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2019年10月31日  - No.42 - 4

マジカル、ブリーダーズカップに出走せずに引退(アイルランド)[その他]


 驚くほど粘り強い牝馬マジカル(Magical 牝4歳)が米国で有終の美を飾るプランは、立ち消えとなった。エイダン・オブライエン調教師は10月28日(月)朝、米国への出発を前に発熱した同馬を引退させると述べたのだ。

 才能溢れるマジカルは、BCフィリー&メアターフ(G1 11月2日 サンタアニタ競馬場)に1番人気で出走すると見られていた。同調教師は、G1・3勝目を目指してBCターフスプリント(G1)に出走予定だったフェアリーランド(Fairyland)も渡米しないことを明かした。

 マジカルはそのキャリアの大半をエネイブルの陰で過ごしたが、この2年間、素晴らしく堅実に活躍するバリードイル(クールモア牧場の調教拠点)の看板馬だった。

 同馬はG1・4勝を果たした。愛チャンピオンS(G1 9月14日)で決定的な勝利を収めた後、凱旋門賞(G1 10月6日)に出走して、道中の大半で先行していたが、最後は5着に沈んだ。そして最後のレースとなった英チャンピオンS(G1 10月19日)では、間違いなくキャリア最高のパフォーマンスを見せた。重馬場で、いつもどおりのスタイルでアデイブ(Addeybb)をかわして撃退し、オブライエン調教師に遅ればせながらの同レース初優勝をもたらしたのだ。

 オブライエン調教師は10月28日(月)にこう語った。「マジカルは今朝、わずかに発熱しました。渡米は取止めとしました。私たちは彼女の今朝の調教に満足しました。馬の体温は毎日欠かさずチェックしています」。

 「彼女は午前9時30分に出発する予定でしたが、発熱が確認されたのはその15分前で、獣医師のジョン・ハリー(John Halley)氏に遠征を諦めるように助言されました。ジョンは彼女が検疫に入れば、発熱のために長い間馬房に閉じ込められ全ての計画が止まってしまうリスクがあると感じていました」。

 「アスコットでの英チャンピオンS優勝から全てが順調で、私たちは彼女に満足していましたが、これはどうにもならないことです」。

 マジカルは、モイグレアスタッドS(G1)で同厩舎のハッピリー(Happily)に短頭差で負けて2歳でのG1優勝を逃した。3歳シーズンにクラシック競走で活躍する望みは怪我によって幻のものとなった。この世代にとって重要なレースには出走できなかったが、英チャンピオンズデーにフィリー&メアーズS(G1)で優勝して失った時間を取り戻した。その後、BCターフ(G1)に出走してエネイブルと壮大な一騎打ちを演じた。

 BCターフでは最終的に¾ 馬身差で敗れて2着となったが、今年のエクリプスS(G1)で同じくエネイブルの¾ 馬身差の2着となった。そして、ヨークシャーオークス(G1)はより手強いレースとなったが、やはりエネイブルの2着となった。

 オブライエン調教師は、来年ノーネイネヴァー(No Nay Never)と交配するマジカル(父ガリレオ)についてこう語った。「彼女は2回エネイブルの僅差に迫りました。私たちは皆、彼女は今年一段とギアを上げてきていると感じていました。彼女は信じられないほど素晴らしい牝馬でした」。

 「彼女は負けん気が強く、堅実で、品格のある馬でした。彼女を管理することに喜びを感じており、光栄に思っていました」。

 同馬のキャリアのハイライトについて聞かれて、オブライエン調教師は、「アイルランドと英国のチャンピオンSを両方制したことは大きな快挙です。愛チャンピオンSを制してから凱旋門賞に挑み、その後アスコットでの英チャンピオンSを制しました。その2勝は特別なものです」と述べた。

 一方、昨年のチェヴァリーパークS(G1)の優勝馬フェアリーランドは、愛チャンピオンズウィークエンド(カラ競馬場)のフライングファイブS(G1)でソーパーフェクト(So Perfect)を撃退して、その戦績をさらに伸ばした。

 オブライエン調教師はフェアリーランドの米国遠征の中止についてこう語った。「彼女を引いて小走りをさせましたが、ジョンの評価は良くありませんでした。彼は、フェアリーランドは獣医師により歩様検査されても合格しないだろうと考えました。彼女は来春、ガリレオと交配する予定です」。

 マジカルの不在により、バリードイル勢の中でBCフィリー&メアターフで最も有力なのはフリーティング(Fleeting)となった。オブライエン調教師はライアン・ムーア騎手がバリードイル勢の有力馬のほとんどに騎乗し、ウェイン・ローダン(Wayne Lordan)騎手が補佐役を務めることを認めた。

 しかし、ローダン騎手はBCフィリー&メアターフでイリデッサ(Iridessa ジョセフ・オブライエン厩舎)に騎乗するので、ジャストワンダフル(Just Wonderful)にはウィリアム・ビュイック騎手が乗ることになる。

 オブライエン調教師は、「ジャストワンダフルの負担重量は軽いので、シーミー・ヘファナン(Seamie Heffernan)騎手は騎乗しません」と付言した。

By Richard Forristal

[Racing Post 2019年10月28日「No Stateside swansong for Magical as slight temperature thwarts LA adventure」]


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