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2020年12月24日  - No.50 - 1

G1・7勝牝馬マジカルが引退(アイルランド)[その他]


 エイダン・オブライエン調教師は、G1・7勝牝馬マジカル(5歳)が引退してクールモアスタッドの繁殖牝馬群に加わることになったことを受け、同馬を"夢のような牝馬"と称した。

 通算成績28戦12勝で賞金480万ポンド(約6億7,200万円)を獲得したマジカルは、最後の一戦となる12月13日の香港カップ(G1 シャティン)で3着に健闘して、そのキャリアを終えた。

 マジカルは昨年に引退してノーネイネヴァーと交配する予定だったが、関係者たちは土壇場で心変わりして、同馬をオブライエン厩舎に戻した。

 マジカルは今年さらにG1・3勝を挙げた。9月の愛チャンピオンS(G1 レパーズタウン)ではガイヤースと戦い抜いて勝利を挙げ、同レースを連覇するという最高の栄誉を達成したことで大きな話題となった。

 バリードイル(クールモアの調教拠点)の名伯楽はこの牝馬にぴったりの賛辞を送った。「私たちにとって驚嘆すべき牝馬でした。マジカルは2歳のときから引退までG1レースで戦い続けました。信じられないほど強靭で多才で堅実で品格のある馬でした」。

 「母であるG1馬ハーフウェイトゥヘブンはいつも女王として評価され、マジカルも生まれたときから女王と目されていました。父ガリレオも王者と言っていいでしょう。彼女にはすべてが盛り込まれています」。

 「彼女は何をするにしても素晴らしく、100%健康な状態で引退しました。管理するのが夢のような牝馬でした。負けたときにはほぼ毎回、少し展開が違っていたら、こんな結果にはなっていなかっただろうと言えました」。

 「怠けるようなことが決してない馬でした。最後には香港に遠征し、ゴールまで必死に走り続けました。それに、私たちが彼女を大事にしすぎているようなことはなく、彼女はよく走り、輸送も難なくこなし、キャリアの最後に香港に遠征しました」。

 マジカルは2017年6月、カラ競馬場の未勝利戦(約1200m)でデビューして2着となった。その後、2歳シーズンにおいてデビュタントS(G2 カラ)などで2勝を果たした。

 しかし才能を開花させてG1馬となるには、3歳の秋まで待たなければならなかった。マジカルは英チャンピオンズデーのフィリーズ&メアーズS(G1 アスコット)を制し、その後の2018年BCターフ(G1チャーチルダウンズ)ではエネイブルの勝利をもう少しで阻止するほどの健闘ぶりを見せた。

 マジカルは強敵エネイブルを負かすことは一度もできず、エネイブルに4敗したが(2着が3回)、4歳シーズンにはタタソールズゴールドカップ(G1 カラ)、1戦目の愛チャンピオンS、英チャンピオンS(G1 アスコット)を制し、G1・3勝を果たした。

 5歳での現役続行には疑問符が付いた。しかしマジカルは鮮やかな戦いぶりで、関係者たちの信念が正しかったことを立証した。

 マジカルはプリティポリーS(G1 カラ)を制してタタソールズゴールドカップの2勝目を挙げて、うまくいきそうにないと思われていた5歳シーズンを連勝することから始めた。しかし、その次の英インターナショナルS(G1 ヨーク)ではガイヤースの2着に敗れた。

 それでも、マジカルは2戦目の愛チャンピオンSにおいて¾馬身差の決定的な勝利を収め、ガイヤースへの雪辱を果たした。これは彼女の現役最後の勝利となった。その後は英チャンピオンSで3着、BCターフ(G1)で2着、香港カップで3着となった。

 現役最後の3戦での敗北にもかかわらず、「現役を続行させた関係者たちの信念が正しかったとマジカルは立証しましたか?」と聞かれたときに、オブライエン調教師は毅然としていた。

 「そうですとも。クールモアのチームがもう1年現役を続けさせたのは見事な見極めでした。彼らがやろうとしていたことを完全に覆したため、楽ではありませんでした。それでも私たちからすれば、とてもありがたいことでした。なぜなら、これまでG1・7勝牝馬を管理したことはありませんし、彼女は100%自家生産馬です。チームにとっては夢のように素晴らしいことです」。

 マジカルは28戦して3着内に入れなかったのはわずか6戦だけだった。最高のレーシングポストレーティング(RPR)は、2019年プリンスオブウェールズS(G1)でクリスタルオーシャンの2着に健闘したときに獲得したRPR124である。

 マジカルはその競走生活の半分弱でRPR120以上を達成した。バリードイルの主戦のライアン・ムーア騎手とのコンビでG1・3勝を達成し、シーミー・ヘファナン騎手、ウェイン・ローダン騎手、ドナカ・オブライエン騎手とのコンビでもG1優勝を果たしている。なお英チャンピオンS優勝は、ドナカ・オブライエン氏にとって騎手生活で最後のG1勝利となった。

 クールモアは今後、マジカルの交配相手について決定するだろう。

By Matt Rennie and Richard Forristal

(1ポンド=約140円)

 (関連記事)海外競馬ニュース 2019年No.42「マジカル、ブリーダーズカップに出走せずに引退(アイルランド)

[Racing Post 2020年12月22日「'She was a dream mare' - Group 1 warrior Magical retired and bound for paddocks」]

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