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2022年07月14日  - No.25 - 1

今年のシャーガーカップは規模を拡大して盛大に開催(イギリス)[開催・運営]


 シャーガーカップについては古参の競馬ファンからさまざまな意見があるが、当コラム(フロントランナー)はずっと前からこのユニークなイベントの面白さを知っている。今年の開催(8月6日)はより多くの騎手・レース・出走馬・賞金を誇ることになり、さらに多くの魅力をお伝えできるのは嬉しいかぎりだ。

 私にとって大きな魅力の1つは、世界中の名手が競い合うのを目にするチャンスに恵まれることだ。このようなイベントにおいて、どの騎手もどこかで目を引く可能性があるはずだ。コースや馬をいくらか熟知している地元のジョッキーが有利になることは避けられない。しかし毎年遠征してきたジョッキーの1人か2人が逆境をはねのけ、アスコットでの栄光を手にできることを証明するのだ。

 今回はルネ・ピーヒュレク騎手だろうか?なにしろ彼は昨年の秋に凱旋門賞で初めて騎乗して、トルカータータッソとのコンビで単勝オッズ73倍をものともせずに優勝したのだから。英国での騎乗経験がないピーヒュレク騎手だが、今回のシャーガーカップではフランキー・デットーリ騎手、アントニオ・フレス騎手、そしてスペインで9回リーディングジョッキーに輝いたホセ-ルイス・マルチネス騎手とともにヨーロッパ選抜チームを組む。

 6年ぶりの参加となるデットーリ騎手は、「とても楽しみです。アスコットが大好きで、いつも素晴らしい日になります。皆さんがシャーガーカップに来る予定を立てて、良い時間を過ごし、いつもとは少し違うことを楽しんでくださることを願っています」と述べた。

 今年のシャーガーカップはさらに国際色豊かなものになっており、これまで紹介してきたことはまだ序の口だ。規模が拡大されたことで騎手は例年の12名から16名に増え、10ヵ国から参加する。

 クリストフ・ルメール騎手がかつてニューマーケット競馬場のローリーマイルコースでG1を制していた日々を覚えている人もいるかもしれない。彼は英2000ギニー(2010年マクフィ)、英1000ギニー(2008年ナタゴラ)、英チャンピオンS(2006年プライド&2007年リテラト)、チェヴァリーパークS(2007年ナタゴラ)を制覇している。最近彼は日本で存在感が抜群であり、それは彼と一緒に世界選抜チームのメンバーに選ばれた横山武史騎手も同様である。

 彼らのチームメイトとなるのは、豪州のケリン・マカヴォイ騎手とニュージーランドのジェイソン・コレット騎手だ。メルボルンカップ(G1)を3勝しているマカヴォイ騎手は、2004年から5シーズンにわたり英国で際立つ活躍をしてから帰国している。コレット騎手のほうは今年G1・3勝を挙げており、まさに頭角を現しつつあるジョッキーだ。今回英国デビューを果たすことになる。

 女性騎手選抜チームはいつも人気があり今回もそうなることは間違いないだろう。ヘイリー・ターナー騎手、ホリー・ドイル騎手、ニコラ・カリー騎手、エマ-ジェイン・ウィルソン騎手というおなじみのメンバーだ。カリー騎手は昨年のシャーガーカップでトップ騎手に贈られるシルバーサドルを獲得し、チームの3度目の優勝に貢献した。

 シャーガーカップの歴史において誰よりも多くのポイントを獲得しているターナー騎手は15回目の出場を果たす。ドイル騎手は前回2018年の出場から人気が急上昇している。ウィルソン騎手は5年ぶりにカリスマ性を備えて戻って来る。

 応援すべきチームの中で残されているのはおそらくイギリス・アイルランド選抜チームだろう。地元ジョッキーのラインナップは、彼らの雇用主がその日どこで騎乗してほしがっているかにより変わるかもしれない。しかし今のところ出場が約束されているのは、ジェイミー・スペンサー騎手、ダニー・タドホープ騎手、ニール・カラン騎手、キーラン・シューマーク騎手である。スペンサー騎手はこれまで出場してきたシャーガーカップで地道に145ポイントを獲得しており、デットーリ騎手をわずか5ポイント下回るだけとなった。彼はこのイベントの隠れファンに違いないと私は見ている。

 この夏はかなりの日程で入場者数が減少している。それゆえシャーガーカップがキングジョージデーに匹敵する観客をうまく集められるかどうか、また通常のレースで見かける観客と違い、より多くの家族連れが見られるかどうかが興味深い。(レース後のコンサートがそうした観客を引き付けるのに役立つのはもちろんだが、私の経験では、彼らはコンサートの最初の曲に十分間に合うような時間にやって来ている)。

 今までと比べると、さらなる改善が試みられている。競走は6レースから8レースに増やされ、1レース当たりの出走頭数は10頭から12頭に増やされる。総賞金は55万ポンド(約9,075万円)で1着~10着までに配分され、11着と12着には出走手当が支払われる。また今年から新たに、その日の成績上位の3厩舎の調教師とスタッフにボーナスが支払われることになる(訳注:後日、アスコット競馬場は12頭の出走馬を集められないかもしれないという懸念からシャーガーカップのレースを従来の10頭立てとすることを決定した。16人の参加騎手はそれぞれ、当初予定されていた6レースではなく5レースで騎乗することになる)。

 全体として、アスコットは夏のちょっとしたお楽しみを今年も成功させるだろう。私も行ってみたいと思う。もしこのイベントに熱狂することにご興味がないのであれば、この日は英国とアイルランドでほかにも7つのカードが開催予定である。

By Chris Cook

(1ポンド=約165円)

[Racing Post 2022年7月11日「The Shergar Cup is back and it's bigger and more valuable than ever」]


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