ブリーダーズカップ協会、バファート調教師の管理馬の検査強化を要求(アメリカ)[開催・運営]
2021年ブリーダーズカップ開催(11月5日・6日 デルマー)に参戦するボブ・バファート調教師の管理馬はすべて、同調教師の自費負担により、強化された競技外検査・競走前検査・競走後検査を受け、強化されたセキュリティプロトコルに従わなければならないと、ブリーダーズカップ協会(BCL)は10月17日に発表した。
BCLはすでに9月18日、この殿堂入りトレーナーの今年のブリーダーズカップ開催への参加が許可されるかどうかについての審査プロセスを開始したと発表していた。
バファート氏は現在、ケンタッキーダービー(G1)の1位入線馬メディーナスピリット(馬主:ゼダンレーシングステーブル)に関する訴訟の渦中にある。同馬は、最初の薬物検査と分割サンプル血液検査でベタメタゾン(コルチコステロイド)の陽性反応を示した。ケンタッキー州では競走当日のベタメタゾンの使用がいかなるレベルでも認められていないため、その検査結果によりケンタッキー州競馬委員会(KHRC)がメディーナスピリットを失格とし、バファート氏に制裁を科す可能性がある。
陽性反応が出たことに関して規制措置は取られていないが、チャーチルダウンズ競馬場は独自の措置を講じている。バファート氏は目下、2023年春開催まで同競馬場での管理馬の出走停止処分を受けている。同氏やそのスタッフが管理した馬はロード・トゥ・ザ・ケンタッキーダービーで2022年ケンタッキーダービーの出走権を得るためのポイントを獲得する資格がないと、チャーチルダウンズ社(CDI)は9月10日に発表している。
同氏には7月14日、米国地方裁判所判事によりニューヨークのレースに管理馬を出走させることへの暫定的差し止め命令が出された。これはニューヨーク競馬協会(NYRA)が陽性反応のニュースから約1週間後の5月17日に、バファート氏に出走停止処分を科そうとしたことを受けてのものである。判事は適法手続きの欠如を理由に挙げた。
審問審判官のO・ピーター・シャーウッド氏は10月11日の審問前スケジュール会議で、NYRAによるバファート氏への懲戒審問の日程を1月24日に設定した。1月24日のシャーウッド氏が立ち会う審問では、NYRAは調教師資格の停止を求める主張を行い、バファート氏の法定代理人が弁論を行う。
ブリーダーズカップ協会(BCL)の声明は以下のように記されている。
「BCLは競走馬・騎手・参加者・ファン・馬券購入者の利益のために、最高レベルの安全性と公正確保の下でサラブレッド競走を実施しています。そのため、BCL理事会はボブ・バファート氏の最近の行動を評価すべく法律顧問のもとで特別審査会を開き、2021年ブリーダーズカップ開催への同氏の参加を許可すべきかどうかを決定しました。公平性のために、バファート氏には事前通知とプロセスに参加する機会が与えられました。BCL理事会は、同氏がその調査に参加し協力してくれたことに感謝しました」。
「BCLは状況を総合的に判断し、バファート氏の管理馬すべてに対して、2021年ブリーダーズカップ開催(デルマー)に参加するため、同氏の自己負担で、強化された競技外検査・競走前検査・競走後検査を受け、強化されたセキュリティプロトコルに従うように要求することを決定しました」。
「2021年ブリーダーズカップ開催はカリフォルニア州競馬委員会とデルマー競馬場のルールに基づいて運営されるのに加えて、この開催に参戦する馬はブリーダーズカップ特有の一連のルールに従うことになります。それにはブリーダーズカップ出走条件、禁止薬物ルール、有罪調教師ルールが含まれます。競馬産業をリードするBCLのプロトコルと基準に加えて、締結された契約に基づいて、バファート氏の管理馬すべてに同氏の自己負担で追加の検査とセキュリティ要件を実施することで、より的を絞った形でさらなる説明責任を果たすことができます。これらの追加措置には、『すべての禁止薬物・規制薬物に対する無作為の競技外検査の強化』、『ブリーダーズカップ開催週における追加的な薬物検査の実施』、『獣医検査や保安検査の強化』、『レース前の24時間体制の直接的な安全監視』が含まれます。バファート氏は、これらの追加措置を順守することに同意しています」。
「馬をあつかう仕事に携わり、ブリーダーズカップ開催に参戦することは名誉なことです。薬物規制と検査プロトコルは理由があって設けられているのです。バファート氏のすべての管理馬がすべての薬物規制と安全基準を完全に順守していることを確かにするために、同氏が全面的に協力をしてくれることを、BCLは期待しています」。
「BCLは、競馬の公正確保と安全に関する法律(HISA)のアンチドーピングと薬物規制プログラムが競馬界にもたらす統一ルールと実施手順に期待しています」。
バファート調教師は本誌(ブラッドホース誌)に送信した声明の中でこう述べている。「私は、理事会の価値観と輝かしいブリーダーズカップ開催の基礎となっている原則を共有します。BCL競走委員会からの誠実な質問を受け入れ、文書や直接の会合を通じて、彼らの要求に率直に応えました。ブリーダーズカップ開催に参戦する私の管理馬に対する競走前の精密な調査や検査を求めます。BCL理事会のホースマンたちが、真の事実関係を精査し、そして誤って性急な判断を下さないようにするため、献身的に時間・勤勉さ・誠実さを捧げたことに対して、称賛を送りたいと思います」。
ブリーダーズカップ開催に参戦するバファート氏の管理馬の筆頭は、BCクラシック(G1)に出走予定のメディーナスピリットである。また、最優秀短距離牝馬ガミーンはBCフィリー&メアスプリント(G1)でタイトル防衛を目指す。
By Blood-Horse Staff
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