、そして出走馬への追加的なインセンティブとしてボーナスも提供する。それにもかかわらず、このような出走馬不足が生じている。

 「このような出走頭数減少があるから、アスコットはBHB(英国競馬公社 BHAの前身)の元会長ピーター・サヴィル氏が参加するグループが作成した変更計画を支持しているのです」とスミス氏は語った。この変更計画には、レーティング80~100の馬を対象にするレースの削減が盛り込まれている。

 スミス氏はこう続けた。「今回の事態は、このような環境で必要な出走頭数を確保するには並みならぬ努力が必要であることを示しています。土曜日に高額賞金を提供するのは当然ですが、将来にわたってこのイベントを盛り上げていくために、競馬界と賭事産業に利益をもたらすような競馬番組の強化が必要なのは疑いようがありません」。

 それでも、シャーガーカップの出馬投票で気落ちすることはなかったと述べた。イギリス・アイルランド選抜/女性騎手選抜/ヨーロッパ選抜/世界選抜の4チームで競われるこのイベント(全8レース)のうち7レースにはフルゲートの10頭が集まっている。

 スミス氏はこう語った。「がっかりはしていませんね。7月末にフルゲートを12頭から10頭に減らすという対策を講じ、正しい決断だったことが最終的に証明されました。2頭足りないレースが1つありますが、それは追加レースです。だから現状では8レース中7レースはイベントを成功させるために必要な出走馬10頭が揃っているのです」。

 「しかし、すべてに影響する出走頭数の問題を覆い隠すものではありません。補欠馬がほしいレースすべてに補欠馬がいるわけではありません。10頭立てのレースに10頭しかいません。ただシャーガーカップを強化したこと、賞金を引き上げたこと、厩舎ボーナスを提供することに少しばかり効果があったようで、それは励みになりますね」。

生活費の上昇の影響で入場者数は減少の見込み

 競馬界のもう1つの心配な傾向として、シャーガーカップデーの入場者数がコロナ禍前の年を下回ることが見込まれている。アスコット競馬場はキングジョージデーと同様の落ち込みを予想している。今年のキングジョージデーの入場者数は、2019年から8,000人近く少ない1万8,462人だった。

 シャーガーカップデーは3年前に2万3,505人の観客を集めている。今年はレース後にコンサートが行われ、クリーン・バンディットが出演する予定だ(訳注:今年のシャーガーカップデーの入場者数は2019年を30%下回る1万6,412人だった)。

 スミス氏はこう語った。「シャーガーカップデーの入場者数はキングジョージデーと同じような割合で、2019年よりも確実に減少するでしょう。ロイヤルアスコット開催は素晴らしい祭典となり、よく持ちこたえました。しかしこの夏に大半の競馬場が経験しているように、土曜日の入場者数は低迷しています」。

 「残念ながら、もっぱらの原因は生活費の上昇にあります。忍耐強く長期戦に挑むように取り組めば、将来的に観客を呼び戻すことができるでしょう」。

By James Stevens

(1ポンド=約165円)

 (関連記事)海外競馬ニュース 2022年No.25「今年のシャーガーカップは規模を拡大して盛大に開催(イギリス)

[Racing Post 2022年8月4日「'Race consolidation' needed says Ascot director after Shergar Cup fails to fill」]

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