選手への脅迫・嫌がらせが深刻化、競馬界でも騎手保護の強化を求める声(アメリカ)【開催・運営】
9月16日、北米の主要プロスポーツ5リーグと各リーグの選手組合は、各州のスポーツ賭事規制当局に書簡を送り、選手やスタッフに対する嫌がらせや暴力的な脅迫という「深刻化する脅威」への対応を求めた。
『The Athletic』をはじめとする複数のメディアによると、各スポーツリーグとその選手組合が署名した書簡では、次のように指摘されている。「スポーツ賭事で負けた者が、選手やコーチ、その家族に対し、ソーシャルメディアや対面での接触を通じて、脅迫や嫌がらせのメッセージを送りつけるケースがあまりにも多い」。
書簡に名を連ねたのは、メジャーリーグ・ベースボール(MLB)、メジャーリーグ・サッカー(MLS)、全米バスケットボール協会(NBA)、ナショナル・ホッケー・リーグ(NHL)、ナショナル・フットボール・リーグ(NFL)の5リーグである。
具体的には、『The Athletic』によると、書簡では賭事委員会や規制当局に対し、選手、コーチ、その他の競技関係者およびその家族に「悪質な嫌がらせを行った、または暴力による脅迫を行った」と認定された賭事客について、スポーツ賭事提供事業各社に生涯にわたる利用禁止措置を講じるよう義務付けることを求めている。各リーグと選手組合はさらに、統一された報告制度を設けるとともに、スポーツ賭事提供事業社に対して「悪質な行為に関連するアカウントを積極的に監視し、問題のあるアカウントとして特定した上で、利用禁止とする」ことを義務付けるよう求めている。
今回の書簡には加わっていないものの、騎手組合(Jockeys' Guild)は、スポーツ賭事で不満を募らせた者によるオンライン上の嫌がらせからアスリートを守るという、その目的を高く評価した。同組合は長年にわたり、競馬場と連携して、競馬場内でこうした嫌がらせから騎手を守る取り組みを進めてきた。そして現在では、ソーシャルメディアがこうした嫌がらせの新たな手段となっている状況を目の当たりにしている。
「われわれの騎手は、ソーシャルメディア上でこうした言葉を日常的に浴びています」と、騎手組合のCEO兼会長であるテリー・メヨックス氏は語った。「そして、それが賭事に端を発していることは明らかです。馬が出遅れたり、騎手が数頭分外を回らざるを得なかったり、別の馬に内ラチ沿いから抜かれたりと、理由は何であれ、馬券が外れたことで腹を立てるのです」
「競馬というスポーツを理解していない人々から責められるのは騎手であり、それが時として脅迫に発展することもあります」。
競馬は長年にわたりパリミュチュエル方式の賭事と密接に結びついてきたことから、騎手は以前から、競馬場において不満を抱いた馬券購入者によるこうした嫌がらせにさらされてきた。メヨックス氏によると、こうした問題に対処するため、騎手組合と各競馬場は長年にわたり、競馬場内でさまざまな安全対策を講じてきた。具体的には、騎手専用の安全な駐車スペースを競馬場の近くに確保することや、レース後に騎手がジョッキールームへ戻る際に警備員を配置することなどである。また、場合によっては問題行為を行った者を逮捕したり、競馬場への入場を禁止したりする措置も取られてきた。
しかしメヨックス氏は、ソーシャルメディアの普及によって、騎手に接触する手段が増えたと指摘する。多くの場合、ソーシャルメディアは騎手が競馬をPRし、ファンを増やすための手段となる一方、悪意のある者がその接点を利用して騎手を脅迫したり、嫌がらせを行ったりすることも可能となっている。メヨックス氏は、アスリートに対するさらなる保護措置の導入を支持している。
「騎手は以前から競馬場で観客に罵声を浴びせられることがありましたが、今ではそれがソーシャルメディアにまで及ぶことがあります」とメヨックス氏は語った。「騎手にはソーシャルメディアを気にしすぎてほしくありませんし、それによって集中を乱されてほしくもありません。しかし、それが実際の脅迫にまで発展した場合には、きちんと対処する必要があります」。
オンライン上の嫌がらせを受ける競馬関係者は、騎手だけではない。レーシングポスト紙は今月初め、英国競馬界がデレク・ショー調教師に対するオンライン上での嫌がらせや誹謗中傷を理由に、イアン・セレンズ氏を2年間の競馬関与禁止処分としたと報じた。セレンズ氏は、シンジケート馬主のミリオンドリームズレーシング主の代表を務めていた人物である。
レーシングポスト紙によると、英国競馬統括機構(BHA)は、ミリオンドリームズレーシングが解散した後の2025年1月以降、セレンズ氏が「デレク・ショー厩舎およびその関係者を中傷し、辱め、侮辱し、貶める」意図をもって同厩舎(DSR)に対する攻撃的なメッセージを投稿し始め、その内容は「競争を伴うスポーツに本来つきものである批判や議論、正当な意見表明として許容される範囲を大きく逸脱する」ものであったと認定した。
米国では、2018年の連邦最高裁判所の判決によって各州がスポーツ賭事を合法化する道が開かれて以降、合法的なスポーツ賭事が急速に拡大している。さらに、予測市場の登場によって、スポーツを対象に賭ける手段は一段と広がっている。違法なスポーツ賭事そのものはプロスポーツとほぼ同じくらいの長い歴史を持つが、各リーグによると、合法的なスポーツ賭事の普及に伴い、賭事に関連した選手への嫌がらせも増加しているという。そして、ソーシャルメディアがそうした嫌がらせの手段となっている。
AP通信が報じた水曜日付の書簡では、次のように述べられている。「合法かつ州の規制下にあるスポーツ賭事の拡大は、ファンに好きなスポーツへ関わる新たな方法をもたらした一方で、選手やプロスポーツの試合に携わるその他の関係者に、いくつかの悪影響ももたらしている。スポーツ賭事を理由に選手やその家族の安全を脅かす行為は、倫理上も刑事上も明確に一線を越えるものであり、到底容認できない。州および地方自治体の当局者が、あらゆるレベルのスポーツに参加する人々の安全を守ることが極めて重要である」。
大学スポーツ界は水曜日の書簡には署名していないものの、『The Athletic』によると、全米大学体育協会(NCAA)は今年に入り、嫌がらせ防止キャンペーンを開始した。
By Frank Angst
[bloodhorse.com 2026年9月16日「Guild Backs Efforts to Protect Athletes From Harassment」]

























