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2022年04月07日  - No.13 - 4

カリフォルニア州もバファート調教師に業務停止処分を適用(アメリカ)[開催・運営]


 カリフォルニア州の裁決委員は4月2日(土)、ケンタッキー州競馬委員会(KHRC)によるボブ・バファート調教師への業務停止処分を相互適用することにした。全米の競馬管轄区において、制裁の相互性を維持することは標準的な慣行とされている。

 カリフォルニア州競馬委員会(CHRB)の裁決委員でサンタアニタパーク競馬場で活動するルイス・ジャウレギ氏、ウィル・メイヤーズ氏、キム・ソーヤー氏がこの相互適用を決定し、CHRBが4月2日(土)にそれを発表した。カリフォルニア州の裁定は「CHRBルール1484(免許不適格の証拠)」に準じたものであり、バファート調教師には90日間(4月4日~7月2日)の業務停止処分が科される。

 これはKHRCの業務停止処分を反映したものである。バファート調教師はこの処分について上訴しており、この事案は4月18日に審査官により審理されることになっている。

 KHRCは当初、3月8日~6月15日の業務停止処分を言い渡す予定だったが、バファート氏が緊急停止を求めて訴訟を起こしたためにその処分の開始は4月4日に延期された。しかし4月1日に、その緊急停止の要求は最終的にケンタッキー州控訴裁判所により拒絶された。

 さらにカリフォルニア州の「CHRBルール1843.3」は業務停止期間開始前にサンタアニタパークにある調教師の厩舎(すべての看板・レーシングカラー・調教器具を含む)の引き払いを要求し、調教師のCHRB認可施設への立入りも禁止しているが、この規定も執行されることになる。デイリーレーシングフォーム紙は4月2日、サンタアニタの関係者によるとバファート氏の業務停止期間中にはショーン・マッカーシー調教師とティム・ヤクティーン調教師がバファート厩舎の馬を管理することになると報じている。

 ケンタッキー州の裁決委員は、メディーナスピリット(馬主:ゼダンレーシングステーブル)の2021年ケンタッキーダービー(G1 チャーチルダウンズ)での優勝を取り消し、バファート氏に業務停止処分と過怠金を科した。メディーナスピリットに対して行われた競走後検査と分割サンプル検査がコルチコステロイド・ベタメタゾンの存在を示したのだ。ベタメタゾンは同州で競走当日の使用がいかなる濃度でも禁止されているクラスCの物質である

 バファート氏を担当する弁護士たちは法廷で、検査でメディーナスピリットからベタメタゾンが検出されたのは、後躯の皮膚病を抗真菌剤オトマックスで治療していたことに関係すると主張していた。また、ベタメタゾンに関するKHRCのルールはこのような局所的治療には適用されないと論じている。

 KHRCの職員たちは法廷で、ケンタッキー州のルールは"酢酸ベタメタゾン"にのみに適用され"ベタメタゾン吉草酸エステル"には適用されないという議論に同意しなかった。バファート氏の弁護士たちの主張によると、注射剤に含まれる"酢酸ベタメタゾン"はメディーナスピリットから採取された検体には含まれておらず、検査で見つかったのは軟膏オトマックスに含まれている"ベタメタゾン吉草酸エステル"だけだったという。

 6月にケンタッキー州で行われた法廷審問で、KHRCのジェニファー・ウォルシング法律顧問はKHRCの禁止物質リストではベタメタゾンの使用はクリームか注射かについて "区別をしていない"と述べた。

 サンタアニタ競馬場(南カリフォルニア)・ゴールデンゲートフィールズ競馬場(北カリフォルニア)・サンルイレイダウンズ調教センターを運営するファーストレーシング(1/ST Racing)は、4月2日付の声明でバファート調教師の管理馬を受け入れることになる調教師への条件を明らかにした。

 「CHRBの裁定により、サンタアニタ、ゴールデンゲートフィールズ、サンルイレイダウンズ、ロスアラミトスを拠点とする調教師は、バファート厩舎から馬を引き受ける場合、サンタアニタかゴールデンゲートフィールズの事務所にそれらの馬の馬房を申し込み、該当者として審査と承認を受ける必要があります。また移籍後にそれらの馬をレースに出走させるためには、調教師変更届を提出しなければなりません。カリフォルニア州の調教師のもとに移籍しない馬は4月4日よりも前にこれらの施設から退去しなければなりません」。

 またバファート氏の業務停止期間が60日以上であることから、ファーストレーシングはCHRBのルールに則してこう述べている。「業務停止期間中、バファート氏はCHRBの管理下にあるすべての区域に立ち入ることが禁止されており、これまで管理下にあった馬の調教に関わることは許されません」。

 さらに声明には、「馬を移籍させるために馬房を申し込む調教師は、適用されるあらゆる制限に完全に従わなければなりません」と記されている。

 有力3歳馬はすでにバファート調教師のもとを離れている。メシエ(Messier)、ドッペルゲンガー(Doppelganger)、マクラレンヴェール(McLaren Vale)は西海岸に残ってヤクティーン調教師に管理されている。またチャーチルダウンズ社(CDI)が業務停止処分とは別にバファート氏に科している制限のため、ブラックアダー(Blackadder)はケンタッキーのロドルフ・ブリセット厩舎に転厩している。その制限では、バファート氏の管理馬はロード・トゥ・ザ・ケンタッキーダービーとロード・トゥ・ザ・ケンタッキーオークスでポイントを獲得することができない。またCDIは2023年半ばまでその所有競馬場へのバファート氏の出入りを禁止している。

 バファート氏はこの決定に異議を唱えて連邦裁判所で争っており、仮差止命令の審理は4月15日に行われる予定である。

 バファート氏を担当するクラーク・ブルースター弁護士が4月2日(土)の遅くに発表した声明にはこう記されている。「ボブはCHRBの仮処分決定を尊重しますが、厩舎の勤勉なスタッフに不当な影響を及ぼす極めて厳しい業務停止処分に失望しています。ボブは、こうした一連の手続きを通じて最終的には公正で先入観がなく情報に基づいた決定がもたらされることになると辛抱強く信じています」。

By Claire Crosby

 (関連記事)海外競馬ニュース 2022年No.7「メディーナスピリット、2021年ケンタッキーダービー優勝は取消(アメリカ)

[bloodhorse.com 2022年4月2日「California Upholds Reciprocity of Baffert Suspension」]

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