ゲーム機税の増税が決定、英国競馬の財政に深刻な打撃(イギリス)【開催・運営】
英国競馬の財政は、水曜日の予算案でジョン・ヒーリー財務相が決定したゲーム機税(MGD)の引き上げによって、「深刻な打撃」を受けることになると、英国競馬統括機関(BHA)が警告した。
税率の引き上げは、20%から25%となった。当初懸念されていたほど大幅な引き上げではなかったものの、それでも数百、場合によっては数千ものベッティングショップが閉鎖に追い込まれる可能性がある。
その結果、競馬賭事賦課金やメディア放映権料の減少による影響について、賭事・ゲーミング協議会(BGC)の依頼を受けて行われた試算では1,500万ポンド(約31億5,000万円)とされる一方、調査・分析会社であるレグルス・パートナーズ社は、4年後には最大5,700万ポンド(約119億7,000万円)に達するとの見通しを示した。後者の数字は、BHAのCEOであるブラント・ダンシャー氏も引用している。
増税を求める人々は当初、ベッティングショップやその他の施設に設置されているゲーム機に課されるMGDの税率を、2倍の40%に引き上げるよう政府に求めていた。
2026年予算案:主なポイント
- MGDが20%から25%に引き上げられる
- 税率が40%まで引き上げられるとの懸念もあったが、今回の決定でも英国競馬界には最大5,700万ポンドの損失が生じる可能性がある
- MGDの課税対象となるゲーム機には、英国各地のベッティングショップに設置されている固定オッズ式賭事端末(FOBT)などが含まれる
- 英国内の数千店に及ぶベッティングショップと、そこで働く従業員の雇用が危機にさらされている。ブックメーカー各社は、採算が取れなくなった店舗については閉鎖せざるを得ないと明言している
ダンシャー氏は、政府が「最悪のシナリオを退けた」と認めた一方で、次のように付け加えた。
「税率を25%に引き上げることで、競馬界の財政にはそれでもなお深刻な打撃がもたらされることになります。今回の決定によって、英国全土で数百、数千にも上るベッティングショップが閉鎖に追い込まれるおそれがあることは明らかです」。
ダンシャー氏によると、英国競馬は年間収入3億5,000万ポンド(約735億円)のうち、ほぼ3分の1を、店舗型ブックメーカーでの賭事から得ているという。また、最大5,700万ポンドの損失が生じる可能性については、予算案の発表前に財務省(Treasury)にも情報を共有していたと述べた。
さらに、次のように述べた。
「MGDの税率引き上げは、一部の人々が求めていたほど大幅なものではないものの、この変更は依然として、競馬の将来に壊滅的な影響を及ぼす可能性があります。賞金、競馬場の存続可能性、数千人の雇用、さらには馬の福祉に関する重要なプロジェクトや研究にも影響が及ぶおそれがあります」
「また、ベティングショップの閉鎖は、多くの競馬ファンにも大きな影響を与えるでしょう。こうしたファンにとっては、地元のブックメーカー店舗を訪れることが、競馬と関わる主な手段となっているからです」。
ダンシャー氏は、今回の決定による影響を軽減する方策を探るため、BHAとして政府との「緊急協議」に乗り出す考えを示した。
アリーナレーシング社(ARC)のCEOを務めるマーティン・クラダス氏も、今回の増税に失望を表明した。ただし、さらに厳しい内容になっていた可能性があることは認めた。
クラダス氏は、「少なくとも、今回の財務相による発表によって、今後数年間にわたり、この業界に一定の見通しがもたらされることを期待しています」と述べた。
予算案の中で、ヒーリー財務相は、7万の事業者を事業用固定資産税の支払い対象から外すための措置を発表した。一方で、次のように述べた。
「英国のハイストリート(商店街)を支援するための財源を確保する目的で、賭事への課税を引き上げます。具体的には、他のゲーム機と比較して賭け金の上限が高いゲーム機に対する税を20%から25%に引き上げます。ただし、パブや海辺のゲームセンターに設置されているゲーム機が影響を受けない形をとります」。
