チャーチルダウンズ競馬場、ホテル建設計画を中止（アメリカ）[開催・運営]

　2024年の第150回ケンタッキーダービーデーに訪れた競馬ファンは、がらりと変化したチャーチルダウンズ競馬場（ケンタッキー州ルイビル）を目にすることになるが、その改修工事にホテルは含まれない。

　チャーチルダウンズ社（CDI）の CEOビル・カースタンジェン氏は4月22日午前のアナリストや投資家が参加した電話会議で、以前発表していたチャーチルダウンズ競馬場のホテル建設計画を棚上げにすることを決定したと述べた。2019年10月に発表された計画では、3億ドル（約330億円）の投資プロジェクトの要として、第1コーナーにホテル（156室）を建設する予定だった。

　カースタンジェン氏はこの電話会議で、「ホテル建設の一期工事はすでに始まっていましたが、新型コロナウイルス感染拡大による旅行者減少などの要因を考慮した結果、CDIは資金をより有効に使う方法があると判断しました。全体建設計画が感染拡大のあいだ一時停止しているため、すべての投資をより詳しく分析する時間ができました」と語った。

　ホテル建設計画に関しては、CDIはルイビル地域のホテルの稼働率や客室料金、消費者の旅行動向などを綿密に調査した。

　カースタンジェン氏は、「この分析結果に基づいて、現時点でチャーチルダウンズ競馬場の第1コーナーにホテルを建設しないことを決定しました。将来的には競馬場にホテルを建設するかもしれませんが、今はその時期ではありません。この競馬場には、より短い期間で資金を回収できる優れた計画がほかにあると考えています」と述べた。

　CDIは今後も施設に投資することを計画しているが、カースタンジェン氏は、それらの投資計画はダービーウィークやそれ以降に来場する人々が快適に過ごすための設備により焦点を絞ったものになると述べている。そして、「そのような取組みは、ホテル建設よりも即効性があってより高い投資利益が期待できます」と指摘した。

　同氏は今後数週間のうちにさらに詳細を明らかにするとしながらも、2024年の第150回ケンタッキーダービー（G1）に向けて、大幅な変更を3段階に分けて実施することを計画していると述べた。

　「ダービーでのお客様の満足度を大きく向上させ、この象徴的な競馬資産に対してこの先安定した収益の改善をもたらす、数年間にわたる段階的計画を策定しています。現在この計画のために、最終設計を進め、法務・財務上の精査を行い、建設費の確定見積を実施しているところです」。

　「設備投資の第1段階は第148回ダービー（2022年）までに、第2段階は第149回ダービー（2023年）までに、最も大きな変化を与える第3段階は第150回ダービー（2024年）までに完了すると考えています。まだ建設費の確定見積を入手していませんが、これらの計画は経済的に採算の合うものであると認識しています」。

　「次回の業績発表では、第148回ダービー計画の完全な概要を説明するとともに、2023年の第149回までに完了する計画のより詳細な情報も提供します。第150回ダービーに向けた設備の追加計画についても報告するでしょう。どうぞご期待ください。今後3年間でチャーチルダウンズ競馬場にどのような変化がもたらされるかワクワクしていますが、本日は詳細な計画をお伝えする準備ができていません」。

　以前発表されたホテル建設計画では、スロットマシンに似たゲーム機の"ヒストリカル・ホースレーシング（HHR 配当金を確定する際に過去のレースを利用する）"の施設をホテル内に設けることが決まっていた。CDIがホテル建設計画を進めないことで、HHRの施設を場内に設置する計画もなくなった。カースタンジェン氏は、「場内にそのような施設を設けることは常に選択肢の１つであり続けますが、CDIはそれよりも競馬場から約5マイル離れた場所にある現在のダービーシティゲーミングの拡張工事を進める予定です」と述べた。

　そして、「場内にHHRの施設を設置するとダービーシティゲーミングと顧客を取り合うことが懸念されるでしょう。現在のところ、場内でのHHRの設置は計画されていませんが、ルイビル地域に第2のサテライト施設を追加することを検討しており、積極的に調査を行っています」と付言した。

By Frank Angst

（1ドル＝約110円）

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［bloodhorse.com 2021年4月22日「No Vacancy: Churchill Pulls Plug on Planned Hotel」］