カンザス州で18年ぶりに競馬開催が復活(アメリカ)【開催・運営】
10月17日のカンザス州は、まさに絵に描いたような絶好の日だった。太陽が輝き、雲ひとつない青空が広がる中、ダートコースには馬の蹄音が轟いていた。
かつて、その馬の蹄音はカンザス州民にとって遠い記憶に過ぎなかったが、この土曜日、その響きが新たな時代の幕開けとなった。2008年以来初めて、カンザス州のユーレカダウンズ競馬場で正式な競馬開催が行われたのである。
財政難により、ユーレカダウンズ競馬場をはじめとする州内の競馬場は、2008年にパリミュチュエル方式の競馬開催を終了した。ユーレカダウンズ競馬場ではその後、2009年から2010年にかけてクォーターホースによるエキシビションレースが数回行われたものの、2011年に正式に閉鎖された。
競馬場は、約1年前、ローラ・ケリー州知事が州の競馬および馬産振興事業を支援するため、ヒストリカル・ホースレーシング(HHR)のゲーム端末を利用した賭事に3%の税を課す法案に署名するまで、長らく休眠状態にあった。ボランティアの尽力により、草木が生い茂っていた競馬場のコースは整備され、施設も修復された。競馬の早期再開に向けて、期待が高まっていた。
土曜日、競馬場は大勢の観客を迎え、施設の対応力が試されることとなった。歴史的な競馬再開に立ち会おうと多くの人が詰めかけ、入場を待つ長い列が駐車場から道路にまで達した。
この日は、カンザス州競馬賭事委員会のデビッド・モーゼス委員長、州下院議員のデュアン・ドロージ氏、そしてユーレカダウンズ競馬場のマイク・ワイス場長が、パドックから馬場へと続く入口でテープカットを行い、同競馬場での競馬再開を正式に告げた。
「周りを見渡していただければ、これが重要な目標に向けてカンザス州民が力を合わせて取り組んだ結果だとお分かりいただけるでしょう」と、モーゼス氏は集まった人々に語った。「党派を超えたカンザス州の人々の尽力のおかげで、私たちはここユーレカに集うことができました」
「牧場や農場から州内の小さな町に至るまで、馬は常に私たちの物語の一部でした。今日、私たちはその物語に再び命を吹き込みます。あまりにも長い間、カンザス州では、馬の蹄音の轟き、観衆の歓声、発走ゲートでの興奮、そして馬たちが最終コーナーを回ってゴールを目指す、あの忘れがたい瞬間が失われていました。今日、私たちはそれらを取り戻します。この日を実現するために力を尽くしてくださった競馬関係者、騎手、馬主、生産者、調教師、ボランティア、そしてカンザス州のご家族の皆様に、心から感謝申し上げます」。
10レースからなる、サラブレット競走とクォーターホース競走を組み合わせた番組の第1レースは、クォーターホースによる250ヤード(約228.6メートル)のアローワンス競走(条件戦)のゲートが開くと、満員の観覧席から大歓声が沸き起こった。フェレシャ・ゴールド調教師が管理するアレハンドラ・マルティネス氏所有のテラリーヴィングユーが、後続の追い込みをしのいで鼻差で勝利を収め、単勝配当27ドル(約4,320円)の波乱を演出した。
この勝利は、足の負傷で戦列を離れていたロマン・クルーズ騎手にとって、格別なものとなった。復帰後初勝利を挙げたクルーズ騎手は、カンザス州競馬の新時代における最初の勝利を挙げた騎手としても、歴史に名を刻んだ。
「本当にありがたいことです」とクルーズ騎手は語った。「彼女はゲートを出るとすぐに走る態勢が整っていました。後続に追い上げられましたが、最後までしっかりと粘ってくれました。本当にうれしいです」。
クルーズ騎手は、レースを盛り上げた大勢の観客を称賛した。続く、この日最初のサラブレッド競走でキングストンレディに騎乗し勝利を収めたカーティス・カイムズ騎手も同様に称賛した。カイムズ騎手は、閉鎖前のウッドランズ競馬場(カンザスシティ近郊)で何度か騎乗した経験があったものの、ユーレカダウンズ競馬場で騎乗するのは初めてだった。観客の熱気は、普段ネブラスカ州で騎乗する際に感じるものに匹敵すると語った。
「とてもわくわくします。大勢の観客が集まり、盛り上がっています」とカイムズ騎手は語った。
クルーズ騎手をはじめとする騎手たちが称賛したもう一つの点は、馬場そのものだった。1周5ハロン(約1,000メートル)の周回コースは、220万ドル(約3億5,200万円)を投じたプロジェクトの一環として全面改修された。全10レースは事故なく終了し、週の前半に朝の調教が2日間中止となるほどの雨が降ったものの、馬場は高い評価を受けた。
馬場を称賛した人物の一人が、重賞競走で複数回の優勝実績を持つロベルティーノ・ディオドロ調教師だった。同調教師は、第6レースでアレックス・バーザー騎手が騎乗したチャールズ・ガーヴェイ氏所有のサラブレッド、タイガーインマイタンクを勝利に導いた。
「(バーザー騎手は)『馬場が素晴らしい』と言っていました」とディオドロ調教師は語った。「それで課題の半分は解決したようなものです。関係者の皆さんのご尽力を、本当に高く評価したいと思います」。
第7レースで、ラファエル・ペナ氏の所有馬シェイクアップを勝利に導いたジェフ・シンドラー調教師は、馬場状態について、ワイス氏と馬場管理責任者のブランドン・ラインハート氏を称賛した。
「この馬場を気に入っています。本当に素晴らしい仕事をしてくれました」とシンドラー調教師は語った。「マイク・ワイス氏は素晴らしい仕事をしました。ここでの彼の功績は、いくら称賛してもしきれません。馬場管理責任者のブランドン・ラインハート氏も、屈指の腕前です。あれだけの雨が降った後のこの馬場を見てください」。
