増加する不注意騎乗による騎乗停止処分の背景について(イギリス)【開催・運営】
先月の(不注意騎乗による騎乗停止処分は、昨年の同月比で36%増加した。これは、英国の競馬に騎乗する騎手たちがルールに則った騎乗と、いわゆる「プロフェッショナルファウル(戦術的反則)」と称される反則とのぎりぎりの境界で騎乗を行っていたためである。
先週開催されたグロリアスグッドウッドでは、11件の審議で騎手に騎乗停止処分や戒告が科された(前年は9件)。また、先月にはベン・フレンチ・デイヴィス、カラム・プリチャード、ウィリアム・ビュイック、コナー・ビーズリーの各騎手が、不注意騎乗により7日間もしくはそれ以上の騎乗停止処分を受けた。7月全体では、騎乗停止処分の日数は計155日となった。
2024年7月と比較すると、先月の不注意騎乗による騎乗停止日数は72%増加した。
これは、英国競馬統括機関(BHA)が日々公表している裁決レポートをもとに集計した2023年および2026年の1月から7月までデータと比較すると、際立った上昇幅である。同データによると、騎手への制裁につながったレース当日の審議件数は5%増加したものの、科された騎乗停止日数は5%減少していた。
この増加は競馬関係者の間では警戒すべき事態とは見なされなかったものの、騎手たちが勝利を確実にするために「時には限界まで攻める」覚悟であること受け止められた。
今年の1月から7月にかけて、裁決委員の審議により477件の不注意騎乗が確認され、2023年の454件から増加した。しかし、戒告の件数は208件から221件へと増加した一方で、騎手が受けた累積騎乗停止日数は727日から690日へと減少した。
ヒューズ氏:「それは競馬の一部だ」
平地競走で3度の英国リーディングに輝き、現在はG1レースを制した調教師でもあるリチャード・ヒューズ氏は、判断ミスにより騎乗停止処分が下されることもある一方で、騎手たちは、特に大レースでは、可能であれば対戦相手に力を発揮させないように試みるものだと述べた。
同氏は次のように語った。「私が『プロフェッショナルファウル』と呼ぶような行為が起こることがあります。騎手自身がそれをしていることは分かっていますし、大レースにおいて、他馬の進路に馬を寄せてて数日の出場停止で済むと分かっているなら、してしまうこともあります」。
「不注意騎乗は常にあり、そのほとんどは人為的なミスです――実際よりもスペースがあると思い込んだり、実際よりも大きくリードしていると思い込んだりしてしまうのです。ここでは一流の騎手たちが、数センチも隙を与えず、鐙が触れ合うほど接近して騎乗しています。これも競馬の一部なのです」。
プロ騎手協会(PJA)の最高経営責任者(CEO)であるポール・ストラサーズ氏によると、不注意騎乗は依然として騎手たちの間で議論の的となっており、騎手たちが結果を求められる多大なプレッシャーの下でレースを繰り広げていることを指摘した。
同氏は次のように語った。「一時期、騎乗停止処分の件数や科される日数がごくわずかに増加した時期がありましたが、私にとっては、これはある年は増え、ある年は減るという一般的な変動に過ぎません」
「ルールを知っているエリートアスリートなら誰でも、時には限界まで攻めるもので、私たちもそうした要素が全くないとは考えていません。また、忘れられがちですが、騎手たちは信じられないほどのプレッシャーにさらされていることを忘れてはなりません。彼らは、信じられないほど難しいことを簡単にこなしているように見せているのです」。
ストラサーズ氏はさらに、不注意騎乗を最小限に抑える唯一の方法は、裁決委員による進路妨害の取り扱いを全面的に変更することだと付け加えた。
「ルールや制裁を大幅に変更しても、状況が変わるという根拠はありません」と彼は述べた。「私個人の考えとして、これは他の人々に広く支持されているものではありませんが、違反事例を減らしたいのであれば、馬を降着させるかどうかの判断をする際、勝馬に有利な判断を控え、着差や事象の発生したタイミングにはあまり重きを置かないようにすべきだと思います」。
「より大きなリスクをとる動機になっているかもしれない」
英ダービーを制した元騎手のマーティン・ドワイヤー氏は、騎手たちは主要な競馬開催での勝利を確実にするためなら、より大きなリスクを冒す覚悟があると述べた。また、レース当日の騎乗停止処分に対する異議申し立てが認められることが、さらなるリスク行為を助長している可能性があると指摘した。
3月の平地芝シーズン開幕以来、4名の騎手が不注意騎乗による騎乗停止処分に対して異議申し立てを行い、そのうちパディ・ブラッドリー、ロブ・ホーンビー、レイ・ドーソンの3騎手の処分を覆した。
ドワイヤー氏は次のように述べた。「私が騎手だった頃と比べて特に悪化しているとは思いませんが、大きな開催ではより限界ぎりぎりまで攻める傾向があるとは思います。グッドウッド開催が終わったばかりで、ロイヤルアスコット開催もありました。騎手たちははるかに大きなプレッシャーにさらされており、出走頭数も多く、質の高いレースが繰り広げられ、上位馬たちの実力差もほとんどありません」
「私が感じる主な違いは、異議申し立て制度があることで、処分が取り消されたり軽減されたりする可能性が常にあり、それがより大きなリスクを取る動機になっているのかもしれません」。
BHAの広報担当者は、英国における騎乗技術と裁決の基準は「世界最高水準の一つ」であり、進路妨害に関する規則について協議が行われていると述べた。
同氏はさらに次のように付け加えた。「このプロセスには多少の時間を要しましたが、これはPJAやより広範な騎手関係者との綿密な協議の結果であり、その協議内容は提言の根拠として活用されています。提言については、今後数ヶ月以内に最終決定する予定です」
「この取り組みの主な焦点は、騎乗内容が他の騎手や馬を危険にさらす恐れがあるような、より深刻な違反に対する制裁にあります」。
By Peter Scargill
[Racing Post 2026年8月6日
「Jockeys were banned for 155 days for careless riding in July - so what's behind the rise in the 'professional foul'?」]

























