グロリアスフォーエバーの生産者、香港カップを連覇(香港・イギリス)[その他]
12月9日(日)の香港カップ(G1 2000m)でグロリアスフォーエバー(Glorious Forever せん4歳)に騎乗したシルヴェスター・デソウサ騎手は、最後に追い込んできたディアドラに1馬身差をつけて鮮やかな逃げ切り勝ちを決めたことで、その巧妙な手綱さばきが称賛された。
しかし、デソウサ騎手の戦術が使われたのが、頑強で才能ある馬でなかったとすれば、ほとんど成果はなかっただろう。したがって今回のグロリアスフォーエバーの勇敢なG1勝利は、その生産者であるカースティン・ロージング(Kirsten Rausing)氏の手腕に脚光を浴びせた。
注目すべきことは、香港カップにはロージング氏の生産馬が2頭出走したことだ。グロリアスフォーエバーの全兄で昨年の覇者タイムワープ(Time Warp せん5歳)も同氏の生産馬であり、今年も3着に健闘した。
ロージング氏は、ヒアトゥエターニティ(Here To Eternity 父ストーミーアトランティック)をアーキペンコ(Archipenko 父キングマンボ)と交配させ、この2頭を生産した。アーキペンコは2010年から2017年に死ぬまで、ロージング氏のランウェイズ牧場(Lanwades Stud ニューマーケット)で供用されていた。
同氏はヒアトゥエターニティとその母で独リステッド勝馬ヒートオブザナイト(Heat Of The Night 父リアファン)も生産したので、グロリアスフォーエバーとタイムワープは3代目の自家生産馬となる。
ヒアトゥエターニティは他にも、ヒートウェイブ(Heatwave)という2歳牝駒(父ルロワデザニモー)や当歳牝駒(父オアシスドリーム)も出産しており、今年はランウェイズ牧場で供用されているボビーズキトゥン(Bobby's Kitten)と交配した。
タイムワープもグロリアスフォーエバーも国際的な舞台で本領を発揮する傾向にあるようだ。2頭の父アーキペンコも世界を股にかけて活躍した才能溢れる競走馬で、3大陸でステークス競走を制している。同馬はエイダン・オブライエン調教師に管理されていたときはデリンスタウンスタッドダービートライアルS(G2)で優勝し、その後マイク・デコック厩舎に移籍して、クイーンエリザベス2世カップ(G1 シャティン競馬場)、サマーマイルS(G2アスコット競馬場)、アルファヒディフォート(G2 ナドアルシバ競馬場)を制した。
グロリアスフォーエバーは、ロージング氏がアーキペンコで生産した3頭目の傑出馬となった。前述したタイムワープのほかに、同氏の勝負服(白とグリーン)を背負ったマダムチャン(Madame Chiang)が2014年英チャンピオンズフィリーズ&メアズS(G1)で優勝しているからだ。
アーキペンコは1シーズンかぎりではあるが南米にシャトルされた。そこで後にアルゼンチンG1馬となるフォーティワン(Forty One)とドンアーチ(Don Archi)を送り出している。
グロリアスフォーエバーは、2015年タタソールズ社10月1歳セール・ブック2で、康御国際競馬社(Kangyu International Racing)の代理人アラステア・ドナルド(Alastair Donald)氏により11万ギニー(約1,675万円)で落札された。
一方タイムワープは、2014年タタソールズ社アイルランド9月1歳セールにおいてジェレミー・ブラミット(Jeremy Brummitt)氏に3万7,000ユーロ(約481万円)で購買された。そして競走生活を始めていたときに、同じくドナルド氏に個人取引で購買された。
ロージング氏はほかにも、ドイツのG1を3勝したアルバノヴァ(Albanova)や、ダルマイヤー大賞(G1)優勝馬レディジェーンディグビー(Lady Jane Digby)を生産し、トップレベルでの勝利を収めている。また、ターミガンブラッドストック社(Ptarmigan Bloodstock)と共に、G1・5勝馬フェイムアンドグローリー(Fame And Glory)の共同生産者でもあった。
By James Thomas
(1ポンド=約145円、1ユーロ=約130円)
(関連記事)海外競馬ニュース 2017年No.50「タイムワープの父アーキペンコが13歳で死亡(イギリス)」
[Racing Post 2018年12月9日「Glorious breeder: Kirsten Rausing records back-to-back Hong Kong Cup triumphs」]