両調教師は、開幕日の1競走当たり平均が2万4,100ドル(約385万円)となった賞金水準についても高く評価した。ディオドロ調教師は、約1か月前に同競馬場のホスピタリティ担当ディレクターであるスキップ・アンダーソン氏からメッセージを受け取るまで、ユーレカダウンズ競馬場が再開することを知らなかったという。
「賞金額を調べ始めました」とディオドロ調教師は語った。「新たに競馬を開催する競馬場が必要です。それなら、ここに来て応援しようではないかと思ったのです。素晴らしいことですし、車を止めた場所から3ブロックも歩いて競馬場にやって来る人たちの姿を見るのも、いいものですね」。
ディオドロ調教師は、オクラホマ州のレミントンパーク競馬場に厩舎を構えており、同競馬場はユーレカダウンズ競馬場から約3時間の距離にある。開催日数や賞金総額が増えていけば、ユーレカダウンズ競馬場は地域の競馬関係者にとって有力な選択肢になると考えている。また、「ブルリング(bullring)」と呼ばれる、1周1マイル未満の小回りの競馬場で走るのに適した馬を新たに探し始める予定であると語った。
「ブルリングでの競馬には、それに適した馬と騎手が必要だと思います」と、調教師としてのキャリア初期にカナダにてブルリングの競馬に10年以上携わったディオドロ調教師は語った。「重要なのは位置取りです。多くの場合、勝つのは最も強い馬ではなく、ブルリングにうまく対応できる馬なのです」。
ワイス氏は、初めての6日間の開催に出走を申し込んでいる調教師や馬主の顔ぶれに、手応えを感じたと語った。
「カンザス州の競馬には、間違いなく未来があると思います」と、開催初日を見届けたワイス氏は語った。「州内のウィチタに馬の生産のために牧場を購入した人たちもいます。他の競馬場の運営関係者や馬主の姿も見かけました。賞金に魅力を感じて、トップクラスの調教師たちもやって来ました。集まったのは観客だけではありません。馬主や調教師も実際に足を運んでくれました」。
カンザス州では競馬が行われていなかったため、同州の馬産業は事実上存在しないに等しい。関係者は、HHRへの3%の課税による税収[na3] を通じて、同州の馬産業が発展することを期待している。税収の約3分の1はカンザス州競走馬生産振興基金に充てられ、同州産馬を対象とする賞金の加算や奨励金の支給に活用される。残りはフェア競馬利益基金配分され、競馬場の運営に充てられる。
主にネブラスカ州で調教を行い、アイオワ州のプレーリーメドウズ競馬場で管理馬を出走させているシンドラー調教師によると、パンナムレーシングに関係する馬主たちは、同日の第2レースにオリンピックフレイムを出走させ、10月18日の第6レースにはパワフルを登録している。この馬主たちは、カンザス州で馬産を始めることを目的に、過去1年の間に同州で牧場を購入したという。
ユーレカダウンズ競馬場には、まだ事業拡大の余地がある。同競馬場では場外向けのサイマルキャストを行っていないが、ワイス氏によると、競走賞金やHHRによる収入が引き続き増加すれば、数年後には実施できる可能性が高いという。場内の観客は2,000人を超え、10競走で合計6万7,570ドル(約1,081万円)の馬券売上があった。
それでも、競馬の再開を喜ぶ観客の熱気が、この日、何よりも強く印象に残った。関係者たちは、この盛り上がりが今後何年にもわたって続いていくことを願っている。
「本当にうれしく思っています」と、カンザス馬事協議会の事務局長ジャスティン・ステイテン氏は語った。「競馬が戻ってくるのを、私たちは長い間待ち望んでいました。皆がとても楽しそうで、喜びにあふれている中で、競馬が順調に再開されたのを見て、将来に大きな希望を持つことができました」。
米国国勢調査局によると、ユーレカの人口は約2,223人である。しかしワイス氏は、ミズーリ州から来た人々をはじめ、町外から大勢の観客が訪れたことを誇らしく思っていた。ミズーリ州から来た人々の中には、開催の数日前からトレーラーを駐車場に停めていた人たちもいた。
「そもそもここは本当に小さな町ですから、運営を手伝い、ここで働いてくれる人を確保するために、地域の人々に広く協力を呼びかけています」とワイス氏は語った。「馬券発売の係員や入場券の販売係、バーのスタッフとして働こうと、これほど多くの人が進んで協力してくれたことには驚きました。皆が競馬場の再開を心から望んでくれていたことが、本当に感激でした」
「さらに、入口から次々と入ってくる観客や、外まで続く行列を目にしました。長い一日でしたが、どのレースでも、競馬がここに戻ってきたことを皆が心から喜んでいました。観客はユーレカの住民だけではありません。何時間もかけて遠方からやって来た人たちもいたのです。本当に特別なことでした」。
ワイス氏によると、競馬場が再開した今、重要な課題の一つは、競走馬を継続的に収容できる厩舎を増やすことである。現在使われている厩舎は、競馬場が閉鎖される前から残っていた数少ない施設で、競馬関係者が自主的に修繕に協力し、今回の開催に使用できる状態にしたものだった。
「厩舎が必要です。この競馬場で最も難しい課題は、おそらく厩舎の確保でしょう」とワイス氏は語った。「毎年少しずつ整備していくことになりますが、ここにはこれから発展していく可能性があります」。
(1ドル=約160円)
By Sean Collins
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