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2026年02月05日  - No.4 - 1

開催日のデータ権を巡る対立でBHAの改革が停滞(イギリス)【開催・運営】


 開催日のデータ権を巡り、競馬場と競馬関係者が一歩も譲らず対立構図に陥ったことにより、英国競馬のガバナンス改革が暗礁に乗り上げている。すなわち、この事態が英国競馬統括機関(BHA)の理事会改編を阻み、商業面での改革の妨げ、正式なCEO指名の足かせになっているのだ。

 競馬場側は、競馬開催日のデータがBHAから少額の手数料で引き続き提供され、BHAが独自にデータを収益化しないことが確約されなければ、完全に独立したBHA理事会の設置を含む改革案の承認を拒否するとした。理事会の独立は、5か月前にBHA会長のアレン卿が就任を引き受けるに際しての前提条件であった。

 ところが、今度は別の問題が浮上した。BHAが態度を軟化させ、競馬場の要求を受け入れるのであれば、馬主協会(ROA)、サラブレッド生産者協会(TBA)といったBHAを構成する団体や免許を交付されている関係者が、運営体制に関する改革案の承認を拒否する意向を示したのだ。つまり、アレン卿は競馬界の二大勢力による板挟みに陥ってしまった。

 この問題は、1月27日(火)に行われるBHA理事会の議題に挙がっているが、最近では競馬界の有力者らも早期解決には期待していないと話している。この膠着状態の影響により、昨年末に競馬場協会(RCA)のCEOを退任したデイビッド・アームストロング氏は、前ROA会長のチャーリー・パーカー氏とともにBHA理事会に留まっている。

 発走時刻、馬場状況の変化や競走除外馬などを含めた開催日のデータは、BHAがまとめている。BHAは、競馬場傘下のメディア放映権所有企業に対して総額5万ポンド(約1,050万円)前後とされる定額の手数料でデータを販売している。そして、メディア放映権を所有する企業は、レースのライブ映像を抱き合わせにしてブックメーカーに販売している。

 この契約は2028年に更新期限を迎えるが、競馬場側は理事会の独立などの改革を承認する見返りとして、BHAとアレン卿から現在の契約条件を維持するという確約を求めている。

 アレン卿は代替案を提示したとされているが、競馬場側は何度も一致団結して拒否してきた。2028年以降、BHAが開催日のデータを収益化するために多額の手数料を課すのではないかとの懸念があるからだ。

 先日、アリーナレーシング社(ARC)のCEOマーティン・クラッダス氏は、競馬場側が開催日のデータに関する立場を変えるようなことがあれば「本当に驚くだろう」と話した。BHAからの確約がないかぎり、競馬場側は運営体制の刷新を承認しないということが改めて浮き彫りとなった。

 しかし、これに反対する側に立つ競馬関係者は、一歩も引かない構えだ。ある有力者は、この状況について「我々が、BHAから必要なサポートを受けた上で、競馬場との商業上のパートナーになるという話であれば、多くの問題は解決し、業界全体として前に進めていたと思うのです」と話した。

 この手詰まりの状況で、アレン卿は困難な立場に立たされている。打開策を見出すための手立てもほとんど残されていない。

 昨年、アレン卿は、競馬場や競馬関係者のメンバーを外して、独立した理事会に改編することが、BHA会長就任の前提条件であると主張していた。この点で交渉が長引いたことが、秋まで就任がずれ込んだ原因だった。

 アレン卿はこの条件が満たされなければ、会長就任を辞退すると迫った。しかし、今回同じ状況に陥れば、英国競馬界の一部は彼のハッタリに屈せず、喜んで勝負する構えだと見られている。

 先月、アレン卿は12月上旬に公募を締め切った独立した理事会について、今年の第一四半期には発足させたいと話していた。しかし、開催日のデータの扱いに関して膠着状態が続いているため、理事の任命が叶わず、影響が他方面に波及している。

 ブラント・ダンシー氏は2025年の年明けからBHAの暫定CEOを務めているが、新たな理事会が発足するまでは、同氏を正式に任命するのか、外部から後任を招聘するのかの判断は保留される。

 事態が進むにつれ、今後、数か月の間に波紋を呼ぶような決断を下さざるを得なくなった場合、任命の遅れがさらに問題を引き起こす懸念も浮上している。

 BHAは、出走頭数が減少していることから、2027年の競馬開催の規模を縮小する方向で検討に入ったことを示唆している。これは、競馬場側の強い反発は逃れられない様相だ。

 このような変更は今年の上半期中にBHAの理事会で合意に至る必要がある。しかし、独立した理事会が再三の遅れを経て発足されたとしても、着任したばかりの理事がこういった決断を下せるのかどうかは疑問視されている。

これまでの経緯

2024年11月 BHAが、金融界の重鎮でITV元CEOという肩書きを持つ労働党貴族院議員のアレン卿を翌年6月より新会長として起用することを正式発表。

2025年5月 着任を数日後に控える中、BHAはアレン卿の就任を無期限で延期すると発表。「競馬に関するビジョンを明確にするため」に利害関係者と継続的に会話をしたいというアレン卿の意向によるもの。

2025年6月 アレン卿が英国競馬の運営体制に関して抜本的な改革を提案していることが明らかになる。それには、BHA理事会を競馬場や競馬関係者から完全に独立させる案も含まれていた。

2025年7月 BHA理事会がアレン卿の提案を承認。これを受けて、9月に新会長として就任することが決定。

2025年12月 本紙が、開催日のデータ権を巡る競馬場側の懸念により、ガバナンス改革は膠着状態にあると報じる。ヨークで開催されたジムクラックディナーの席で、この状況について問われたアレン卿は「こうした問題は、一つずつ解決していくしかありませんね」と話した。

By Bill Barber

(1ポンド=約210円)

[Racing Post 2026年1月26日「BHA reforms at a standstill as boardroom standoff over data rights escalates」]

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