チャーチルダウンズ社、HISAの情報管理をめぐり独立した審査を要請(アメリカ)【その他】
チャーチルダウンズ社(CDI)は、連邦取引委員会(FTC)に対し、HISA(競馬の公正確保と安全に関する統括機関)のガバナンス、透明性、および機密性の高い非公開情報の取り扱いに関する技術的な管理体制について、独立した審査を行うよう要請している。
『Horse Racing Nation』が最初に報じたところによると、8月28日付のこの書簡は、CDIのCEOであるビル・カースタンジェン氏が署名し、FTCのアンドリュー・ファーガソン委員長およびマーク・メドール委員あてに送付されたものである。
「当社は、サラブレッド競馬の公正確保、および馬券購入者が競馬全体に信頼を寄せられるようにすることに、直接かつ重大な利害を有しています」と書簡には記されている。
「本書簡は、競馬の公正確保、賭事の公正性、非公開情報、および機密性の高い業界データの保護に関わる複数の事案について、HISAが最近行った取り扱いに関して、委員会が正式な独立審査をHISAに求めるか、あるいは委員会自らが審査を開始することを、謹んで要請するものです。一連の出来事は、HISAのガバナンスにおける懸念すべき不備や警戒すべき兆候を浮き彫りにしています」。
カースタンジェン氏の書簡の写しは、HISAのCEOであるリサ・ラザラス氏、HISAの理事会メンバーに加え、ケンタッキー州、ニューヨーク州、カリフォルニア州、ニュージャージー州、テキサス州、ワシントン州を代表する10名の米国上院議員および下院議員にも送付された。
HISAが本紙に送った電子メールの中で、同機構はすでにFTCによる厳格な監督を受けており、それにはHISAの規則、予算、企業リスク管理、業績報告に対する監督も含まれていると説明した。
「HISAは、業界の公正性に関する懸念を共有してくださったCDI社に感謝します。HISAは、書簡で提起された問題についてFTCと連絡を取り合っており、当機構の行動、方針、手順、およびシステムに対するFTCによる継続的な監督と審査を歓迎します」と、HISAの広報担当者は述べた。
カースタンジェン氏の要請は、フェアヒル調教センターに関連する調教師をめぐる賭事スキャンダルや、馬主兼ハンディキャッパーのマーシャル・グラム氏による馬の健康状態に関する機密情報への不正アクセスといった事件を受けて行われたものである。
8月9日の賭事スキャンダルでは、英国国内の10カ所以上のブックメーカー店舗に加え、サラトガ競馬場、モンマスパーク競馬場、およびコロニアルダウンズ競馬場(CDI所有)で出走する馬を対象とした北米のパリミュチュエル方式の投票でも異常な賭事行動が見られた。関与した馬はすべて、フェアヒル調教センターと関係のある調教師が管理していた。このうち3頭は、エンジェル・キロス調教師が管理している。この大掛かりな賭けの詳細が明らかになってから4日後、HISAの検査・執行部門である「競馬の公正確保・福祉ユニット」は、キロス調教師が管理する競走馬が7月10日に採取されたレース後の検体で禁止物質アルブテロールに陽性反応を示したことを受け、同調教師がアンチドーピングルールに違反した疑いがあると明らかにした。
「HISAの掲げる核心的な公約の一つは、公正確保に関する事案をより一貫性をもって、迅速かつ透明性のある形で処理することでした。重大な違反の開示が遅れることは、まさにHISA設立によって解決を目指した問題そのものです」と、カースタンジェン氏の書簡には記されていた。「この状況は、HISAの検査や報告手続きの遅れによって、ドーピング検査で陽性となった違反者が長期間にわたって競馬に参加し続けることが可能になっているのではないか、スポーツの公正性を損なうドーピング違反について、競馬場や馬券購入者に対し適切に情報が提供されているのか、そしてHISAの情報開示のあり方が、全国的な統括機関の設立を正当化した期待に応えているのかなど、多くの正当な疑問を提起しています」。
キロス調教師の陽性反応の公表に関して、HISAは、同機関が「アンチドーピング及び薬物管理プログラム」を開始した当初、禁止物質の陽性反応が出た競馬関係者には直ちに暫定的な出走停止処分が科され、その事実が公表されていたと指摘した。その後、利害関係者の意見を受けて、事案が完全に裁定されるまで暫定的な出走停止処分を科さないよう、手続きが変更された。