しかし、賭事業界の関係者は、ベッティングショップの閉鎖や雇用、さらには競馬界にも悪影響が及ぶと警告した。
ある業界関係者は、「これは雇用を奪う政策です。イデオロギーを極端に推し進めたものであり、昨年は競馬界にすり寄っていた同じ人々が、今になって、彼らが利用してきた競馬に甚大な損害を与えることになる増税をめぐって自己弁護しようとしているのを見るのは、まったく驚くべきことです」と述べた。
「こうした知ったかぶりの人たちは、今度は税金の問題からギャンブル広告の禁止を求める方向へと矛先を変えるのでしょう。それが競馬界にとって何の助けになるというのでしょうか?」
ラドブロークスとコーラルの親会社であるエンテイン社は、今回の増税によって同社のコストが2,500万ポンド(約52億5,000万円)増加すると述べた。その負担を軽減することは可能だとしながらも、その対策の一つとして「店舗網の合理化」を挙げた。
同社のCEOであるステラ・デイビッド氏は、昨年の予算案で発表された賭事関連の増税によって、すでに「従業員、地域社会、そして顧客」に悪影響が生じていると指摘し、「今回の追加的な税制変更によって、そうした悪影響はさらに深刻化し、より多くの人々を拡大しつつある違法賭事市場へと追いやることになるでしょう」とコメントした。
ベットフレッド社の会長兼共同創業者であるフレッド・ダン氏は、次のように述べた。「今回の予算案を迎えるにあたり、私は、私たちの業界はこれ以上の負担を強いられる余地がないと明言してきました。MGDの税率が5%引き上げられることで、ベッティングショップには経営上の余裕がまったくなくなります。実際には、さらに多くの店舗が赤字に転落し、より多くの雇用が危険にさらされ、英国競馬の財政にもまた新たな打撃を与えることになるでしょう」。
BGCは、財務相の決定に対して「深い失望と懸念」を表明した。BGCによると、世界四大会計事務所(ビッグ4)の一つであるEYによる試算では、9,000人近くの人々が職を失う可能性があり、最大1,000店のベッティングショップやカジノが閉鎖されるか、閉鎖の深刻な危機に直面する可能性があるという。
BGCのCEOであるグローニャ・ハースト氏は、「これは極めて大きな損害をもたらす決定であり、英国の規制下にある賭事・ゲーム業界に支えられている数千人の従業員、企業、そして地域社会にとって大きな打撃となります。財務相は、今回の措置がもたらす影響について繰り返し警告を受けていたにもかかわらず、これを無視しました」と述べた。
ヒーリー財務相による今回の発表を受け、賭事関連企業の株価は上昇した。エンテイン社の株価はこの日の取引で一時6.5%超上昇し、482.5ペンスをつけた。その後は値を下げ、469.2ペンスとなった。また、ウィリアムヒルの親会社であるエヴォーク社の株価はこの日の取引を前日比約3.75%高の44.6ペンスで終えた。
しかし、野党保守党の影のスポーツ・賭事担当相であるルイ・フレンチ氏は、今回の決定を歓迎しなかった。「自由民主党の後押しを受けて、財務相は賭事へのさらなる増税を発表しました。これは英国競馬や雇用、さらにはスポーツへのスポンサー活動にも悪影響を及ぼす可能性が高いものです」
「財務省は、今回の増税が違法賭事市場を拡大させるだけであると警告を受けていました。これは消費者、政府、競馬のすべてにとって、不利益しかもたらしません。労働党政権は、英国競馬と農村地域社会を見捨ててしまったのです」。
By Bill Barber
(1ポンド=約210円)
[Racing Post 10月28日「British racing faces 'significant damage' to its finances following tax hike in budget, BHA warns」]

























