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海外競馬情報
2026年10月29日  - No.39 - 2

HISAへの反対姿勢を貫くテキサス州、競馬産業の衰退が深刻化(アメリカ)【開催・運営】


 テキサス州は、HISA(競馬の公正確保と安全に関する統括機関)による監督を受け入れないことを選択したため、サラブレッド競走のサイマルキャストによる馬券発売額1億6,000万ドル(約248億円)以上を手放した。それ以来、同州では賞金が減少し、生産活動が縮小し、セリ市場での取引実績も急落している。

 これは残念な事態である。特に、2019年に同州が、州内のサラブレッドおよびクォーターホース競馬に2,500万ドル(約38億7,500万円)を拠出することを承認していたことを考えるとなおさらである。この資金が2020年から投入されると、競馬業界のあらゆる分野に期待どおりの活気をもたらした。しかし、テキサス州が競馬の安全と公正確保(薬物使用および禁止物質に関する規制)を、HISAを通じてではなく州独自に規制することを選択した結果、その決定は逆の効果をもたらした。

 テキサス州の競馬業界に明るい見通しがあったのは、それほど昔のことではない。5年余り前に、このコラムで筆者は州によるサラブレッド競馬と生産への財政支援が成果を上げていることを指摘した。2021年、サムヒューストン競馬場は43日間の開催で、全ての発売形態を合わせた馬券発売額が9,640万ドル(約149億円)を超えた。これは、2019年の32日間の開催で発売された4,130万ドル(約64億円)の2倍以上にあたる。同年、ローンスターパーク競馬場でも、馬券発売総額が8,130万ドル(約126億円)を超え、2006年以来の最高額を記録した。

 しかし、2022年夏に状況は一変した。州間競馬法(Interstate Horseracing Act)は、競馬を管轄する各州にHISAへの参加を促すため、HISAに参加しない州を、州をまたぐパリミュチュエル方式の馬券発売から排除する強力な手段をHISAに与えている。テキサス州がHISAへの参加を見送ったため、同州の競走に対する州外からの馬券発売は停止した。

 今年のローンスターパーク競馬場の馬券発売額は1,030万ドル(約16億円)強にとどまる見込みで、わずか5年前の約8分の1となる。サムヒューストン競馬場では、今年の場内馬券発売額が340万ドル(約5億2,700万円)弱にとどまった。これに対し、2021年には同競馬場の馬券発売総額が9,640万ドル(約149億円)を超えていた。2021年にはサムヒューストン競馬場のレース中継が馬券購入者を獲得しつつあり、馬券発売総額も2019年の4,130万ドル(約64億円)から9,640万ドル(約149億円)超へと増加していた。

 その影響は競馬業界にも及んだ。2021年から2025年にかけて、テキサス州のサラブレッド競走の賞金総額は19%減少し、2,147万6,800ドル(約33億2,900万円)となった。

 ほんの数年前には、テキサス州議会による財政支援は、セリ市場における期待感を大きく高めているように見えた。2021年には、テキサス州産1歳馬のセリ総売上高が前年比239%増の190万ドル(約2億9,450万円)超へと急増した。総売上高は2022年に230万ドル(約3億5,650万円)超でピークに達したが、HISAへの参加を見送る決定後、2023年、2024年、2025年と減少が続いた。2025年の総売上高は81万3,100ドル(約1億2,600万円)で、2022年比65%減となった。

 生産面でも、マイナス傾向が続いている。近年、サラブレッドの生産頭数が減少している州は複数あるが、テキサス州で2025年に種付けされた繁殖牝馬がわずか230頭にとどまり、2021年比で48%減となった。その要因の一つには、州内のサラブレッド競走におけるパリミュチュエル方式の馬券発売額の減少が確実に挙げられる。また、2024年生まれの産駒頭数は284頭で、2020年比26%減となった。州内の種牡馬数も、2020年の99頭から2025年には34頭へと65%減少した。

 ダラス・フォートワース地域のローンスターパーク競馬場や、ヒューストンのサムヒューストン競馬場といった一流の競馬場があり、広大な土地と馬への愛情にも恵まれたテキサス州には、競馬業界が以前から大きな可能性を見いだしてきた。しかし、数年間にわたって回復の兆しが見られたにもかかわらず、今では逆に、全米の馬券発売額と生産活動の減少につながる結果となっている。

 この一連の事態で何より残念なのは、テキサス州がHISAへの参加を見送り、同州の競走に対する州間の馬券発売を停止することになった決定が、州議会による業界への資金拠出が期待された成果を上げ始めているように見えた直後に下されたことである。HISAに参加せず独自の道を選ぶという決定は、それまでの進展を帳消しにしただけでなく、さらなる打撃を与えた。競馬業界全体が馬券発売額、競走賞金、生産活動の拡大を目指す中、テキサス州の競馬を再び軌道に乗せることが極めて重要となっている。

(1ドル=約155円)

By Frank Angst

[bloodhorse.com 2026年10月13日「Dollars & Sense: Texas-Sized Losses」]


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