グラム氏をめぐる事案では、HISAが暫定的な出走停止処分を科したほか、詐欺および機密情報への不正アクセス・不正利用の容疑で告発を進めている。グラム氏は、HISAのポータルサイト上の自身の正規アカウントを通じて馬の健康データにアクセスしたとされるが、その情報はグラム氏に正当な関係がない馬に関するものであった。その後、同氏はその情報を、クレーミング競走で馬を取得する際や、レース予想およびパリミュチュエル方式の賭事に利用したとされる。同氏が独自に作成した過去成績表に含まれる健康情報の一部は、ソーシャルメディア上に公開されていた。
テンストライクレーシングの創設メンバーであるグラム氏は、暫定的な出走停止処分を受け入れたものの、詐欺行為を行ったことは否定し、その情報はHISAの正規アカウントを通じて入手可能なものだったと述べた。
CDIにとって、グラム氏に関わるこの情報漏洩は、複数の脆弱性を露呈させた。まず、HISAは早い段階で、健康データが同機関のポータルから流出したことを強く否定した。その後、データがHISAのポータルから流出したことが明らかになると、同機関は、カースタンジェン氏によれば、重要な問題――グラム氏がどのように情報にアクセスできたのか、この脆弱性がどのくらいの期間存在していたのか、不正アクセスを検知するためにどのような監査ツールが導入されているのか、どのような是正措置が講じられているのか、そしてその是正措置が十分であることを誰が検証するのか――に取り組むのではなく、「詐欺」や「不正利用」に焦点を当てた。
「本来アクセス権を持たない人物がそのような情報にアクセスできる場合、その結果生じる問題は単なる個人の不正行為にとどまりません。それは、ガバナンス、技術的管理措置、調達プロセスの監視、監査、インシデント対応、および情報開示における潜在的な失敗です」と、カースタンジェン氏の書簡には記されている。「競馬業界には、これが単発な出来事なのか、より広範なシステム上の欠陥なのか、あるいはHISAのテクノロジーおよび監督プロセスにおける、より重大な弱点の兆候なのかを知る権利があります」。
HISAに対する独立した審査を求めるCDIの要請は、全米ホースメン共済協会(NHBPA)から強い支持を得た。
NHBPAのCEOであるエリック・ハメルバック氏は、8月31日に発表した声明で「HISAは、テクノロジーとデータ収集の一元化を、その全国的な規制システムの根幹としてきました」と述べた。「HISA自身の『2023年度指標報告書』には、HISAポータルには馬の治療および健康に関する幅広い記録が含まれており、200万件近くの獣医治療記録がシステムにアップロードされ、毎日数千件の治療報告が受信されていると記載されていました」
「これは途方もない量の機密情報です。そして、これはHISAが任意に収集した情報ではありません。馬関係者や獣医師は、規制制度の一環としてその提供を義務付けられてきたのです」と彼は続けた。「それには相応の責任が伴います。ある組織が数百万ドルをテクノロジーに投じ、機密情報の収集を軸に全国的な規制システムを構築するならば、業界の関係者が高度なアクセス制御、監視、侵入検知、監査体制を期待するのは当然です」。
ハメルバック氏は声明の中で、CDIの書簡で示されたものと同様の疑問を数多く提起した。
「NHBPAは、誰に対しても特別な扱いを求めているわけではありません。我々が求めているのは、規制当局が規制対象の業界に要求しているのと同じ水準の説明責任を、規制当局自身にも求めることです」と彼は述べた。
NHBPAは、HISAの合憲性を争う係争中の訴訟の原告となっている。
オーナーブリーダーのマイク・レポール氏も、8月21日にソーシャルメディアプラットフォーム「X」に掲載された投稿で、HISAに対する独立した審査を要請していた。レポール氏はさらに、そのような調査の費用を負担する意向も示した。
「不透明な内部調査は不要です。真に独立した調査を行い、その結果を業界全体と透明性をもって共有すべきです」とレポール氏は記した。「馬主たちはその権利があります。馬券購入者も、調教師や獣医師たちも同様です。この競馬全体の公正性がそれを求めています。そして、費用に関して言い訳は一切あってはなりません。HISAは導入から4年目を迎えていますが、馬関係者や競馬場が負担する費用は約2億5000万ドル(約387億円)と法外な額に上っています」。
By Eric Mitchell
(1ドル=約155円)
(関連記事)海外競馬情報 2022年No.9「全米ホースメン共済協会、HISAへの懸念について語る(アメリカ)[開催・運営]」
[bloodhorse.com 2026年9月7日「Churchill Downs Inc. Lobbies for FTC Review of HISA」]

























