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2021年12月02日  - No.45 - 2

ジャパン、ドイツの牧場で種牡馬入り(ドイツ)[生産]


 G1馬ジャパンは11月28日のジャパンカップ(G1)に出走した後に現役を引退し、エッツァン牧場(Gestut Etzean)で種牡馬生活を開始する。

 ジャパン(牡5歳 父ガリレオ)は3歳のときに英インターナショナルS(G1)とパリ大賞(G1)を制した。このたびエッツァン牧場とそのパートナーに購買されたが、今後もクールモアは同馬を共同所有し続ける。

 エッツァン牧場のラルフ・クレデル(Ralf Kredel)場長はこう説明した。「ドイツの生産者たちが最高の血統にアクセスできるようにするために、優秀な種牡馬を見つけたいと思っていました。しかしそのためにはパートナーが必要であり、そこで当牧場の顧客であり私たちと繁殖牝馬を共有しているフェールホーフ牧場(Gestut Farhof)とマトゥシェ夫妻(Mr. and Mrs. Matusche)と協力しました。彼らは熱心にサポートしてくれ、クールモアはこれからもジャパンを共同所有します」。

 エッツァン牧場の主力種牡馬ロードオブイングランドの最近の死が、新たな種牡馬を探すきっかけとなった。独ダービー(G1)を制したロードオブイングランド産駒、イスファーン(Isfahan)は初年度産駒の中から今年の独ダービー優勝馬シスファーンを送り出している。同牧場はロードオブイングランドの父ダッシングブレードで成功した経験から、新たな種牡馬を探すときには広い範囲を当たってみることにしていた。

 クレデル場長はこう続けた。「10月に当牧場のトップサイアーだったロードオブイングランドを失ってしまい、ここで供用するために国際的なプロフィールを持つ馬を探していました。私たちは2歳時に英国とアイルランドでG1を制したダッシングブレードを輸入し、彼は種牡馬として大きな成功を収めました。ジャパンも同じように成功できるのではないかと期待しているのです」。

 ジャパンはニューセルズパークスタッドにより生産され、同スタッドの驚異的な繁殖牝馬シャスタイを母とする。タタソールズ10月セール・ブック1に上場され、M・V・マグニア氏により130万ギニー(約2億475万円)で落札された。そしてエイダン・オブライエン調教師に管理され、2歳でベレスフォードS(G2)を制した。この2歳時の成功がクレデル場長とエッツァン牧場が新たな種牡馬に望んでいた重要な要素だった。

 クレデル場長は、「ジャパンは長い距離を持ちこたえられましたが、適性距離は2000mだと思います。完全なステイヤーというわけではありません。2歳時に重賞を勝った種牡馬を供用することは、少し早熟な能力を産駒に伝えるためにとても重要なのです」と語った。

 サドラーズウェルズの牡系はその産駒でBCターフ(G1)を制したインザウイングスの子孫を通じて繫栄している。たとえばアドラーフルーク(父インザウイングス)は、今年の凱旋門賞(G1)優勝馬トルカータータッソと、2020年独ダービー優勝馬インスウープを送り出した。

 エッツァン牧場はこれまでサドラーズウェルズ系の種牡馬を成功させてきており、クレデル場長はジャパンにはドイツで成功するのにふさわしい資質があると考えている。

 「サドラーズウェルズ系は一般的にドイツでとてもうまくいっています。私たちはこれまでショロコフ(Sholokhov)とジュークボックスジュリー(Jukebox Jury)を供用しており、両馬はともに平地のG1馬を送り出しました」。

 「ジャパンはドイツの繁殖牝馬と相性が良いと思います。彼の血統にはドイツで最高のファミリー(牝系)の2つ、アレグレッタ(Allegretta)とショーンブルン(Schonbrun)が入っています。そのため多くの生産者が彼を使うことで、これらのファミリー(牝系)をほぼ再現することができるでしょう」。

 「ジャパンの血統プロフィールは素晴らしいものであり、父ガリレオ-母父デインヒルの組合せはフランケル、テオフィロ、ガリウェイのような種牡馬を送り出しています。ガリウェイはフランスで種牡馬生活を順調にスタートさせています」。

 ジャパンの血統プロフィールには、パリ大賞(G1)と香港ヴァーズ(G1)を制した全弟モーグル、ミドルトンS(G2)を制して英オークス(G1)と独オークス(G1 ディアナ賞)の両方で2着となった全姉シークレットジェスチャーが含まれる。

 母シャスタイはポンテフラクトキャッスルS(L)で2着となっており、凱旋門賞優勝馬サガミックスおよびクリテリウムドサンクルー(G1)勝馬サガシティの半妹である。さらにイスパーン賞(G1)の優勝馬セージバーグの母馬の半姉でもあり、今年のミドルパークS(G1)とモルニー賞(G1)の優勝馬パーフェクトパワーもこのファミリー(牝系)に属している。

 クレデル場長は、「ロードオブイングランドやアドラーフルークの死後、現在ドイツではまずまずのレベルの種牡馬が不足しており、ソルジャーホロウもアレイオンも高齢です。新しい優良種牡馬を探しており、ジャパンがそうなってくれることを願っています」と付言した。

By Aisling Crowe

(1ポンド=約150円)

 (関連記事)海外競馬ニュース 2021年No.13「ドイツの一流種牡馬アドラーフルークが急死(ドイツ)

[Racing Post 2021年11月27日「Japan to stand at Gestut Etzean after Tokyo swansong」]

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